私にとってアナログディスク再生とは(RS-A1のこと・その4)
回転ヘッドシェルの音をいちどでも聴いている人ならば、
1997年1月号のラジオ技術のコンポ・グランプリの座談会で語られているRS-A1の音を、
ある程度は具体的に想像できるのではないだろうか。
ラジオ技術に回転ヘッドシェルの記事が載った時、
おもしろそうだと思いながらも、回転ヘッドシェルを実現するには、シェルリード線がいわば邪魔な存在となる。
回転ヘッドシェルはカートリッジがヘッドシェルにしっかり固定されているわけではなく、
いわばサブヘッドシェルにカートリッジを取り付け、
このサブヘッドシェル部分が水平方向に回転する構造になっている。
つまりカートリッジを回転しているレコード盤面に降ろせば、
カートリッジは音溝に対して接線方向を向く、という原理だ。
シェルリード線は、その回転をさまたげる存在となる。
音質向上のために、このころは各社からいろんなシェルリード線が発売されていた。
そういったシェルリード線では硬すぎるし太すぎるし、
回転ヘッドシェルにはとうてい使えない。
回転ヘッドシェル用には、細くしなやかなリード線でなければならない。
実は、この点が気になっていた。
特にローインピーダンスのMC型カートリッジの場合、
わずか数cmとはいえ、細いリード線を使うことが、どういう影響を与えるのか、
まずそのことが気になってしまった。
とはいえ回転ヘッドシェルは気になっていた。
最初の記事が出てから、どのくらい経ってからだったか忘れてしまったが、
ラジオ技術から回転ヘッドシェルが登場した。
RS1という型番で、オーディオテクニカのヘッドシェルを改造したモノだった。