40万の法則が導くスピーカーの在り方(その4)
クレデンザにウェスターン・エレクトリックの555レシーバーがそのまま取りつけられることは、
意外に知られていないようで、このことを話すと、少し驚かれることがある。
じつはこのことも池田圭氏の「盤塵集」に書いてあることで、
知識だけではあったが、10代のころに知ってはいた。
ただ実際にその音を聴くことができたのは、かなりあとのことになるが、
クレデンザ+555の音は、555にことさら関心をもっていなかった私なのに、
できれば手に入れたい、と思ってしまった。
555が優れたドライバーだということは、オーディオに関心をもち始めたころから知ってはいたし、
何度か音を聴く機会もあった。その音のすべてが十全に鳴らされていたわけではないが、
少なからぬ数の人を魅了するだけの「何か」はあると感じたものの、
だからといって池田圭氏のように、組み合わせるホーンは15Aというのは無理なこと。
ホーンとの組合せを考えると、購入できるだけの資金があるとかないとかよりも、そのことがネックに思えてくる。
家庭で使うにふさわしい、つまり劇場用ではないホーンがなければ、欲しい、という衝動までにはいたらない。
同じ劇場用のスピーカーでも、シーメンスのオイロダインは欲しい、と思うから、
ホーンがどうのというのは、後付けの理由に近いもので、
なぜか555には、モノとしての魅力もそれほど感じていなかった。
そんな私でも、クレデンザと組み合わされた555の音は、何かを変えてくれるほどの魅力があった。
クレデンザ+555の音は、いずれもモノーラルでしか聴いていない。
聴いているときは、いい音だ、と感じ、
モノーラル専用というよりもSPから復刻されたCD専用のスピーカーシステムと使ってみたい、と思っていても、
その音から離れひとりになってみると、ステレオで聴いてみたい、と思っている。