Date: 4月 16th, 2011
Cate: オリジナル
Tags:

オリジナルとは(その11)

「オリジナル」であることにこだわることは、細部に捕らわれやすくなる。
マランツModel 7の例のように、コンデンサーは Black Beauty、抵抗はアレーン・ブラッドレーとか。
でもアレーン・ブラッドレーは、以前はアメリカで生産していたのが、いつからははっきりと知らないが、
メキシコ製に変っていったし、Black Beauty にしても最初のものはカラーコードで容量を示していたのが、
いつのころからか数字で表すようになっていった。

部品そのものも、実は微妙に変化している。
徹底して「オリジナル」(初期製品の仕様)にこだわっていくとなると、
極端なことをいえば、部品の製造年月まで調べていく必要が出てくる。

不具合のあるモノを、どこまでオリジナル通りに復元できるかとなると、実のところ、
ある程度は自己満足になってしまうようにも思う。

それに目の前にマランツModel 7があれば、完成品として認識する。
でも、オーディオという系は、コントロールアンプだけでは音は出ない。
カートリッジ、トーンアーム、ターンテーブルからなるプレーヤーシステムがあって、
パワーアンプがあって、スピーカーシステムがあり、
そしてプログラムソースが存在して、はじめて音が鳴る。

オーディオの「系」こそを完成品として捉えるとしたら、スピーカーシステム、パワーアンプ、コントロールアンプ、
プレーヤーシステム、CDプレーヤー、といった個々のオーディオ機器も、ひとつの大きな部品と捉えられる。

それに別項の「境界線」のところで書いているが、スピーカーシステムとパワーアンプの境界線、
いいかえればパワーアンプの領域、スピーカーシステムの領域を考えたとき、
スピーカーケーブル、ラインケーブルは、どのオーディオ機器の領域に属するのか。
仮にスピーカーケーブルは、スピーカーシステムに属するものだとしたら、
あるスピーカーシステムに付属してきたケーブルを使わずに、他社製のケーブルを使用したら、
実は、それも「オリジナル」に手を加えた、ということになる。

これは、屁理屈では決してない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]