オリジナルとは(その9)
実際に市場に出廻ったModel 7に使われていたのは Black Beauty だから、
Model 7を元に戻すためには Black Beauty でなければならない、とするか、
それとも設計者が本当に使いたかったのはグッドールのコンデンサーなのだから、
その意図通りにグッドオール(のちのTRW、さらに社名がかわり現在はASC)を使うのか、
「オリジナル」をどう捉えるかによって、選択が変ってくる。
Model 7を、発表当時に、新品(オリジナル)の音を聴いていれば、
Black Beauty にこだわる気持が私にも生れてくるかもしれない。
それほどに、当時Model 7の音は衝撃的だった、ときいている。
けれど、1963年生れの私が最初にModel 7の音を聴くことができたのは、1980年代の中頃。
すでに製造中止になって20年以上が経過していた。
だから、もし私がModel 7を使うことになったら、コンデンサーは Black Beauty にはしない。
またダメになることがわかっているし、シドニー・スミスの頭の中にある「オリジナル」のほうを尊重したいから、
グッドール(現ASC)に置き換える。