オリジナルとは(その6)
国産のオーディオ機器の常識は、海外のオーディオ機器にはあてはまらないことがいくつかある。
そのひとつが、製造における均一性だ。
国産のオーディオ機器であれば、型番が同じであれば、製造ロットが違っていても、
厳密に聴き比べればわずかなバラツキによる音の差までは完全になくせないまでも、
基本的には同じ音がする。
型番が同じであれば、使用パーツにも違いはない。
こういう製造のレベルの高さは、日本製の良さである。
そういう日本製(オーディオ機器に限らず)にかこまれて暮らしているわれわれ日本人は、
型番が変らなければ、中身は同じである、とつい思ってしまう。
でも海外製品(これもオーディオ機器に限らず)、手もとにそのパーツがあったから、という、
日本人からすると理解に苦しむ理由で、ときどき違うパーツが使われていることがある。
日本人の感覚からすると、いいかげんともいえるし、おおらかともいえる、この性格は、
マークレビンソンのアンプに関してもいえる(いまのマークレビンソンに関してはわからないが)。
ロットが変ったからパーツが変った、というような違いではない違いが、実際にある。
それはマランツの真空管アンプに関してもいえることだし、
なにもマークレビンソン、マランツだけでなく、海外のオーディオ機器に関しては、かなりあてはまることが多い。
だから井上先生は、気に入ったら、目の前にあるそのものを買え、といわれたわけだ。
次に入荷する同じ型番の製品が、いま目の前にあるモノと同じ音がする保証はどこにもないからだ。