私にとってアナログディスク再生とは(RS-A1のこと・その2)
カッターレーサーの胸像こそがアナログディスク再生のプレーヤーの理想のように思い込んでいた時期が、
私にもある。
リニアトラッキングアームこそが、トーンアームの理想であり、
いかに理想に近いリニアトラッキングアームを考え出すか。
そんな時期もあった。
ステレオサウンドにいれば、各社のリニアトラッキングアームを見ること、触ること、聴くことができる。
そうやって気がついたことがいくつかある。
そうやってリニアトラッキングアームの現場が抱えている問題点にも気がつくことになる。
つまりリニアトラッキングアームは、ほんとうにトーンアームの理想なのか、ということに疑問をもつようになる。
そんなときと重なるように、ラジオ技術で回転ヘッドシェルの記事が載った。
1980年代半ばごろだった。
三浦軍志氏の記事だった。
三浦氏はQUADの管球式コントロールアンプ、22の記事をよく書かれていた。
TQWT(Tapered Quarter Wave Tube)形式のスピーカーの記事も書かれていた。
22の記事もTQWTの記事もよく読んでいた。
その三浦氏が回転ヘッドシェルなるものをラジオ技術で発表された。
とはいえ最初の記事で、回転ヘッドシェルのもつ可能性に気づいていたわけではなかった。
ただ、回転ヘッドシェルがうまく動作するであれば、
リニアトラッキングアームにこだわる必要がなくなることは気づいてはいた。