オーディオの「介在」こそ(ヘッドフォンで聴くこと・続々続余談)
「若い人にオーディオが売れない」は、この数年、耳にすることが多くなった。
どのくれい売れなくなったのか、正確なデータはおそらくないのだろうが、
オーディオに関わっている人たちに共通する印象として、
「若い人にオーディオが売れない」が広がりつつあるから、私の耳にもそのことが届いてきているのだろうか。
そういえば数年前に菅野先生から、
20代の若いオーディオマニアの方が、オーディオに関心のない友人・知人に、
「オーディオが趣味だ」ということを言えない、
そんなことを言ってしまうと、奇異な目でみられてしまうかもしれない──、
という話を聞いたことがある。
これはひとつの実例にすぎないけれど、
若い人の趣味として、関心事として、オーディオはそこに含まれていないのかもしれない。
これらのことを聞いていたから、喫茶茶会記の常連の方から聞いた、
恵比寿の店に若い人が大勢来ることと結びつかなかった。
「若い人にオーディオが売れない」のに、なぜ、この店には若い人が集まるのか。
そのことについて考えていたところに目にしたのが、大和田氏の記事だったわけだ。
機能的な理由で音楽を聴く、のであれば、
躍りたいからクラブで聴く音楽とも、ひとりで泣きたいからヘッドフォンで聴く音楽とも異り、
いい音で聴きたいから、と思ったときに、自分でいい音を出せるオーディオ機器を購入し調整して鳴らすよりも、
自分ではなかなか購入できそうにない高額なオーディオ機器で鳴らしている店に行き聴くことが、
機能的な音楽の聴き方、といえなくもない。