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Date: 9月 22nd, 2011
Cate: 4343, JBL, ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その15・続々余談)

ここからのレベル調整で気をつけたいのは、レベルコントロールの位置を左右で合わせようとしないこと。
スピーカーユニットにはバラツキがある。
これは以前も書いていることだが、
JBLはスピーカーユニットに関しては、生産上の能率差を±1dBを許容範囲としている。
もっともこれは4343をつくっていた頃の、
JBL proのアプリケーション・エンジニアのゲーリー・マルゴリスの発言で、いまのJBLがそうだということではない。

けれど4343の時代では、最大で2dBの能率差が生じることもあるわけだ。
ステレオサウンドで使っていた4343、4344ではコーン型ユニットに関しては能率差は感じなかったが、
ドライバーユニットに関してははっきりと認められるだけの能率差があった。

だから前回の補足になるが、ウーファーだけを鳴らしたときも、
できれば左右の音圧差がないかどうかチェックしておきたい。
このときプログラムソースはモノーラルのものを使った方がいい。
これは、マルゴリスも、ステレオサウンド 51号掲載の4343研究の中で語っていることだ。

左右一本ずつでの音出しをし、モノーラルでの両チャンネルの音出しで中央に音源が定位するようにすること。
場合によってはアンプのバランスコントロール、
もしくはパワーアンプの入力レベルコントロール(左右独立調整のもの)での調整が必要になるかもしれない。

ミッドバス(2121)のレベルコントロールも同様で、モノーラルの音源を用意しておきたい。
モノーラル1本ずつでレベルを調整し、モノーラル音源の中央の定位が明確になるようにしていく。

ウーファーをネットワーク通さずに鳴らしたときと、
ネットワーク通しミッドバスまで鳴らしたときの再生帯域はそう違わない。
けれど、実際にこのふたつの音を比較すると、大きな違いがある。
片方はネットワークを経由していないウーファーだけの音、
もう片方は3つのフィルター(ウーファーのハイカット、ミッドバスのローカットとハイカット)を通って、
しかも2つのスピーカーユニットが鳴っているわけだから、違いがあって当然なのだが、
このときの音の違いは記憶しておきたい。

Date: 9月 21st, 2011
Cate: 4343, JBL, ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その15・続余談)

4343のウーファー2231Aが弾むような感じでうまく鳴ってくれるところ、
音楽を聴いて手応えを感じられるような音で鳴ってくれるところが見つかったら、
ここで床からの距離を試してみる。

最初から1cm刻みで高さを変えていくという人もいるだろうが、
最初は5cm単位、10cm単位ぐらいでいい。
それで床に直置き、5cmあげた状態、10cmあげた状態、15cmあげた状態の音を聴いて、
たとえば床直置きと5cmあげた状態、どちらか迷うのであれば、その中間を試してみる。
このとき4343をもちあげる台は、まず木のブロックがいい。
もちろんほかの材質のブロックを使ってもかまわないが、
最初は同じ材質で高さの違うブロックを用意しやすいということで、木をすすめる。

この時点で、ウーファーを固定しているネジの締付け具合による音の変化も確認しておきたい。
しっかり締めた状態、すこしゆるめた状態、あきらかにゆるめた状態の音を聴いて、
音楽のメロディが明瞭に聴こえるところにしておく。
締めつけすぎはよくないが、しっかり締まっていなければ、音楽のメロディは明瞭に聴こえてこないはずだ。

ここまでやって、これから上3つのユニットのレベル調整にとりかかる。
ここからはバイアンプ駆動のロータリスイッチを通常のポジションに戻す。
ミッドバス(2121)、ミッドハイ(2420)、トゥイーター(2405)のレベルコントロールは完全に絞っておく。
そしてミッドバスのレベルコントロールをあげていく。ウーファーとのバランスをはかりながら調整していく。
ミッドバスのレベルをあるところまで調整できたら、ここでもミッドバスを固定しているネジ締付け具合を調整する。

だからといって、ここでものすごいこまかい微調整まで行わなくてもいい。
まだチューニングの途中なのだから。

Date: 9月 21st, 2011
Cate: 4343, JBL, ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その15・余談)

低音域こそが土台であり基本であり、そこに、その上の帯域を築いていく、ということは、
なにも既存のスピーカーシステムにスーパーウーファーを加えて調整するときだけでなく、
既製品のスピーカーシステムについても同じことだ。

今年の2月から毎月第一水曜日に四谷三丁目の喫茶茶会記で行っている公開対談の前々回で、
JBLの4343をどう鳴らすのかをテーマにしたときにも話したことだが、
4343の調整方法として、こういうやり方もある。

4343はバイアンプ駆動が行えるようになっている。
リアバッフルの入力端子の近くに、
マイナスドライバーで切り替えられるようになっているロータリースイッチがある。
これをまずバイアンプ駆動のポジションにする。
そしてパワーアンプからのスピーカーケーブルは下側の端子(つまりウーファー用の端子)に接ぐ。
ウーファーの2231A(もしくは2231H)をフルレンジとして鳴らすことになる。

ボイスコイルボビンとコーン紙との接合部分に、
f0を下げるためのマスコントロールリングが装着されている2231Aだから、
2220やD130のウーファー版の130Aのように、
またはアルテックの515のようにある程度まで中高域まで伸びているわけではないが、
高域は完全に不足しているものの、音楽のメロディは聴きとれる。
この状態で、4343の設置場所をあれこれさぐる。
つまりウーファー(低音域)ができるだけよくなるところをさぐりだすわけだ。

スピーカー背面の壁からの距離、左右の壁からの距離をあれこれ試す。
このときは、床に直置きでもかまわない、というか、直置きのままのほうが動かしやすく、
最適もしくは好適な場所をさぐりやすい。

床からどのぐらい離すかは、最初にやらなくてもいい。
もちろんブックシェルフ型のスピーカーシステムだったら別だが、
4343は4面仕上げしてあるとはいうもののフロアー型スピーカーシステムであるからだ。

Date: 9月 20th, 2011
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと

瀬川冬樹氏のこと(CDに対して……補足)

瀬川先生は、当時私が住んでいた熊本のオーディオ店に定期的に来られていた。
そこで、あるレコードについて
「これはどこにも表記されていないけれど、このレーベル初のデジタル録音です」と紹介されたことがあった。
瀬川先生は、そのレコードの音質を高く評価されていた。

とはいっても、それがデジタル録音だから、ではなくて、
アナログ録音だから、とか、デジタル録音だから、とか、録音器材が何々だから、といったこととは関係なく、
聴き手の元に届くLPとして、音が良いのかどうかだけを判断されたものだった。
そういう意味で、デジタル録音に対して偏見はお持ちでなかった、と思う。

FM fanの「ディジタル・ディスクについて」では、これに関することも書かれている。
     *
いま私たちになじみ深い30cmLP(ステレオ・ディスク)に、「ディジタル録音」とうたってあるものは、これから論じるディジタル・ディスクではない。現在通用している「ディジタル録音」とは、レコードに録音する途中で、テープに一旦録音する、そのテープ録音をディジタル化したものである。
いま現在のその「ディジタル録音」に対して、ディジタル化の是か否かを論じている人たちがあるが、これはナンセンスも甚だしい。
なぜかといえば、私たちがいま入手できるステレオLPに望むことは、良い音楽が、優れた演奏と良い音質で録音されていること。これが全てである。そのレコードを作る過程で、誰がどんな手を加えようが、ディジタルであろうがなかろうが、結果として出来上がったレコードの良否だけが私たちには問題なのだ。その途中がディジタル化されようがされまいが、そんなこと、私たちの知ったことではない。そういう話題に迷わされることなく、入手したレコードの良否をただ冷静に判断すればいい。
     *
これが書かれたころよりも、いまは録音・マスタリングに関する情報は増えている。
どんな人が録音に関わっている、とか、どういう器材を使った、とか、
いまはほぼデジタル録音だから、サンプリング周波数は、とか、ビット数は、とか、
ことこまかな情報が簡単に入手できるようになっているし、
これらのことを謳っているものもある。

だから、30年前に書かれた、この文章にあるように、
われわれは「そういう話題に迷わされることなく、入手したレコードの良否を冷静に判断すればいい」。

Date: 9月 20th, 2011
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと

瀬川冬樹氏のこと(CDに対して……)

瀬川先生は1981年11月7日に亡くなられているから、CDを聴かれていない。
そのため、CDが登場してときも、それからしばらくしてからも、そしていまでも、
瀬川先生はCDをどう評価されたんだろう……的なことが話題になることがある。

どう評価されたのか──、
私も知りたい、
どう書かれたのか──、
私も読みたい、
と思っているが、こればかりはどうしようもない。

それでもひとついえることがある。

瀬川先生はFM fan連載の「オーディオあとらんだむ」の103回(1980年20号)で、
「ディジタル・ディスクについて」というタイトルで書かれている。

瀬川先生がこの文章を書かれだ時点のオーディオフェアでは、
「試作品や単なる提案まで含めて、十数社が、各社それぞれ独自の(互いに互換性のない)方式を」展示していた。
「各方式が互いに譲らずに乱立しているかぎり」は、
「ディジタル・ディスクを無視すること」だとはっきりと書かれている。

「どの社の何方式はどういう特長があるか……などと一生懸命に調べたり考えたりすること」が、
「既に、各社の競争に巻き込まれてしまっていることになる」からだ。

さらに書かれている。
     *
既に一般誌にも記事になっている周知の事実なので引用させていただくが、パイオニアの石塚社長の談話として、「方式も各社の技術力のうちだから、自由競争の結果優秀なものが残っていくゆくだろう」という意味の発言が公表されている。規格統一というものを根本から誤解しておられるとしか思えないが、石塚氏一個人の見解というよりも、この考え方が、日本のメーカーの一般的見解であるように思えてならない。
     *
パイオニアだけでなく、この時期、ディジタル・ディスクを開発していた他社すべてがこのように考えていたら、
そしてこの誤解のもとに突っ走っていっていたら……。
ソニー・フィリップス連合は、パイオニアのような考えの会社を説得していったものだと思う。
もちろんすべての会社が、規格統一を誤解していたわけでもないだろうけども……。

「ディジタル・ディスクについて」の最後には、こう書かれている。
     *
だが、最後に大切なこと。メーカーがどんなに思い違いをしようとも、私たちユーザーひとりひとりが、規格統一の重要性とその意味を正しく受けとめて、規格が一本に絞られない間は、誰ひとり、ディジタル・ディスクに手を出さないようにするのが、問題解決のいちばんの近道ではなかろうか。そうなるまでは、何方式がどうのこうのという情報に、一切目をつむってしまう。
どんなに嵐が吹き荒れようと、嵐が過ぎて方式統一が完成した暁に、ゆっくりと私たちは手を出せばいい。
     *
だから、これを書かれた2年後に、CDという規格統一されたフォーマットで、
ディジタル・ディスクが登場したことは、喜ばれたはずだし、そのことは高く評価されたはずだ。

Date: 9月 20th, 2011
Cate: audio wednesday

第9回公開対談のお知らせ

毎月第1水曜日に行っています公開対談は、10月5日です。
前回は「幻聴日記」の町田秀夫さんとの「音を語る言葉・表現について」でした。
今回も町田さんとスピーカーをテーマにして行う予定でしたが、町田さんのご都合により、
町田さんとの2回目の公開対談は12月になります。

ですから今回は、工業デザイナーの坂野博行さんと、オーディオのデザインについて語ります。

時間はこれまでと同じ夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目の喫茶茶会記のスペースをおかりして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 9月 20th, 2011
Cate: ナロウレンジ

ナロウレンジ考(その7)

BBCの研究所が提唱したことがはじまりであるインパルスを使ったスピーカーの測定方法だが、
発表当時はコンピューターの処理能力の関係で実際に測定することは不可能だったと聞いている。
これを実用化したのは、KEFのフィンチャムを中心としたグループで、
インパルスを複数回スピーカーに加え、ノイズの位相成分がランダムであるという性質を利用することで、
測定結果をコンピューターで加算することによってノイズの打消しをおこなわれ、
信号成分のみを取り出せるようになったからである。

ステレオサウンドでも47号ではじめてインパルスによるスピーカーシステムの測定結果が掲載された。
47号では、サインウェーヴによる従来のアナログ計測では周波数特性、高次高調波歪率、混変調歪率など、
インパルスによるデジタル計測ではインパルスレスポンス、群遅延特性、エネルギータイムレスポンス、
累積スペクトラム、混変調歪など、である。

47号の測定で使われたインパルス信号は、幅10μsec、高さがピークで50Vのものである。
理論的には幅がゼロで高さが無限大の信号が理想的なインパルスということになるが、
現実にそういう信号を作り出すことは不可能だし、
スピーカーシステムの測定に理想のインパルス信号が必要とは思えない。

47号で使われたパルス幅10μsecは、0.7Hzから50kHzまでの周波数成分をフラットにもっている。
高さ50Vということは、8Ω負荷では312.5Wのパワーとなる。
これだけの大きなパワーを、
しかも0.7Hzから50kHzまでフラットな周波数特性で加えたらスピーカーシステムが壊れないのか、
ということになるのだが、パルス幅が10μsecと狭いため、
パルス1波あたりのエネルギー量としてはごくわずかということになり、スピーカーの動作上の問題は発生しない。
これだけパルス幅が狭いと、パワーアンプの出力をショートしていても、アンプには異常が発生しないとのことだ。

このインパルスによる測定を、
80Hz〜5kHzのバンドパスフィルターを通したスピーカーシステムで行ったら、どんな結果が得られるのだろうか。

Date: 9月 19th, 2011
Cate: 井上卓也

井上卓也氏のこと(その34)

試聴とは、
目の前にあるオーディオ機器(アンプなりプレーヤーなりスピーカーシステムなり)の素性をさぐることであり、
実力を正しく把握することでもある。
そのためのひとつの手法としてアセテートテープやその他のアクセサリーを使うことがある。
つまり使う目的が、個人が自分の部屋でいい音を得ようとして、ということとすこし意味あいが違うところもある。

アンプやCDプレーヤーの天板にアセテートテープを貼ることもある。
試聴の過程で、貼った方がよくなると思われるものに貼ることが多いため、
たいていの場合、アセテートテープによっていい結果が得られる。
とはいうものの天板の上にアセテートテープが貼ってあるのは、美しいとはいえない。
でも貼る前の音と貼ったときの音を比較すると、なんとか見た目を変えずに、貼ったときの音を得たい、と思う。

天板の表側ではなく裏側に貼れば、見た目は変らずに……と考える。
実際に自分のオーディオ機器で試したことがある。
これは不思議なことに、貼り方をあれこれ工夫してみても、表側に貼った方がいい結果なのだ。
裏側に貼っても改善される。けれど改善の度合いが、表側に貼ったときとあらかに異る。

それで試聴の時に、井上先生に訊いたことがある。
「(アセテートテープを)裏側に貼るより表側に貼った方が効果的なのは、なぜですか」と。
井上先生も、やっぱり同じことを試されていて「不思議だけど、表側の方が効くんだ」と返ってきた。

Date: 9月 19th, 2011
Cate: 井上卓也

井上卓也氏のこと(その33)

アセテートテープは、布粘着テープよりは高価だけれど、それでも数百円で手に入る。
いまのアクセサリーの価格からすると、消費税分程度の価格ともいえよう(実際にはもっと安いといえる)。
そんな安価な、これもアクセサリーのひとつになるのだが、いわば急所をおさえた使い方(貼り方)をすれば、
「効果的」という表現は、こういうときに使うのだな、といいたくなるほど、見事に効果的な働きをしてくれる。

粘着テープをオーディオ機器に貼ることに抵抗感をもつ人は少ないはず。
私も抵抗感はある。
だがチューニングを詰めていく過程での実験のひとつの方法として、
アセテートテープを貼ってみることは有効で、勉強になることでもある。

それに井上先生も見た目を損なうようなところには、原則として貼られない。
あくまでも直接目につかないところに、しかもわずかな量を貼られるだけだ。

こういう粘着テープを使うと、音が死んでしまう、と即断言する人がいる。
使う量、使う場所を大きく間違えてしまえば、たしかにそういう結果になりやすい。
つまり、そうなってしまったら(音が死んでしまったら)、それはその人の使い方がまずいだけである。

貼った、音が死んだ、だからこの手のテープは使うべきではない──、
それでは、あまりにも短絡的すぎる、としかいいようがない。
音が死んでしまったと感じたら、貼る量を減らしてみたり、貼る場所を再検討してみたりしたうえで、
結論を出すのであれば、その人にとっては、この手のモノは向いていない、ということはいえることになるが、
それでもいえるのは、あくまでも、その人には向いていなかった、ということだけである。

ステレオサウンドの試聴室でアセテートテープをよく使っていた(貼っていた)箇所は、
じつはスピーカーケーブルである。ツボみたいなポイントがあり、そこに軽く一重に貼る。
わずかこれだけである。しかも、そのポイントは通常は目につかないところでもある。

しかし、わずかこれだけでも、ストレスフリーになった、といいたくなるほど、
音楽の表情にきつさを感じさせていたものがすっと抜けていく。
そういう感じに変化することが多かった。

Date: 9月 19th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その16)

私自身も、最初からそう捉えていたわけではなくて、
QUADのESLの低音に大きな不満は感じていたわけではないが、
さらに拡充しようとしたときには、そこに「つけ足す」という認識でいた。

当然そういう選択眼で、市販されているウーファー(ユニットを含めて)見ていたから、
これといって目ぼしいモノはないように受けとめていた。

これが変っていったのは、ずっと後である。
自分でサーロジックのスーパーウーファーを使いはじめたこと、
それと菅野先生の「音」を聴くことができたからである。

菅野先生のスピーカーは、ここで改めて書くまでもないと思うが、3システムある。
既製品のスピーカーシステムはマッキントッシュのXRT20だけで、
あと2つのシステムは、菅野先生自身によってスピーカーユニットを組み合わせてまとめあげられたもの。

ここで注目してほしいのは、その2つのシステムの低音を受け持つのは共通している、ということだ。
JBLのオリンパス風の一種のバスレフ型のエンクロージュアに、ユニットはJBLの2205をおさめられている。

この上に、2つのシステムを構築されている。
ひとつはJBL375と蜂の巣(537-500)の組合せを中心としたもので、
もうひとつはジャーマン・フィジックスのDDD型ユニット、Trobadour80を中心としたものだ。

菅野先生のシステムの変遷についてご存じの方は説明は不要だろうが、
いま2205がおさめられているエンクロージュア(パイオニアLE38A)には、
いくつかのウーファーがとりつけられてきた。
パイオニアのPW38A、ソニーのULMやトリオのユニット、
アルテックのウーファーも515Bをはじめいくつかを試されている。
JBLではLE15Aから2220、そして現在の2205である。

このあいだ中高域を受け持ってきたのはJBL375+537-500である。
トゥイーターは075。このところには変化はなかった。

Date: 9月 18th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その15)

中高域にコンデンサー型ユニットを採用し、低音域だけをコーン型ユニットに受け持たせた、
いわゆるハイブリッド型と呼ばれることの多いスピーカーシステムのすべてを見て聴いているわけではない。
だから、もしかすると私がこれから書くことと違う構成のものが存在していたかもしれないが、
すくなくとも大きな傾向として、このハイブリッド型スピーカーシステムのウーファーは、
比較的小口径のコーン型が採用されている。

なぜかといえば大口径のコーン型のウーファーの、いわゆる音の重さを嫌ってのことだろう。
コンデンサー型ユニットの軽やかさに追従するためには、コーン型ウーファーも、
小口径、中口径のもののなかから選び、振動板の面積が不足するのであれば、複数使用する──。

もっともらしい理屈のように思えるが、
実はこれが、うまくいかなかった、大きな理由ではないだろうか、と私は考える。

たとえば、中高域が無指向性ユニットならばウーファーも無指向性にしたほうがいい。
そのためにウーファーをエンクロージュアの正面にとりつけずに、
エンクロージュアの底面にとりつけ床に向けて放射して無指向性にする──、
これと似たような発想に思えてしまう。

なぜ低音域に関しては、スーパートゥイーターにあった発想の自由度がこうも失われてしまうのか。
むしろスーパートゥイーターに関してよりも、
スーパーウーファーに関してのほうが自由度がなければうまくいかないのではないだろうか。

この問題について考えると、この項の(その14)に書いた、
「コーン型ウーファーをつけ足す」という発想そのものが、じつは間違いの元、
スーパーウーファーは難しい、ということに生み出している、としか思えない。

スーパートゥイーターはつけ足す、という感覚でとらえてもいいが、
スーパーウーファーはつけ足す、という感覚ではうまくいかない。
なぜなら、低音域こそが土台・基本であるからだ。
つけ足す、のではなく、そこに築いていくものであるからだ。

Date: 9月 18th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その14)

振動板といっても、コーン型ユニットとコンデンサー型ユニットでは、
前者が振動板であれば後者は振動膜である。
さらに前者にはボイスコイルとボイスコイルボビンがそこにぶらさがり実効質量が大きくなりがちなのに対し、
後者の振動膜にはボイスコイルもボイスコイルボビンもいらない。

それに駆動力のかかりかたも大きく違う。
コーン型ではボイスコイルが振動板の駆動源となるが、コンデンサー型では振動膜全面に駆動力がかかっている。

その駆動力を生み出している原理の違いもあるから、どちらがどうとは一概にはいえないところはあるけれど、
コンデンサー型スピーカーは、やはり軽やかな音を出すものが多い。
鈍い、なにかをひきずったような、悪い意味での重さにつながるような音は出さない。

そういうコンデンサー型スピーカーシステムの低音域の再現能力をより充実させようと思ったときに、
安易にコーン型ウーファーをつけ足してもうまくいかない──、
そんなふうに、これまでいわれてきた。

確かにメーカー製の、コンデンサー型ユニットにコーン型ウーファーを足したスピーカーシステムで、
うまくいった例はあるのだろうか。
私が聴いた範囲内では、残念ながら成功例といえるものには出合えなかった。

そういった製品ばかりが続いていると、なにか原理的にうまくいかないのではないか、
とつい考えてしまいがちになるが、ほんとうにそうなのだろうか。
コンデンサー型スピーカーの低音域を拡充するには、
同じコンデンサー型の大型ユニットをもってこないとだめなのか。

スーパートゥイーターに関しては、ユニットの動作原理・振動板の形状について比較的自由であったのに、
なぜかスーパーウーファーに関しては、その自由度を、自ら手放してしまっているように感じることがある。

Date: 9月 18th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その13)

スーパートゥイーターとスーパーウーファー、
このふたつは、ワイドレンジ再生にとって有効な手法でありながらも、
実際に取り組まれている方の意識、といおうか、自由度といおうか、
それがスーパートゥイーターとスーパーウーファーとでは捉え方に差異がある、とみえる。

たとえばタンノイのキングダムはスーパートゥイーターにドーム型ユニットを採用している。
システムの中核となる同軸型はコーン型とホーン型は複合形ゆえに、
これまでのスピーカーシステムの構成的にはスーパートゥイーターにはホーン型ユニットとなることが多いし、
それを自然なことだと受けとめられることだろう。
ホーン型でなければリボン型ユニットとなるだろう。
そこをあえてタンノイは、そのどちらでもなくドーム型をもってきたところに、
タンノイ初の4ウェイ・システムのキングダムがうまくいった要因のひとつが感じられる。

スピーカーを、自分でユニットを組み合わせて構築されている方でも、
中域にホーン型ユニットを採用し、それに惚れ込みながらも、
スーパートゥイーターに関してはリボン型ユニットという方も少ないないと思う。
なにもそれは中域がホーン型ユニットの場合にかぎらない。
ドーム型ユニットの中域の上にリボン型という人もおられるだろう。

中域・高域がホーン型ならばスーパートゥイーターもホーン型、
中域・高域がドーム型ならばスーパートゥイーターもドーム型、
このことにとらわれている方はあまりおられないと思えるし、
メーカーのスピーカーシステムをみても同じ方式のユニットで必ずしも統一しているわけではない。

つまりスーパートゥイーターの選択に関しては、自由度を感じられる。
なのにスーパーウーファーに関しては、どうだろうか。

よくいわれている、つまり昔からいわれていることがある。
コンデンサー型のスピーカーにスーパーウーファーをつけ足すのは、うまくいかない、ということがある。

Date: 9月 17th, 2011
Cate: 純度

オーディオマニアとしての「純度」(その4)

オーディオマニアにとっての「純度」といえば、まず音の純度、ということになるだろう。
その音の純度を高めるために、音の純度を少しでも損なう要素を再生系からとり除いていく……。

その項の(その1)にも書いたように、接点がまずそう。
使い勝手は無視してでもとり除ける接点はすべて無くしていこう。そうすることで純度の劣化を最小限に抑える。
中にはヒューズをとりさってしまう人もいるだろう。
自分で使う機器であれば、けっしておすすめはしないが、そういう改造もできる。
ヒューズをとり除いてしまうような人だと、電源スイッチもなくしてしまうかも……。

そうやって接点をひとつでも多くとり除く。
音の純度のためには、さらには信号系から音を濁す原因となりやすい磁性体をなくしていくこともある。
直接電気信号(電源を含めて)がとおるところはもちろん、その近くにある磁性体も音に影響する。
これらも注意深くとり除いていくということは、
以前、ソニー(エスプリ)の広告について書いたところでふれている。

これら以外にもいくつも手法がある。
そしてそれらを根気よくひとつひとつ実行していくことで、音の純度の劣化はすこしずつ減っていく。
音の純度は高くなっていく。高くなれば、以前は気にならなかったところによる音の純度の劣化でも気になってくる。

そうやって、ひとつのアンプができ上ったとする。
これは妥協なきアンプと、はたしていえるだろうか。

アマチュアがあくまでも自分のために、そして自分の環境でのみ使用するアンプであれば、
そういえなくもない、という気はするけれど(それでも抵抗感はある)、
これがプロの作る、つまり製品としてのアンプだったら、妥協の産物、といえることになる。

ここが、アマチュアの立場とプロフェッショナルの立場の根本的に異るところであり、
これを自覚せずに、妥協を排した的なことを謳うメーカーの製品をどううけとるかによって、
その人のオーディオマニアとしての「純度」がはっきりとしてくる。

Date: 9月 16th, 2011
Cate: BBCモニター, LS3/5A, 瀬川冬樹

BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その22)

瀬川先生の「ずいぶんきつくて耐えられなかった」ということを、
オーディオの一般的な「きつい音」ということで捉えていては、なかなか理解できないことだと思う。

ダブルスタックとはいえQUADのESLから、いわゆる「きつい音」が出るとは思えない。
そう考えられる方は多いと思う。

私も、「ステレオのすべて ’81」を読んだときには、
「ずいぶんきつくて耐えられなかった」の真の意味を理解できなかった。
これに関しては、オーディオのキャリアが長いだけでは理解しにくい面をもつ。
私がこれから書くことを理解できたのは、ステレオサウンドで働いてきたおかげである。

コンデンサー型、リボン型といった駆動方式には関係なく、
ある面積をもつ平面振動板のスピーカーシステムの音は、聴く人によっては「きつい音」である。
それは鳴らし方が悪くてそういう「きつい音」が出てしまう、ということではなく、
振動板が平面であること、そしてある一定の面積をもっていることによって生じる「きつい音」なのだが、
これがやっかいなことに同じ場所で同じ時に、同じ音を聴いても「きつい音」と感じる人もいれば、
まったく気にされない方もいるということだ。

そして、一定の面積と書いたが、これも絶対値があるわけではない。
部屋の容積との関係があって、
容積が小さければ振動板の面積はそれほど大きくなくても「きつい音」を感じさせてしまうし、
かなり振動板の面積が大きくとも、部屋の容積が、広さも天井高も十分確保されている環境であれば、
「きつい音」と感じさせないこともある。

瀬川先生に直接「ずいぶんきつくて耐えられなかった」音が
どういうものか訊ねたわけではないから断言こそできないが、
おそらくこの「きつい音」は鼓膜を圧迫するような音のことのはずである。

私がそのことに気づけたのは、井上先生の試聴のときだった。