新製品(マッキントッシュ MC3500・その3)
ステレオサウンドで働くようになる数ヵ月前に、
ある会社で一ヵ月ほどアルバイトをしたことがある。
店舗の音響機器の面倒を請け負っている会社だった。
社長が一人、あとはアルバイトが数人。小さな規模の会社だった。
その仕事で赤坂見附にあるナイトクラブに行ったことがある。
仕事はすぐに終った。
そのクラブにはステージがあって、仕事はそこで行っていたのだが、
ふと横をみると、巨大なアンプがある。
マッキントッシュのMC3500だった。
MC3500の写真は見たことがあったが、実物を見たのは赤坂見附のクラブが最初だった。
いまでこそMC3500を超える規模のパワーアンプは珍しくないが、
当時はMC3500は最大規模のアンプであった。
業務用ということは知っていたけれど、
実際に使われている実例は、私はここだけしか知らない。
1981年のことだった。
MC3500は1971年まで製造されていたわけだから、
最低でも十年は使われ続けているMC3500である。
そのMC3500はラックに収められていたわけではなく、
床に無造作にごろんと置かれていた。
こういう使われ方が可能な管球式アンプが、MC3500である。