オリジナルとは(その3)
もちろん604-8G以降のバネ式のターミナルをオリジナルとして、
いっさい手を加えずにそのままで使うというのも、ひとつのやり方である。
アルテックの604シリーズや、
JBLのウーファー、フルレンジユニットでも、D130、150-4Cの流れを受けつぐユニット、
それにコンプレッションドライバーは、能率がかなり高い。
つまりこの手のスピーカーユニットは、小出力でも十分すぎる音圧を得られる。
最大音圧をえるのに必要なパワーはごくわずか。
ということは、オームの法則で、そのときに流れる電流はわかる。
それほど高くない値だから、スピーカーケーブルもそれほど太くある必要はない、
この程度のターミナルで十分という合理的な考え方も設計の段階であったのかもしれない。
ドイツの高能率スピーカー、シーメンスのオイロダインもスピーカー・ターミナルは、
そんな感じのする、小さなものである。
あれだけウーファー、ドライバーには贅を尽くしていても、スピーカー・ターミナルは、
ここに接続できる太さのスピーカーケーブルを使えば十分である、と主張しているようにも思える。
おまえは、もしオイロダインを手に入れてもスピーカー・ターミナルをいじるのか、と問われれば、
いじらない、と答える。
604-8Gのバネ式のスピーカー・ターミナルで私が不満に感じているのは、
接続できるスピーカーケーブルの太さに制限があることではなくて、
あの構造に起因する音の劣化の大きさだからだ。
あのターミナルがどれだけ音を変化(劣化)させるかは、
使わなくなったスピーカーケーブルを途中で切って、
このターミナルを介してつなげて一本のケーブルにして音を聴いてみれば、すぐにわかることだ。