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Date: 11月 22nd, 2017
Cate: 「ルードウィヒ・B」

「ルードウィヒ・B」(その10)

先週末、Aさんのお宅に集まっての飲み会だった。
15時半ごろから私は参加して、その後場所をうつして、23時ごろまで、
オーディオ好きの人たちと飲んでいた。

一応名目は試聴会だったようだが、音を聴いている時間よりも話しているほうが長い。
いろんな話が出たわけだが、Aさんが、
「最初に見た女性の裸は?」とみんなにきいてきた。

彼は子供のころドイツに住んでいたので、
ドイツ人の友だちが持ってきたスキンマグに載っていた写真だった、とのこと。

いわれてみると、私の場合は……、と思い巡らしていたところ、
Kさんが「永井豪のマンガだった」といわれた。

そうだ、そうだ、と思い出した。
私は、手塚治虫のマンガだった。

永井豪のマンガは、私も読んでいた。
デビルマンや魔王ダンテなどを、小学生のころは読んでいた。

そこにも女性の裸は登場する。
手塚治虫のマンガにも登場する。

そのころの少年マンガに登場する女性の裸は、
いまの緻密な描写のマンガのように、こまかなところまで描かれていたわけではない。
たいてい乳首は省略されていた。

そんなふうに描かれていた当時の女性の裸と、
海外のスキンマグに載っている女性の裸の写真とでは、
小学生のころに受ける印象は、そうとうに違うことは想像できても、
実際にはどのくらい、どんなふうに違ってくるのか──。

そのあたりについて考えていくのはおもしろそうだが、
私の場合、こういうところでも手塚治虫の影響を受けていたのかと、
改めて感じていた。

Date: 11月 21st, 2017
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(Casa BRUTUSを買った理由)

音のいい部屋。A ROOM WITH SOUND」を書店に手にとられた方はいると思う。
そのうちどれだけの人が購入したのかはわからない。

この程度の内容なのか……、と思った人もいるはずだし、
意外とおもしろいじゃないか、と思った人もいるだろう。

もう少し……、と思うところは多々あるが、それでも買ったのは、
今後に期待したいからである。

つまり応援したい気持があるから買ったし、
ここでも紹介したわけである。

売れなければ、次は出ない可能性が高くなる。
売れれば、次が出る可能性が高くなる。

次が出る可能性だけでなく、もっとおもしろい、充実した内容になる可能性もある。
つまらなくなる可能性も、もちろんあるわけだが、
そうなったとしたら、その時買わなければいい。

なんらかの良さを感じて、さらに期待したいのであれば、
買うのが、いちばんの意思表示である。

Date: 11月 20th, 2017
Cate: audio wednesday

第83回audio wednesdayのお知らせ(誰かに聴かせたい、誰かと聴きたいディスク)

日立金属からファインメットコアが登場したのは、いつだったか、
正確に思い出せないほどに頻繁に目にするようになっているし、
柱状トランスもいまではファインメットコアのモノに置き換えられている。

オーディオ用のトランスも、ファインメットコア使用というのがかなりある。
個人的には、コアの新素材には注意深くありたい。

1980年代に、アモルファスコアが流行った。
オーディオメーカーから、アモルファスコア使用のMC型カートリッジの昇圧トランスが出た。

その大半を、ステレオサウンドの試聴室で聴いているが、
欲しい、と思ったトランスはひとつもなかった。

トランスの音は、コアだけで決るものではないのはわかっていても、
新素材のもつ性能には、やはり期待するところがあるし、
それが裏切られた(とはすこし言い過ぎか)ときは、
一転、新素材に対しての不信感となっていく。

だからファインメットコアにも、不信感がないわけではない。
とはいえ使っていないので、音については語れない。

それでもファインメットコアに、まったく興味がないわけではない。
コモンモードノイズフィルターのコアとして使いたい(試してみたい)とは、
以前から思っていた。

けれどなかなか小売りされることはなかった。
数年前から、手頃な大きさのモノが小売りされても、
限定入荷のことが多く、気づいた時はいつも売切れていた。
(そんなにこまめにチェックしていたわけでもなかった)

先日、ふと検索してみたら、ちょうど入荷したばかりだったようで、購入できた。
今回は、このファインメットコアを使った、電源まわりの実験をやる予定だ。
といっても、これが今回のメインテーマというわけではない。

12月、今年最後のaudio wednesdayなので、
今年聴いた(買った)ディスクを何か一枚持ってきていただきたい。
新譜でなくともかまわない。旧譜でも、今年買った、というディスクは誰にでもある。

自分で聴きたい、というよりも、
誰かに聴かせたい、誰かと一緒に聴きたいと思ったディスクを鳴らす。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 11月 20th, 2017
Cate: オーディオマニア

つきあいの長い音(その37)

つきあいの長い音は、つきあいの長い音楽が生む心象があってこそ。

Date: 11月 20th, 2017
Cate: 新製品

新製品(ソニーのマイクロフォン)

先日開催されたInter BEEで、
ソニーが26年ぶりにマイクロフォンを発表したことがニュースになっている。

ソニーは1977年の広告に、こう謳っていた。
     *
「オーディオの原器。」
考えてみてください。
レコード、テープ、放送……どのオーディオをとってみても、
オーディオの出発点にマイクロホンが存在することを。
     *
ソニーはコンシューマー用とプロフェッショナル用を手がけていた。
今回のマイクロフォンの新製品はプロフェッショナル用である。

文字通りの「オーディオの出発点」といえよう。

今回のマイクロフォンの開発に携わった人たちが、
1977年の広告を知っているのかどうかはわからない。
マイクロフォンを「オーディオの出発点」と考えているのかどうかもわからない。

1977年ごろのソニーと現在のソニーは同じなのか、違うのか。
そのことについてはあえて触れないが、
今回のマイクロフォンの新製品を、
ソニー・オーディオの、これからの出発点としてほしい。

Date: 11月 20th, 2017
Cate: よもやま

ネジの店(三和鋲螺)

facebookでネジのことが少し話題になっていた。

30年ほど前、インチネジが必要になった。
古いアメリカのオーディオ機器にはインチネジが使われていた。
交換の必要があるネジが数本あって、探していた。

いまならインターネットで検索すれば、わりと簡単に探せるが、
当時はけっこうな時間をかけて、やっとインチネジを取り扱っているところ、
それも小売りしてくれるところを見つけた。

神谷町駅の近くにある三和鋲螺である。
いまも変らず、同じ場所で営業している。

Date: 11月 20th, 2017
Cate: 戻っていく感覚

好きな音、好きだった音(その1)

別項「つきあいの長い音」について考えていると、
好きな音は、いつしか好きだった音になってしまっているのか、と考えてしまう。

10代のころ、BBCモニターとその系列の音が好きだった。
スペンドールのBCII、ハーベスのMonitor HL、
ロジャースのLS3/5A、それにPM510。

BBCモニター系の音とはいえないが、
セレッションのDitton 66、QUADのESL(ESL63は好きにはなれなかった)も好きだった。

JBLのスタジオモニターの存在に憧れながらも、
音を聴いて「あっ、いい音だな……」と呟きたくなるのは、
決ってイギリスの、それもダイアフラムが金属ではないスピーカーばかりだった。

どのスピーカーの音にも、うるおいがあった。
乾き切った音を出すことは決してなかった。

そういう音が好きな人からは、ボロクソにいわれがちでもあった。
音が湿っている、とか、鈍い、とか。
そんな評価を聞くことはけっこうあった。

けれどうるおいのない音に惹かれることはなかった。

Date: 11月 19th, 2017
Cate: オーディオマニア

つきあいの長い音(その36)

つきあいの長い音──、私にとってそれは、意外にもJBLなのかもしれない。

Date: 11月 19th, 2017
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(Casa BRUTUS・その5)

いい音で、好きな音楽を聴きたい──、と思う人は意外に多いのではないか。
けれど、そのほとんどの人たちが、
オーディオを、何かとてもめんどうなことのように思っているのかもしれないし、
とてつもない金額を出さなければいい音で聴けない、と思っているのかもしれない、
住宅環境を考えたら、家で大きな音量は出せない……、
そう思って、最初から関心をもたないようにしているのか。

いい音を聴きたい、とは思っているだろうし、
いい音を聴く快感も知っている人は少なからずいる、とも思う。

けれど家で聴くことを諦めてしまっている──、
私にはそんなふうに見えてしまう。

いい音を聴きたければ、いい音で鳴っている、と巷でいわれているところへ出掛けて聴く。
家ではスマートフォンにイヤフォン(ヘッドフォン)で聴く。

いわば諦めから生じた機能的な音楽の聴き方を選択した。
この捉え方が正しいのかははっきりしないが、
こういう捉え方ができるということは事実である。

Date: 11月 19th, 2017
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(ブームだからこそ・その8)

アナログディスクだけでなく、テープも復活している、と報道されることがある。
カセットテープだけでなくオープンリールテープも、人気が出てきている──、とのこと。

2016年、オープンリールデッキの新規開発のニュースがあった。
Horch House Gmbhという会社が、Project R2Rを打ち上げた。

発表から数ヵ月後に、ルボックスとの共同開発になるとの発表とともに、
外観写真も公開された。
このままうまくいくのかと思っていたら、
現在ではProject R2R関連のページはなくなっている。

こまめにチェックしていたわけではないので、途中経過のすべてを見ているわけではない。
ポシャった、ときいている。

開発はスムーズに運んだ、とのこと。
ネックとなったのは、ノイズリダクションに関することだったらしい。

いまではアナログでの実現が難しい……、
デジタル信号処理でよければ……、という提案もあったらしいが、
それではこの時代に、あえてオープンリールデッキを新規開発する意味合いが大きく薄れてしまう。

結果、このプロジェクトは終ってしまった、そうだ。

その7)で、日本ではアナログディスク制作においても、
デジタルによるマスタリングが行われている、と書いた。

いまではアナログだけでできるエンジニアがいなくなった、ということだ。
これはなにも日本だけではないようだ。

その一方で、BALLFINGERという会社は、
Tonbandmaschine M063というオープンリールデッキを発表している。

Date: 11月 19th, 2017
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと

瀬川冬樹氏のこと(UREI Model 813の登場・その9)

UREIのModel 813に搭載されてるアルテックの604のように、
中高域のダイアフラムが、ウーファーよりも奥にある場合には、
ウーファー側のフィルター(ハイカットフィルター)にベッセル型を採用することで、
通過帯域内では一定の群遅延(Group Delay)がかかる。

では反対にウーファーがコーン型で、中高域がドーム型であれば、
中高域のダイアフラムがウーファーよりも前に位置する。
その場合、中高域側のハイパスフィルターにベッセル型を使えばいいのかというと、
必ずしもハイカットフィルターのようにうまくいくわけではない。

群遅延がローカット(ハイパス)とハイカット(ローパス)では、ベッセル型は違ってくる。
ローカットフィルターの群遅延は、ベッセル型よりもバターワース型のほうが良好である。

UREIはトゥイーターのローカットフィルターにはベッセル型を採用していない。
Model 813のネットワークの解説がここでのテーマではないので、
あまり細かいことは省くが、Model 813のネットワークは、
昔のスピーカーの教科書に出てくような設計ではない。

カットオフ周波数も、フィルターの種類も次数も、
ハイカットとローカットでは違うところばかりである。

同軸型という物理的な制約の多いユニットに対して、
昔の教科書的なネットワークをもってきても、
それまで多くの人が知らなかった可能性を抽き出すことはできない。

別項でも書いているように、スピーカーシステムはほんとうにコンポーネント(組合せ)だと、
Model 813について詳細を知るほどに、強く感じる。

組合せだけに、それをまとめる人のセンスが如実に、
音だけでなくアピアランスを含めてのスタイルにあらわれている。

Date: 11月 19th, 2017
Cate: High Resolution

Hi-Resについて(ヴァン・ヘイレン)

昨晩、友人宅でヴァン・ヘイレンの、いわゆるハイレゾ音源を聴いた。

ヴァン・ヘイレンのディスクは、LPもCDも一枚も買ったことはない。
とはいえ、聴いたことがないわけでもない。
ヴォン・ヘイレンが、ハードロックなのか、ヘヴィメタル、
どちらのバンドなのかもよくわかっていない私が聴いた感想である。

ヘッドフォンで聴いた。
そのことによってよけいにそう感じたのが、
ひじょうにクリアーで、きちんと録音されている、ということだった。
そのことが意外だったし、きわめて冷静に聴いていることも意外だった。

音が塊として、こちらに迫ってくる──、
ヴァン・ヘイレンの音楽をきちんときいたことがほとんどない私にとって、
ハードロック、ヘヴィメタルと呼ばれる音楽は、そういうものだと認識していた。

なのに、なんと分離のいい音なのだろう。
分離のいいままで、すべての音がひとつの塊として鳴ってくれれば……、と思っていた。

聴かせてくれた友人も、同じに感じていると話してくれた。

ここでも、別項「Jazz Spirit Audio(audio wednesdayでの音量と音・その2)」で書いたこと、
現象なのか心象なのかについて考えさせられるし、
心象としての再現で、私がつよく求めるエネルギーの再現において、
今回のヴァン・ヘイレンは、違うベクトルなのかもしれない。

Date: 11月 18th, 2017
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(Casa BRUTUS・余談)

音のいい部屋。A ROOM WITH SOUND」で、私が「おやっ」と思ったのは、
40〜41ページに登場するカスタムオーディオアーティストのデヴォン・ターンブルの部屋である。

レコードラックの上に、オーディオ雑誌が置かれている。
そこにはステレオサウンドが数冊と管球王国も数冊。
それ以上に目に入ってくるのは、無線と実験が並んでいることだった。

写真は部屋のすべてを捉えてはいないから、
無線と実験がどれだけあるのか、数えることはできないが、25冊以上はある。

記事中には、
日本とパリで、ウェスターン・エレクトリックなどの古い機器と出合って、とある。
秋葉原にも通っていた、ともある。

無線と実験は、そのころのものなのか。
おもしろいと素直に思う。
オーディオはほんとうにおもしろい。
オーディオマニアも、実におもしろい。

Date: 11月 17th, 2017
Cate: ディスク/ブック

劇音楽「エグモント」

ベートーヴェンの劇音楽「エグモント」といえば、
ジョージ・セル指揮ウィーンフィルハーモニー(デッカ盤)が真っ先に浮ぶし、
ジョージ・セルといえば、この「エグモント」が最初に浮ぶくらいに、
私の中では「エグモント」とジョージ・セルの結びつきは強すぎるくらいに固い。

このセルの「エグモント」は長島先生が、よく試聴用レコードとして持参されていた。
もちろんLPである。

この「エグモント」は、とあるジャズ喫茶の、いわばリファレンスレコードでもある。

それまで私が聴いてきたセルのレコードは、
ほとんどがクリーヴランド管弦楽団を指揮してのものだった。
セルとウィーンフィルハーモニー、
それに序曲だけは聴いたことのある「エグモント」の全曲盤でもある。

鳴り出してきた音は、
このレコードが、ジャズ喫茶のリファレンスレコードなのだ、ということが納得できるものである。
もっとも最初に聴いた時には、まだそのことは知らなかったけれど、
後にそうだ、と聞いて、納得したものである。

セルの「エグモント」は、なかなかCDにならなかった。
1980年代後半に、音楽之友社が独自にCD化したのが最初だった。

CD化されない名盤を独自に……、という企画を、当時の音楽之友社は行っていた。
解説は、確か黒田先生が書かれていた、と記憶している。

このCDもいまは手元にない。
手離して十年ほど経ってくらいに、無性に聴きたくなった。
けれどCDは入手できなかった。
CD化されていたけれど、すぐに廃盤になったのか、
それとも音楽之友社のCD以降、デッカからは出ていなかったのか、
そこまで調べていないけれど、「えっ、いまもないのか」と思ったことははっきりと憶えている。

音楽之友社のCDは、いま聴くと印象が多少は変るのかもしれないが、
当時の印象は、LPで聴いたほどには強烈なものではなかった。

悪いわけではない……、
けれど、何かが欠けている気がする……、
そんな印象がどうしても拭い去れなかった。

いまはユニバーサルミュージックからCDが出ている。
輸入盤はないみたいだ。

12月のaudio wednesdayで、久しぶりに聴いて(かけて)みたいとおもう。

Date: 11月 17th, 2017
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(Casa BRUTUS・その4)

昨年の10月に(その1)を書いている。
Casa BRUTUS 200号に「A ROOM WITH SOUND 音のいい部屋」という記事が載っていることを書いた。

今日書店に行ったら、Casa BRUTUS特別編集ムック
音のいい部屋。A ROOM WITH SOUND」が平積みされていた。

手にとってみると、既視感のある写真がいくつかあったので、
思わず奥付の発行日を確かめてしまった。
つい最近出たムックである。

ほぼ一年前のCasa BRUTUSの記事のタイトル、ほぼそのままのムックである。
ということは「A ROOM WITH SOUND 音のいい部屋」は評判が良かったのだろう。

このムック「音のいい部屋。A ROOM WITH SOUND」の売行きがよければ、
もしかすると来年のいまごろまたムックとして企画されるかもしれない。

それにしても書店に行くと、「音のいい部屋。A ROOM WITH SOUND」だけでなく、
オーディオ関係のムックは意外と出ている。
ということは、いい音で聴きたい、という関心が少しずつ拡がりつつあるのか。

そういえば立川にあるシネコンCINEMA CITYでは、極上爆音上映を行っている。
つい最近、シン・ゴジラの極上爆音上映があった。
行きたいと思っていたら、いい席はほぼすべて予約で埋まっていた。
端っこの席ぐらいしか残っていなかったため、結局行かなかったのだが、
極上爆音上映は人気があるようだ(もちろん上映する映画によるだろうが)。

ここでも、いい音への関心が高まりつつあるのか、と思う。

そう思うけれど、機能的な音楽の聴き方ゆえかとも考える。