Archive for category JBL

Date: 4月 20th, 2014
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4320(その2)

JBL・4320は、いまのところ聴く機会がない。
4331、4333は何度かあったけれど、4320は見かけるだけで終ってしまっている。

ユニット構成、エンクロージュアから安直に判断すれば4320は、4331を聴けば十分だろう、ということになる。
けれどほんとうにそうのだろうか。

ステレオサウンド 62号には、井上先生による「JBLスタジオモニター研究」が載っている。
4320について書かれている。
     *
 余談ではあるが、当時、4320のハイエンドが不足気味であることを改善するために、2405スーパートゥイーターを追加する試みが、相当数おこなわれた。あらかじめ、バッフルボードに設けられている、スーパートゥイーター用のマウント孔と、バックボードのネットワーク取付用孔を利用して、2405ユニットと3105ネットワークを簡単に追加することができたからだ。しかし、結果としてハイエンドはたしかに伸びるが、バランス的に中域が弱まり、総合的には改悪となるという結果が多かったことからも、4320の帯域バランスの絶妙さがうかがえる。
 ちなみに、筆者の知るかぎり、2405を追加して成功した方法は例外なく、小容量のコンデンサーをユニットに直列につなぎ、わずかに2405を効かせる使い方だった。
     *
このことが、62号を読んだ時にひっかかった。
4320と4331が同じような音(性格)のスピーカーだとしたら、
2405の追加はJBL純正のネットワークでうまくいくはず。
なのに、井上先生は
「例外なく、小容量のコンデンサーをユニットに直列につなぎ、わずかに2405を効かせる使い方」とされている。

4331に2405を追加した4333のネットワークは、そういう仕様にはなっていない。
けれどうまくいっている。
ということは4320と4331は、見た目こそよく似ているけれど、ずいぶんと性格に違いがあるのではないか。

井上先生の記事を読んで、そう思うようになった。

Date: 4月 20th, 2014
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4320(その1)

数あるJBLのスタジオモニター、4300シリーズ中、もっとも名が知られているのはどれなのか。

4343の名前を真っ先に挙げたいところだが、
確かに日本のコンシューマー市場においては4343がそうなるだろうが、
世界的に見て、そしてコンシューマー市場だけではなくプロフェッショナルの世界まで含めると、
4320ということになるのではないだろうか。

4320は4300シリーズの最初のモデルである。
1971年に登場している。
4310も、この年である。

ウーファーは2215B、中高域ユニットには2420ドライバーに2307ホーン+2308音響レンズを採用。
2215BはD130に代表されるマキシマム・エフィシェンシー・シリーズではなく、
能率を多少犠牲にしても、
低域のレスポンスの拡大を図ったハイコンプライアンス型のリニア・エフィシェンシー・シリーズに属する。
クロスオーバー周波数は800Hz。

4320は1970年代のプロフェッショナル界において、
スタジオモニター市場をほぼ制圧したといえるほど、成功した(売れた)ときいている。

その後、4320は4325になり、
4320をベースの3ウェイ・モデルの4333と同時に登場した4331へと引き継がれていく。

Date: 4月 20th, 2014
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4315(その2)

JBLの4315がいったいどういうスピーカーシステムなのかは、ステレオサウンドだけを読んでいてはわからなかった。
ステレオサウンドがその当時出していたHi-Fi STEREO GUIDEを、その年はじめて買って、やっとわかった。

4ウェイのスタジオモニターだった。
ウーファーは12インチ口径、ミッドバスは8インチ口径、ミッドハイは5インチ口径のコーン型で、
トゥイーターのみがホーン型の2405だった。

JBLのスタジオモニターの4300シリーズのユニットは、
他の機種に関しては型番の表示がHi-Fi STEREO GUIDEに載っていた。
4315に関しては2405の型番しか載っていなかった。

ずいぶん後でわかったことだが、ウーファーは4315専用に開発された2203、
ミッドバスも新開発の、3インチのボイスコイル系の2108、
ミッドハイはユニット単体で発売されていた2105である。

これらのユニットをW52.0×H85.0×D28.0cmのエンクロージュアにおさめ、
クロスオーバー周波数は400Hz、2kHz、8kHzとなっている。
4315もほかの4300シリーズ同様、ウォールナット仕上げの4315WX(470000円)が用意されていた。

4315を知ったばかりの、このころの私には4343のスケールダウンモデルに思えて、
4333Aや4331Aよりも聴いてみたいスピーカーシステムだった。

Date: 4月 19th, 2014
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4315(その1)

オーディオに興味を持ちはじめて1年経つか経たないかという私にとって、
ステレオサウンド 43号はいろんなオーディオ機器を知る上でも役に立った一冊だった。

43号の特集はベストバイで、
このころのベストバイはいまのステレオサウンドの誌面構成・編集方針と違い、
ベストバイに選ばれたオーディオ機器については、選んだオーディオ評論家によるコメントがすべてついていた。

ただひとりだけが選んだモノに関しては、
ブランド名、型番、価格と選んだ人の名前だけだった。

それだけでも、世の中にはこんなに多くのスピーカーやアンプ、カートリッジがあるのか、
写真もスペックもないブランド名と型番、価格という、限られた情報からいったいどんな機種なのか、
そんなことを空想もしていた。

スピーカーシステムのベストバイの、この欄にJBLの4315があった。
山中先生だけが選ばれていた。
1977年の4315の価格は455000円。

何も知らない者にとって、4315という型番はブックシェルフ型のようにも思われた。
けれど価格は決して安くない。
4333Aがこのとき559000円、2405がついていない2ウェイの4331Aが488000円。

価格からのみ判断するとフロアー型なのか。
フロアー型とすれば、どういうユニット構成なのかが気になる。

Date: 1月 9th, 2014
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(ホーンのこと・余談)

ウーファーだと、15インチ・ウーファーとか38cmウーファーという言い方をする。
振動板の口径とユニットの種類を組み合わせているわけだ。

最近ちょっと気になっていることがある。
2インチ・ドライバーとか、1インチ・ドライバーという言い方・書き方である。

これでも通用するといえばそうなのだが、
私もこんな言い方をする人に対して、もうあえて訂正しないようになってしまったが、
通常スピーカーユニットの場合、サイズは振動板の口径のことである。
だが、2インチ・ドライバー、1インチ・ドライバーの場合、
2インチ、1インチが示しているのはドライバーのダイアフラムの口径ではない、
ドライバーの前面、つまりホーンとの取り付け面に開いている穴の口径である。

正しくは2インチスロート、1インチスロートというべきところを、
昨今のなんでも略したがる傾向が、こんなところにまでおよんで、
2インチ・ドライバーという、へんてこな表記になってしまっている。

最近ではオーディオ雑誌でもドライバーとホーンの組合せの記事が載っているわけではない。
市場にも、昔のような各社からドライバーやホーンがあるわけでもない。

そういう時代だから、こんなこまかいことをいっても、
多くの人にとってはどうでもいいことになってしまっているのかもしれない。

けれど、このままにしておけば、
ますます2インチ・ドライバー、1インチ・ドライバーなどという言葉の方が残っていくような気もする。

Date: 1月 9th, 2014
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(続々続々ホーンのこと)

1980年ごろ、ヴァイタヴォックスからスロートアダプターが登場した。
A-S、A-H、S-Aである。

A-SはヴァイタヴォックスのホーンCN481に、
JBLの1インチスロートのコンプレッションドライバー2410、2461、2470、2420、LE175、LE85、
アルテックの同じく1インチスロートの802-8D、802-8Gの取り付けるためのものである。

A-HはヴァイタヴォックスのCN481に、
JBLの2インチスロートのコンプレッションドライバー2440、2482、375を取り付けるためのもの。

S-AはヴァイタヴォックスのコンプレッションドライバーS2、S3を、
JBLのホーン、2390、2395、2356、2311、2328に取り付けるためのもの。

これが好評だったのか、
さらにP4536、P4469が追加された。

P4536はヴァイタヴォックスのカットオフ周波数220HzのマルチセルラホーンCN123に、
JBLの2インチスロートのドライバーを取り付けるためのもの。

P4469はヴァイタヴォックスのホーンCN121に、
JBLの2インチスロートのドライバーを取り付けるためのもの。

CN121もCN123と同じカットオフ周波数220Hzのマルチセルラホーンだが、
セルの数が10から8になっている。

スロートアダプターといえば、ウェストレックスの時代に、
T550Aホーンにアルテックの288Bドライバーを取り付けるためのものもあり、
ウェストレックスの16型スピーカーシステムは、このドライバーとホーンの組合せを中高域に使っている。

1970年代には神田オーディオセンター(と記憶している)が、
288-16Gを537-500に取り付けるためのスロートアダプターを製品化していた。

きちんとした設計・製造のスロートアダプターがあれば、
メーカーが異るホーンとドライバーの組合せが可能になり、
つまりはヴァイタヴォックスのS2とJBLの537-500の組合せもできるわけだ。

ヴァイタヴォックスはロンドン・ウェストレックスの親戚のような会社である。
ということはS2を537-500に取り付けることは、いわば正統的な組合せともいえる。

この組合せは家庭用としても、クラシックを主に聴く人にとっても、
魅力的なホーンとドライバーの組合せではないだろうか。
すくなくとも私にとっては、もっとも聴いてみたい組合せだ。

Date: 1月 9th, 2014
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(続々続ホーンのこと)

ウェストレックスの劇場用スピーカーシステムとして、T501Aがある。

T510Aウーファーを二発、フロントローディングホーン付のエンクロージュアに収めたもので、
さらに幅224cm、高さ228cmのバッフルがつく。

中高域を受け持つのが、T530AとT550Aである。

かなりの大きさの劇場用である。
これだけのスピーカーシステムをそなえる映画館ともなれば、
30フィート以上の距離まで音を届けなければならない。

奥行きが30フィート(9.144m)しかないような劇場にT501Aは設置されないはず。
だとすればT550Aホーンには、
JBLの他の音響レンズ付のホーンのような、30フィートという使用条件はついていなかったと見て間違いない。

T501AのネットワークはT507Aで、
これもふくめてすべてのユニットには、
Westrex by JAMES B. LANSING SOUND INC.
とはいっている。

537-500(蜂の巣)ホーンは、劇場用としても使われていた。
となると、ここで妄想が浮ぶ。

Date: 1月 8th, 2014
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(続々ホーンについて)

JBLの音響レンズ付ホーンの、使用可能距離に制限がついていたことは、
実はステレオサウンド 25号の瀬川先生の「良い音とは、よいスピーカーとは?」にも書かれている。

ここで、537-500はどうだったろのだろうか、とも書かれている。
537-500はのちのHL88のことであり、あの蜂の巣ホーンのことである。

同じ蜂の巣(パーフォレイテッドプレート型)でも、1217-1290が1インチスロート用に対して、
537-500は2インチスロートであり、大きさも重量もずいぶん違う。

このふたつのホーンを並べて置いてみると、
ひとつひとつを見ているよりも違いの大きさに驚くかもしれない。

537-500も使用条件として、30フィートまでという制約があったのか。

これははっきりといえるが、なかったはずだ。

ウェストレックスのコンプレッションドライバーにT530Aがある。
T550Aとホーンがある。

これらのドライバーとホーンを製造していたのは、JBLであり、
T530Aは375、T550Aは537-500に相当する。

Date: 1月 8th, 2014
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(続ホーンについて)

JBLのプロフェッショナル用スピーカーのカタログには、
コンシューマー用スピーカーのカタログには記載されていない注意書きがある。

Where the length of throw does not exceed 30 feet.
30フィートを越える距離には放射できない、とある。

30フィートは9.144m。

この注意書きがあるのは、Acoustic Lenses Family に関してである。
つまり音響レンズ付のホーンに関しての注意書きである。

2305(コンシューマー用の1217-1290のプロ用、LE175DLHのホーン/レンズ)、
2391(HL91ホーンのプロ用)が、それにあたる。

9.144mといえば、家庭内で聴くとき、
これ以上スピーカーとの距離が長くなることは、よほどの広さの部屋でしかありえない。

つまりコンシューマー用ホーンに音響レンズしかラインナップしていなかった理由のひとつが、
ここにあると考えていいだろう。

プロフェッショナル用に、音響レンズ付ホーンと、
なしのラジアルホーンやディフラクションホーンが用意されているのは、
プロフェッショナルの現場として、録音スタジオとコンサートホール・映画館という、
スペースが大きく異る空間があるためだろう。

Date: 12月 18th, 2013
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(先入観・その3)

先入観は思い込みでもある。

思い込みであれば、先入観は決していいイメージではない。
はっりきと悪いイメージといっていい。

先入観は思い込みだけだろうか。
思い入れも、ある種の先入観といえなくはないだろうか。

思い込みの「込み」と思い入れの「入れ」は、
「入」という字が共通してある。
先入観にも「入」が共通してある。

またくり返すことになるけれど、
五味先生の文章からオーディオをスタートした。
それを核として、瀬川先生、岩崎先生、菅野先生、岡先生、黒田先生といった人たちの文章を読み、
肉付けしていった、ともいえる。

そんな私にとってはタンノイのオートグラフは特別な存在のスピーカーであり、
JBLの4343も、やはりまた特別なスピーカーシステムである。
他にもいくつかの特別な存在のスピーカーがある。

これらのスピーカーを鳴らす機会があったとする。
うまく鳴らなかった、としても、そこには思い入れという先入観が私にはあるから、
そこで目の前にあるスピーカーのせいだとは、決して思わない。

うまく鳴らない理由は、自分の側にある、と判断することになる。
特別な思い入れがあるから、たとえひどい音からスタートしたとしても、
いつかは必ず、と思い、鳴らし込んでいくことだろう。

Date: 12月 18th, 2013
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(先入観・その2)

ステレオサウンド 4号から10年後に出た別冊HIGH-TECHNIC SERIES-1でも、
井上先生はJBLの130AとLE175の組合せについて書かれている。
ここでのホーンはパーフォレイテッドプレート型ではなく、
スラントプレート型の音響レンズつきのHL91である。

130Aをおさめるエンクロージュアは、
ステレオサウンド 4号ではC40(つまりハークネス)で、
HIGH-TECHNIC SERIES-1では4530。
どちらもバックローディングホーン型式である。

そういう違いはあるものの、基本的には同じユニット、エンクロージュアの組合せで、
スピーカーシステムを構成されている。

HIGH-TECHNIC SERIES-1でも、こう書かれている。
     *
システムトータルの音は、いわゆる、現在でいうJBLサウンドではないが、比較的に小音量で鳴らすときにはハイファイというよりは、ディスクならではの蓄音器的なノスタルジックな響きである。
     *
いま私は、これと基本的に同じといえるシステムで聴いている。
D130とLE175DLH、エンクロージュアはC40である。

たしかに比較的に小音量で鳴らしたときの、このシステムの音は穏やかであるし、
「蓄音器的なノスタルジックな響き」を、帯域を拡げた音とも感じられる。

Date: 12月 18th, 2013
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(先入観・その1)

ステレオサウンド 4号の井上先生の文章では、「先入感」とあったので、
そのまま先入感としたわけだが、いうまでもなく先入観が正しい。

辞書には、前もってつくられた固定的な観念。それが自由な思考を妨げるときにいう、とある。
観念は、物事について抱く考えや意識、である。

「らしからぬ音」と口走ってしまうのは、先入観があるから、といえるし、
その先入観をつくってきたのは、オーディオ雑誌ではないか、という声もある。

そうだともいえるし、そうではない、ともいえる。
私は、そう思っている。

井上先生の、JBLのユニットについて書かれた文章は、
ステレオサウンド 4号に載っている。
ステレオサウンドが創刊されて、四冊目の号である。

ここで井上先生が書かれている「先入感」とは、何によってどうやってつくられたものなのか。
そのことを考えてみる必要はある。

先入観をつくってきた責任は、オーディオ雑誌だ、と言い切ってしまえば、
読み手としては、ある意味、楽である。
けれど、オーディオ雑誌が先入観をつくってきた、と考えることそのものが、
実は先入観であることもある。

Date: 12月 17th, 2013
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(ある文章)

「JBLらしからぬ音」
「JBLってこういう音がするんですか」。

どんなスピーカーであっても、そのブランドイメージがあって、
そのブランドイメージによって音が語られ、音が判断されてしまうことがある。

その人なりのブランドイメージがあって、
そのイメージとそぐわない音が鳴ってきたときに、
らしからぬ音、という表現を口にするのかもしれない。

JBLらしからぬ音、タンノイらしからぬ音、アルテックらしからぬ音……、
世の中にはブランドの数だけ、この「らしからぬ音」が存在しているといえるのだが、
その中でも、JBlほど、「らしかぬ音」が使われるブランドは、他にない。

JBLが古くから知られるブランドであるから、ということは理由にはならない。
アルテックにしてもタンノイにしても、古くから同じくらいに有名なブランドである。
にもかかわらずJBLだけが突出して「らしからぬ音」が語られるのは、なぜなのか。

ある文章を引用しよう。
     *
少々のクセはあるかも知れぬが高能率のスピーカーに悪いものは少ない。どうも昨今JBLブームの感もあるが、その意見について、どうも相当な誤解のある事は事実で、JBLと云えば派手なアメリカ的な音を想像されるだろうが巷で鳴らされているJBLは、まさしくその様子である。
 然しメーカーの指示に従い正しく使用すれば使い込む必要もなく最初から、使用者の意を受ける如く、おだやかな音を出してくれるのには驚かされる。臨場感というのか将に楽器が、そこにあり、音楽を聞くものに迫ってくる感じは、装置の存在をさえ忘れる想いがする。よくクラシック向きとジャズ向きときに装置のプログラムソースに対する順応性が云われるが、この組合せ程度以上になると、どうも余り、何とか向き、を感ずる事は少なくなる。常々思う事にどうもステレオファンには固有の感覚上と定義的な先入感で楽器の音を評価する方が多い。例えば全金属性ピアノ?(響板も金属性)等どうも音の評価のみに捕われている場合によれば音楽は、苦痛の原因ともなる。先ず音を聞いて、それから音楽を聞くのならまだ幸せだろう。音を聞いて感激した事は数多いが、音楽をレコードを通して聞いて感激する事の極めて稀になってしまった私にとってJBLのスピーカーは又夢を与えてくれた様子である。
     *
井上先生の文章だ。
ステレオサウンド 4号の特集記事(組合せ)で、
JBLの130Aと175DLHを中心とした組合せについて書かれたものである。

ステレオサウンド 4号は1967年に出ている。

Date: 12月 16th, 2013
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(ホーンについて)

JBLのスピーカーユニットにおけるコンシューマー用とプロフェッショナル用の違いがあるように、
コンプレッションドライバーと組み合わせるホーンに関しても、
JBLには、ある違いがあった。

JBLのコンシューマー用のホーンには、すべて音響レンズがつく。
スラントプレートの音響レンズ(4343などのスタジオモニターに採用されたタイプ)、
パーフォレイテッドプレートの音響レンズ(LE175DLHとHL88の、いわゆるハチの巣)、
このどちらかがつくことになる。

例外といえるのはH5038Pである。
このホーンには音響レンズはないけれど、
このホーンを採用しているJBLのスピーカーシステムはD44000 Paragonであり、
Paragonはホーンの開口部を聴き手に直接向けているわけでなく、
中央の、大きく湾曲している反射板に向けているわけで、
音響レンズをつけなかった理由もここにあり、
なんらかの拡散を行っている。

ちなみにH5038Pのプロフェッショナル版は2343である。

プロフェッショナル用のホーンにも、スラントプレート、パーフォレイテッドプレート、
どちらの音響レンズつきのホーンはある。
スラントプレート型は2391、2392、2390、2395であり、パーフォレイテッドプレートは2305である。

プロフェッショナル用では、これらの他に、ディフラクション型の2397、
ラジアルホーン2340、2345、2355、2350がある。
1980年代にはいり、バイラジアルホーンがいくつも登場してくる。

当然これらのホーンの開口部には音響レンズはない。
プロフェッショナル用では、音響レンズつきとなしがラインナップされている。

Date: 12月 15th, 2013
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(375と2440の違い)

JBLのスピーカーユニットは、コンシューマー用とプロフェッショナル用で、
振動板に違いはない。

375と2440をくらべてみれば、磁気回路も同じである。
振動板も同じであれば、いったい何が違うのか。
375と2440(これに限ることはないけれど)を比較試聴してみれば、
コンシューマー用ユニットとプロフェッショナル用ユニットには、あきらかな音の違いがある。

375と2440を並べてみると、まずすぐにわかる違いとしては端子の違いがある。
どちらもプッシュ式の端子だが、2440についている端子の方がひとまわり大きい。

とはいえこの部分だけの違いで、375と2440の違いが生れるとは考えられない。

他に何が違うのか。
375と2440の例でいえばバックカバーの形状に、わずかな違いがある。

375のバックカバーは基本的に円である。
入力端子の取り付け位置だけ内側に凹んでいるだけで、
375の裏側となる水平面はフラットである。

2440はこの部分にわずかな傾斜がつけられている。
中心部はフラットなのだが、外周部に近くなるところで傾斜している。

375と2440のバックカバーの形状の違いはさわってみれば、すぐにわかる。

この違いが、なぜ音に影響するのか。
多少強度の違いは発生するだろうが、
これもそれほどはっきりとした音の違いになるとは考えにくい。

実はバックカバーの、このわずかな形状の違いにより、
同じ仕様の磁気回路なのだが、2440のほうが磁束密度が高くなる、という話をずっと以前にきいている。

そのころJBLの取扱いはサンスイだった。
サンスイの人たちもコンシューマー用とプロフェッショナル用のユニットの音の違いが、
なぜ生じるのか、そのことをはっきりとさせるために実験した結果、
バックカバーの形状の違いで磁束密度が変化することが判明した、とのことだ。