私にとってアナログディスク再生とは(シェルリード線のこと・その1)
1970年代後半には、ケーブルで音が変ることが浸透し始めていた。
とはいえメーカーからは、それほど多くのケーブルが出ていたわけではなかった。
ステレオサウンドが当時毎年二回発行していたHI-FI STEREO GUIDEの’77-’78年度版をみると、
スピーカーケーブルを発売していたのは国内の11社、
トーンアームの出力ケーブルは国内3社、
まだまだこのくらいだった。
シェルリード線に関しては、アントレーだけだった。
SR48という型番のリッツ線だった。
価格は4本1組で500円だった。
実はこれが私にとって、最初のケーブル交換の体験でもあった。
理由は簡単だ。
500円と安かったからで、高校生の私にとってはこれは大きなことだった。
SR48は芯線の一本一本を絶縁した構造で、
芯線の撚りはけっこうあまかった、と記憶している。
ケーブルで音が変る──、
けれど自分のシステムでほんとうに音が変るのか、
変ったとしても、自分の耳にそれがわかるのだろうか、
そんな不安めいたことも思いつつも、
これでどのくらい音が「良くなる」んだろう、と期待しながら、
シェルリード線の交換をしていた。