オリジナルとは(その5)
マランツのModel 7、マークレビンソンのLNP2を複数台所有されている方がいる。
惚れ込んだモノだけに、その中から最良の一台を見つけ出すためでもあり、
シリアルナンバーと中身のチェックして、変遷の資料づくりをされてたり。
マランツの7もシリアルナンバーによって、使用パーツに変化がある。
LNP2は、7以上に使用パーツの変化は大きい。
以前は自分で購入して中身を調べるか、
あとはオーディオ雑誌に内部写真が載っていたら、それを参考にするぐらいしか手はなかったけれども、
いまはインターネットのおかげで、それにネットオークションのおかげで、
シリアルナンバーと内部の写真を知ることができる。
得られる情報量はインターネット以前とは比較にならぬほど多くなっている。
情報量が多くなればなるほど、資料の精度は増していく、はずだが、
海外製品に関しては、必ずしも情報量と資料の精度の比例しない、というか、
矛盾みたいなものが浮び上ってくるはずだ。
極度な神経質なマーク・レヴィンソンが主宰していた会社の製品だから、
たしかに使用パーツの選択にはおそろしく気が使われている。
その一方で、マークレビンソンもマランツも海外メーカーであることを忘れてはならない。
井上先生は、よく「海外製品を買う時は、聴いて、いい音だと思ったら、そのものを買うこと」と言われた。
アンプでもスピーカーでも、その音が気に入って「ほしい!」と思ったなら、
たとえその製品に傷があっても、それを買うこと。
マニアの心理としては、傷のない新品を欲しい。
高価なモノになればなるほど、傷ひとつないモノを手もとに置きたい。
けれど海外製品は、同じ型番のモノでも、
ひとつとして同じ音を出さない、と思っていた方がいい、ということだった。
このことを井上先生から聞かされたのは1980年代だったから、
いまはそういう状況ではなくなっているかもしれない。
でも、少なくとも当時は、このことは否定できない事実だった。