オリジナルとは(その10)
私は見たことがないが、グッドールのコンデンサーが最初から使われていたModel 7もあるときく。
Model 7のボリュウムは、クラロスタット社製だったのがのちに別の会社の部品に変更されている。
電源部のセレンもロットによって、色が違うときいている。
使用部品の変更の少ない、と思われてきたマランツの7でも、部品の変更はなされている。
マークレビンソンのアンプは、部品に関しては、その変遷だけで本が一冊まとめられるくらいに思えるほど、
頻繁に変更されている。
もしかするとまったく同じ部品で作られたLNP2は、どのていど存在するのだろうか、と勘ぐりたくなる。
それでもLNP2は、やはりLNP2である。
LNP2同士を、初期ロットから最終ロットまで、何台かあつめて比較試聴すれば、少なからぬ差が聴きとれる。
初期と最終ロットでは、同じLNP2でも、ここまで違うのかと思う。
でも、くり返すが、それでもどちらもLNP2であって、他のアンプとくらべることで、はっきりとしてくる。
つまり部品の違いで変化する音(というよりも性質というべきか)と変らない性質とがあって、
変らない音(性質)をしっかり見極めて、
ここのところを変質させなければ、製品に手を加えたとしても、オリジナルを改変したとはいえない。
そういう考え方も成り立つ。
だからといって、製品に手を加えることをすすめているわけではない。
ただ、オリジナルであることよりも、オリジナルという言葉に捕らわれてしまうことに気をつけたい。
マランツ Model 7のコンデンサーはスプラーグの Black Beauty、ボリュウムはクラロスタット等々。
実のところ、Black Beautyという言葉、
クラロスタットという言葉だけに捕らわれてしまっているだけなのかもしれない。