Archive for category アナログディスク再生

Date: 8月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その2について補足)

エラックのSTS455Eの仕様について、資料があったはず、と探してみた。
見つかった。
1976年に誠文堂新光社から無線と実験別冊としてでた「プレーヤー・システムとその活きた使い方」、
この本の207ページに一欄表が載っている。
国産・海外カートリッジの代表的なモデルの、直流抵抗、インダクタンス、
1kHz、10kHz、20kHzの電気インピーダンスの計算値が表になっている。

STS455Eの直流抵抗:1310Ω、インダクタンス:508mH、
インピーダンス:3.5kΩ(1kHz)、32kΩ(10kHz)、64kΩ(20kHz)、
以上のことから、MM型カートリッジとしてもハイインピーダンス型といえる。

同じエラックの4チャンネル再生用のSTS655-D4の値は、
それぞれ652Ω、216mH、1.5kΩ、14kΩ、27kΩである。

エラックとともにMM型カートリッジの特許をもつシュアーの代表的モデルといえばV15 TypeIIIの値は次の通り。
1350Ω、434mH、3.0kΩ、27.3kΩ、55kΩとSTS455Eと近い値となっている。

同じMM型でも国産カートリッジは、エラック、シュアーより、全体的にローインピーダンス寄りといえる。

Date: 8月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その5)

現実のアナログプレーヤーの信号伝送経路を子細にみていくと、
まず発電コイルからの引き出し線がカートリッジの出力ピンにハンダ付けされる。
ここでまず出力ピンという異物がひとつ加わることになる。

この出力ピンにシェルリード線がハンダ付けされることはまずなく、
シェルリード線の両端には金属製のカシメがつけられる。
ここでもカシメ、それにシェルリード線という異物が加わる。
ヘッドシェルのプラグ部分にも金属製のピンという異物がある。

ヘッドシェルの出力ピンと接触するトーンアーム側のプラグイン・コネクターにも接点ピンという異物があり、
トーンアームパイプ内の配線と接続されている。
このパイプ内部配線がトーンアームの出力端子までいき、そこで出力端子の接点へとハンダ付けされる。
ここから先はトーンアームの出力ケーブルがあり、
このケーブルの両端にはRCAプラグがついているわけだから、
同じように異物が存在することになる。

ざっとこれだけのモノがカートリッジの発電コイルからアンプの入力端子までの経路である。
カートリッジの発電コイルからそのまま配線を長くしていった理想の在り方からすると、
なんと多くの異物が途中途中に挿入されていることになる。

しかも実際にはハンダが含まれ、接点箇所には接点ならではの微細な異物もある。

私は、これがたった数cmのシェルリード線を変えても音が変ることの理由ではないか、と考えている。

Date: 8月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その4)

それぞれに謳い文句があり、しかも価格もそれほど高価ではない。
アントレーのSR48は500円と安価な方だった、高価なものもあった。
けれど高価といっても、シェルリード線の長さということもあって、手軽に交換が楽しめる範囲におさまっていた。

私は前述した理由でシェルリード線の交換にはまることはなかったけれど、
このカートリッジには、このヘッドシェルとこのシェルリード線を組み合わせて、
このレコードを聴く──、
そんな音づくりの楽しみ方もあっただろう、とは思う。

トーレンスの101 Limitedを早々と買ってしまい、
カートリッジ交換の楽しみから遠いところにある環境になったため、
こういう楽しみ方をすることはなかった。

もしSMEの3012-R Specialを使い続けていたら、
そういう楽しみ方をしただろうか……、と、ふり返る。

とにかく各社から登場してくるシェルリード線を見ていて思っていたのは、
理想としてのシェルリード線の在り方についてだった。

おそらく理想はカートリッジの発電コイルに使っている銅線(もしくは銀線)が、
そのままシェルリード線になっていくことのはず。
そして、これを突き進めていくと、さらに延長し、そのままトーンアーム・パイプ内の配線となり、
さらにトーンアームの出力ケーブルまで延ばすことになる。

つまり発電コイルからアンプの入力端子まで、一本の銅線(銀線)が途切れることなく続いている、
つまり接点もどこにも存在しないし、途中に他の物質が挿入されるわけでもない。
これが、シェルリード線の理想の在り方だと仮定すれば、
現実のアナログプレーヤーの信号伝送系のケーブルと接点は、ずいぶん遠いところにあった、といえよう。

Date: 8月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その3)

アントレーのSR48に交換したことが、
すべての面でよい方向になったわけではないが、それでも音の変化は確認できた。
わずか数cmのシェルリード線を交換しただけで、音は変る。

シェルリード線はぎりぎりの長さになっているものは少ない。
長さ的に余裕があり、通常の使用ではシェルリード線がまっすぐになることはない。
あまっている長さの分だけカーヴすることになる。

SR84はリッツ線ゆえにカーヴすると芯線がバラける傾向があった。
それが気になっていた。

SR48はどのくらい使っていただろうか。
そんなに長くはなかった。
ヘッドシェルを、オーディオクラフトから出たばかりのAS4PLにしたまでの間だけだった。

AS4PLにはオーディオテクニカのMG10についていたシェルリード線よりも、
見た感じの立派なモノがついていたし、
たしか片側がハンダ付けされていたため、シェルリード線の交換ができなかった、はず。

MG10 + SR48でエラックのSTS455Eを使うよりも、AS4PLに取り付けたほうが好ましかった。
その後に新たに購入したオルトフォンのMC20MKIIも、AS4PLに取り付けて使っていた。

このオーディオクラフトのAS4PLが、私にとっての標準ヘッドシェルになっていった。
もしAS4PLを使っていなければ、各社から発売されていた各種のシェルリード線にはまっていっていた、だろう。

さまざまなシェルリード線が、あのころはあった。

Date: 8月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その2)

はじめてシェルリード線を交換した時につかっていたカートリッジは、
エラック(エレクトロアコースティック)のSTS455Eだった。
ヘッドシェルはオーディオテクニカ製だった。
おそらくMG10だったはず。

MG10は当時2200円。
シェルリード線は、当時もっともよく見かけていたタイプがついていた。
細めのケーブルで、赤緑白青の四色に色分けされていた。
これが、いわば標準だった。
これを、アントレーのSR48に交換した。

MM型カートリッジは、MC型カートリッジよりもコイルの巻数が多い。
発電コイルの直流抵抗は500Ω、インダクタンスは500mHあたりが標準だといわれていた。
国産のカートリッジの中には、ローインピーダンスを謳っていなくとも、
直流抵抗がその半分程度のものがいくつかあったし、インダクタンスも低めのものがあった。
反対に海外製の中には、直流抵抗が1kΩをこえるタイプもあった。

エラックのSTS455Eがどのくらいの直流抵抗とインダクタンスだったのかは知らないけれど、
大ざっぱにいえば海外製のMM型カートリッジは直流抵抗、インダクタンスともにやや高め傾向にある。

STS455Eもそのタイプだと仮定すれば、発電コイルに使われている銅線の長さはかなり長くなる。
トーンアームのパイプの中を通っているケーブルもシェルリード線よりも長い。
しかもコイルとパイプ内のケーブルはかなり細い。
トーンアームからアンプまでは、またケーブルが存在する。

こうやって考えると、カートリッジのコイルからアンプの入力端子までに、
四種のケーブルが最低でも存在する。
シェルリード線は、その中で、もっとも短い。
そんなシェルリード線なのに、交換すれば音は確実に変る。

Date: 8月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その1)

1970年代後半には、ケーブルで音が変ることが浸透し始めていた。
とはいえメーカーからは、それほど多くのケーブルが出ていたわけではなかった。

ステレオサウンドが当時毎年二回発行していたHI-FI STEREO GUIDEの’77-’78年度版をみると、
スピーカーケーブルを発売していたのは国内の11社、
トーンアームの出力ケーブルは国内3社、
まだまだこのくらいだった。

シェルリード線に関しては、アントレーだけだった。
SR48という型番のリッツ線だった。
価格は4本1組で500円だった。

実はこれが私にとって、最初のケーブル交換の体験でもあった。
理由は簡単だ。
500円と安かったからで、高校生の私にとってはこれは大きなことだった。

SR48は芯線の一本一本を絶縁した構造で、
芯線の撚りはけっこうあまかった、と記憶している。

ケーブルで音が変る──、
けれど自分のシステムでほんとうに音が変るのか、
変ったとしても、自分の耳にそれがわかるのだろうか、
そんな不安めいたことも思いつつも、
これでどのくらい音が「良くなる」んだろう、と期待しながら、
シェルリード線の交換をしていた。

Date: 8月 5th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(RS-A1のこと・その4)

回転ヘッドシェルの音をいちどでも聴いている人ならば、
1997年1月号のラジオ技術のコンポ・グランプリの座談会で語られているRS-A1の音を、
ある程度は具体的に想像できるのではないだろうか。

ラジオ技術に回転ヘッドシェルの記事が載った時、
おもしろそうだと思いながらも、回転ヘッドシェルを実現するには、シェルリード線がいわば邪魔な存在となる。

回転ヘッドシェルはカートリッジがヘッドシェルにしっかり固定されているわけではなく、
いわばサブヘッドシェルにカートリッジを取り付け、
このサブヘッドシェル部分が水平方向に回転する構造になっている。

つまりカートリッジを回転しているレコード盤面に降ろせば、
カートリッジは音溝に対して接線方向を向く、という原理だ。

シェルリード線は、その回転をさまたげる存在となる。
音質向上のために、このころは各社からいろんなシェルリード線が発売されていた。
そういったシェルリード線では硬すぎるし太すぎるし、
回転ヘッドシェルにはとうてい使えない。

回転ヘッドシェル用には、細くしなやかなリード線でなければならない。
実は、この点が気になっていた。
特にローインピーダンスのMC型カートリッジの場合、
わずか数cmとはいえ、細いリード線を使うことが、どういう影響を与えるのか、
まずそのことが気になってしまった。

とはいえ回転ヘッドシェルは気になっていた。
最初の記事が出てから、どのくらい経ってからだったか忘れてしまったが、
ラジオ技術から回転ヘッドシェルが登場した。
RS1という型番で、オーディオテクニカのヘッドシェルを改造したモノだった。

Date: 8月 5th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(RS-A1のこと・その3)

RSラボのトーンアーム、RS-A1は、ラジオ技術の「ベスト・ステレオ・コンポ・グランプリ」に選ばれている。
1997年1月号において、である。
選考委員は菅野沖彦、長岡鉄男、若林駿介、高橋和正、石田善之、金井稔の六氏。

記事は座談会をまとめたもので、
この座談会を読んでいない人には、ラジオ技術が自分のところのトーンアームをコンポ・グランプリに選出している、
お手盛りじゃないか、そんなものは信用できない、と思われるかもしれない。

けれど座談会を読んでいけば、このRS-A1というトーンアームが、
どういう存在意味をもっているのかが理解できるはずだし、
それが理解できれば、コンポ・グランプリに選ばれたことにも納得できる。

座談会を読めばわかることだが、
RS-A1というトーンアームの存在意味について、積極的に評価されているのは菅野先生である。
意外に思われる方もいるはずだ。

RS-A1の写真を見れば、菅野先生が高く評価されるようなつくりをしていないことはすぐにわかる。
それについては、菅野先生も指摘されている。
それでも、RS-A1への評価は高い、といえる。

座談会は若林氏の「RS-A1はおもしろかったし、よかったですよ。」から始まる。
続けて菅野先生が語られている。
     *
いろいろな音のアームがあっていいという面からも評価できるし、「エッ、こういうやりかたがあるの」というコロンブスの卵的発想のおもしろさもある。正直いってこれで商品として魅力のある造りなら5点を出してもいいんてず。それが残念だね。
     *
RS-A1は、どういうトーンアームで、どういう音を聴かせるのか。
これが実に興味深い内容の座談会になっている。

Date: 8月 4th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(RS-A1のこと・その2)

カッターレーサーの胸像こそがアナログディスク再生のプレーヤーの理想のように思い込んでいた時期が、
私にもある。

リニアトラッキングアームこそが、トーンアームの理想であり、
いかに理想に近いリニアトラッキングアームを考え出すか。
そんな時期もあった。

ステレオサウンドにいれば、各社のリニアトラッキングアームを見ること、触ること、聴くことができる。
そうやって気がついたことがいくつかある。
そうやってリニアトラッキングアームの現場が抱えている問題点にも気がつくことになる。

つまりリニアトラッキングアームは、ほんとうにトーンアームの理想なのか、ということに疑問をもつようになる。
そんなときと重なるように、ラジオ技術で回転ヘッドシェルの記事が載った。

1980年代半ばごろだった。
三浦軍志氏の記事だった。

三浦氏はQUADの管球式コントロールアンプ、22の記事をよく書かれていた。
TQWT(Tapered Quarter Wave Tube)形式のスピーカーの記事も書かれていた。

22の記事もTQWTの記事もよく読んでいた。
その三浦氏が回転ヘッドシェルなるものをラジオ技術で発表された。

とはいえ最初の記事で、回転ヘッドシェルのもつ可能性に気づいていたわけではなかった。
ただ、回転ヘッドシェルがうまく動作するであれば、
リニアトラッキングアームにこだわる必要がなくなることは気づいてはいた。

Date: 8月 4th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(RS-A1のこと・その1)

つい先ほどラジオ技術のウェヴサイトを見ていた。
いつもは次号の表紙を確認するくらいなのだが、たまには下までスクロールしてみた。

毎月12日似発売になる号の紹介の下には、
書籍の紹介があり、真空管アンプのキットの紹介が続く。
そして、また書籍の紹介があり、いちばん下までスクロールすると、
1996年ごろから発売しているトーンアームのRS-A1の写真がある。

今日現在、RS-A1の写真と簡単な紹介文は残っているものの、
「生産終了しました」と赤字である。

製造中止になったのか、
いつなったのだろうか、
ときどきラジオ技術のサイトにはアクセスするものの、いちばん下までスクロールしたのは、
前回はいつだったのか思い出せない。

つまりRS-A1がつい最近製造中止になったのか、それとも一年前だったのか、
もっと前だったのか、は、だからわからない。
たぶん、けっこう前なのではないのだろうか。

ただ、このトーンアーム、あまり注目されずに消えてしまったのか、と残念におもっている。

RS-A1は写真を見てもらえればわかるように、アマチュアの手づくりのような雰囲気をもっている。
価格は当時65000円だった。
1990年後半には、高価なトーンアームもいくつか登場したいたのだから、
65000円という価格は、それだけで注目を集めることが難しかったのかもしれない。

RS-A1が10倍の値付けで、海外のメーカー製ということだったら、
注目度も大きく違っていたことだろう。
でも、RS-A1はラジオ技術のブランド、RSラボの製品ということが、
このトーンアームの存在をマイナーにしていたようにも思う。

Date: 7月 22nd, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その6について、さらに余談)

私がトーレンスのTD224のカラー写真を見たのは、ステレオサウンド 39号が最初だった。
「オーディオの名器にみるクラフツマンシップの粋」にはカラーが4ページある。
扉にはガラード・301とトーレンスのTD124/IIを真正面撮った写真、
つづく見開きのページには斜め上からの301とTD124/II、
カラーページの最後にTD224だった。

この39号のカラー写真が最初だったこともあり、
TD224のデッキ部分の色は、こんな感じなんだ、とずっと思っていた。
同じトーレンスのTD124とはずいぶん色合いが違うけれど、
これもターンテーブル単体のTD124とプレーヤーシステム、それもオートチェンジャーのTD224、
それぞれの性格の違いから、あえてデッキ部分の色を変えているのだと、そう受けとってしまった。

TD124、301は実物を見る機会も、触る機会も、音も聴くことができたけれど、
TD224に関しては、岩崎先生のTD224を対面するまで、それらの機会はなかった。

そんなこともあって、いま私のところにあるTD224、
確かに汚れはあるけれど、デッキ部分の色はステレオサウンド 39号のままだ、と思った。

昨日、Exclusive F3のクリーニングのために「激落ちくん」を買ってきた。
「激落ちくん」に関しては、特に説明は要らないだろう。
ドイツ生れの新素材のスポンジで、水に濡らして、あとは軽くこすっていくだけである。

特殊な薬品を使わずに汚れを簡単に落していける。
Exclusive F3はずいぶんキレイになった。
まだ細部のクリーニングは残っているけれど、
この「激落ちくん」でTD224もクリーニングしてみよう、と思い、
こっちを優先してしまった。

塗装面ということもあってか、Exclusive F3のときよりも劇的に汚れが落ちるわけではないけれど、
少しずつ汚れは落ちていく。
すると、ステレオサウンド 39号のTD224のカラー写真は、
実は煙草のヤニによって変色していたことがわかる。

ステレオサウンド 39号は1976年出版、
岩崎先生が中野でやられていたジャズ・オーディオは1974年春に閉店している。
いまとは違い、当時は禁煙席などないし、煙草の煙はきっと店内に充満していたことだろう。
なにせ1970年代のジャズ喫茶なのだから、それが当然の風景であったはず。

そういう場所・時代で使われてきたTD224だから、その汚れも「勲章」なのかもしれない。
いわば時代の証しとして、TD224の表面を覆っている、この汚れ、
すでに一部落し始めてしまった。落した汚れはもう元には戻せないから、
これから先ゆっくりとキレイにしていくしかない。

Date: 7月 19th, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その6についての余談)

ステレオサウンド 39号掲載の「オーディオの名器にみるクラフツマンシップの粋」、
ここではトーレンスのTD124とガラードの301がメインで取り上げられていて、
TD224についてもふれられている。

367ページには、岩崎先生、長島先生、山中先生が、
301とTD224をはさんですわられている写真が載っている。

301はキャビネットなしの単体、
TD224はかなり大きめのキャビネットに取り付けられた状態。
このTD224は、私の部屋にいまあるTD224そのものである。
つまり岩崎先生のTD224であり、
中野のジャズ・オーディオで使われていたTD224である。

Date: 6月 3rd, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(些細なことについて)

シェル一体型のカートリッジでなければ、なんらかのヘッドシェルに取り付けることになる。
単体のヘッドシェルの場合もあるし、
SMEの3009S/IIIやSeries Vのようにシェル部分がアームパイプと一体化されている場合もある。

どちらにしてもネジを使ってカートリッジをシェル部分に取り付けることになるわけだが、
シェル側に設けられているネジ穴にタップを切ってある場合は下からネジをいれる。
アームパイプとシェル部分が一体化されたものに多いのが、シェル側の穴にタップを切ってないものの場合、
つまりナットを用意して固定する場合には、
ネジを上からなのか、下からなのか、どちらでもいける。

私は、この場合、上からネジをさしてナットを下側にもってくる。
ずっとこれで固定してきたし、こういうシェルの時、下からネジをいれたことはなかった。

特に意識していたわけでもなかったけれど、ずっとそうやってきたし、
他の人もそうやるものだと勝手に思い込んでいたところもある。

インターネットが普及して、オーディオマニアの中には自分のシステムの写真を公開している人も少なくない。
それらの写真を見て気づいたのが、このネジに関することだった。

下からネジをいれてナットを上にしている人がいる──、
そのことに少し驚いた。

でも考えてみればヘッドシェルにタップが切ってある場合は下からネジなのだから、
ナットを使う場合も、それと同じで下から、そう考えれば納得できるといえばそうなる。

シェル側にタップを切ってない場合(ナットを使う場合)、ネジはどちらからなのか。
どちらでもいいといえばそれまでなのはわかっていても、
私の感覚としてはやはり上から、である。

それもマイナスネジの場合、ふたつのネジのスリットが延長線上にくるようにそろえる。
こんなところをきちんと揃えたからといって音に変化はない。

だからといってネジのスリットがあちこちを向いているのはいやだし、
併行になっているのも、しっくりこない。
やはり一直線になるようにしたいし、そうする。

もちろんネジの締付けは同じにしなければならないから、その分手間がかかるといえばかかる。
でも一度やっておけば、その後、そうそういじるところでもない。

いまの時代、アナログディスク再生をやるのであれば、
音に直接関係のない、こういう些細なところにこだわっていくのもいいのではないだろうか。

Date: 5月 18th, 2013
Cate: アナログディスク再生

アナログディスクの回転数

LPの回転数は1分間33 1/3で、これは3分間でちょうど100回転になるから、
そんなふうな説明がずっと前からあった。
私もこの説をかなり以前から聞いていたし読んでもいた。

けれどなぜ3分間なのか、その理由がわからなかった。
シングル盤の45回転は3分間の回転数にしても5分間の回転数にしても、
LPのように3分間で100回転というふうに、ぴったりとくる数字があるわけではない。

SPの78回転にしてもそうだ。
となると、実は3分間で100回転が理由ではなく、他に技術的な理由があるはず。
そう思っていても、実際に資料にあたって調べていくということはしなかった。

それでもいろんなものを読んでいくと、偶然にそのヒントに遭遇することがある。

それはSPの回転数に関することだった。
シンクロナスモーターの1分間の回転数は3600。これを46で割った値が78回転ということである。
だから正確には78.26回転ということになる、とあった。

そこにはここまでしか書いてなかった。
でも、すくなくともSPの回転数がシンクロなロモーターの回転数から決っていることはわかった。
ならば3600回転をLP、シングル盤の回転数、33 1/3回転、45回転で割ってみれば、
それぞれ108と80という、ぴったり割り切れる数字が出てくる。

それにしてもシンクロナスモーターの回転数(3600)を煩悩の数(108)で割った値が、
LPの回転数であるということに、
オーディオの苦悩が、すでにLPの規格が決った時点で顕れていた、と、
そんなふうに受けとめることもできよう。

Date: 5月 17th, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その17)

使いこなしのこと(その17 続×十一 補足)」の最後のところで、
EMTの930st、927Dst、トーレンスのインナーターンテーブルのシルエットはコマであると書いた。

コマは、その加工精度が高いほど回転が安定し回転している時間も長くなる。
つまりターンテーブルをコマと見立てるのであれば、
ブレることのないシャフトをもつ、ターンテーブルプラッターのどこにも偏りが存在せず、
というのがターンテーブルの在り方となる。

コマは高速回転しているほど、
そして加工精度が高ければ高いほど、止っているようにも見える。
それは回転しているから静止しているようにも見えるわけである。

回転が遅くなってくると、コマはブレはじめる。不安定状態になる。
やがて倒れてしまう。

ターンテーブルとコマと完全に同一視してしまうのはどうかとも思いながらも、
安定した回転、静止したようにも見える回転状態を考えると、
アナログディスク再生の難しさのひとつは、
ターンテーブルプラッターが低速で回転していることにある、といえるのではないだろうか。

1分間で33 1/3回転(つまり3分間で100回転)は、コマの回転速度としては遅い。
コマとターンテーブルプラッターとの直径の違い、重量の違い、
シャフトが軸受けに収まっているかどうかという違いがあるのはわかっている。

それでも回転体としての安定ということについては、
加工精度と回転速度が大きく関係しいてることには変りはない。

LPの回転数は33 1/3回転と決っているのだから、
ここで回転数(回転速度)が遅いのがアナログディスク再生の問題ではないか、
といったところでどうにかなるわけではない。

それでも高速回転しているコマは、コマ同士をぶつけ合った際にも回転の弱いコマ、
精度の落ちるコマをはじき飛ばすことができる。
ということは高速回転することで、外乱要素に対しても強いのではないのか。

回転数が遅いほど、外乱要素を受けやすくなる──、
そんな気もしてくる。