40万の法則が導くスピーカーの在り方(その7)
2ウェイのスピーカーシステムで、仮に20Hzから20kHzまでをほぼフラットにカヴァーしていれば、
ひとつめの総合特性としての周波数特性においては、40万の法則どうりに仕上がっている。
この2ウェイのスピーカーシステムのクロスオーバー周波数が1kHzだとしよう。
ウーファーの受持ち帯域は20Hzから1kHz、トゥイーターの受持ち帯域は1kHzから20kHz。
それれのユニットの下限と上限の積は、ウーファーが2万、トゥイーターは2000万となり、
40万という値からは大きくズレてしまう。
2ウェイでは、クロスオーバー周波数をどこにもってきても、
ふたつのポイントにおける40万の法則は成り立たない。あくまでもトータルでの周波数特性のみである。
3ウェイでは、(その6)に書いたようにクレデンザ+555の組合せをスコーカーに持ってくれば、
2つの40万の法則が成りたつ。とはいうものの、スコーカーにもってくるユニットの受持ち帯域次第である。
クレデンザ+555は100Hzから4kHzと、5オクターヴをすこしこえる帯域幅をもつ。
ここではカヴァーできるスコーカーは、実際のところはほとんどない。
もしうすこしウーファーのスコーカーのクロスオーバー周波数をあげて200Hzとすると、
スコーカーの上限は2kHzとなるが、市販された3ウェイのスピーカーシステムのクロスオーバー周波数が、
200Hzと2kHzに設定されているものは、私は見たことがない。
ではウーファーとスコーカーのクロスオーバー周波数を300Hzにしたら、
トゥイーターとスコーカーのクロスオーバー周波数は約1.3kHzとなる。
300Hzと1.3kHzのクロスオーバー周波数となると、
JBLの4300シリーズの4ウェイのスタジオモニターのミッドバスの受持ち帯域が、ほぼ合致する。
4ウェイにおいて、やっとふたつの40万の法則が成りたつことになる。