Date: 11月 19th, 2017
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと
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瀬川冬樹氏のこと(UREI Model 813の登場・その9)

UREIのModel 813に搭載されてるアルテックの604のように、
中高域のダイアフラムが、ウーファーよりも奥にある場合には、
ウーファー側のフィルター(ハイカットフィルター)にベッセル型を採用することで、
通過帯域内では一定の群遅延(Group Delay)がかかる。

では反対にウーファーがコーン型で、中高域がドーム型であれば、
中高域のダイアフラムがウーファーよりも前に位置する。
その場合、中高域側のハイパスフィルターにベッセル型を使えばいいのかというと、
必ずしもハイカットフィルターのようにうまくいくわけではない。

群遅延がローカット(ハイパス)とハイカット(ローパス)では、ベッセル型は違ってくる。
ローカットフィルターの群遅延は、ベッセル型よりもバターワース型のほうが良好である。

UREIはトゥイーターのローカットフィルターにはベッセル型を採用していない。
Model 813のネットワークの解説がここでのテーマではないので、
あまり細かいことは省くが、Model 813のネットワークは、
昔のスピーカーの教科書に出てくような設計ではない。

カットオフ周波数も、フィルターの種類も次数も、
ハイカットとローカットでは違うところばかりである。

同軸型という物理的な制約の多いユニットに対して、
昔の教科書的なネットワークをもってきても、
それまで多くの人が知らなかった可能性を抽き出すことはできない。

別項でも書いているように、スピーカーシステムはほんとうにコンポーネント(組合せ)だと、
Model 813について詳細を知るほどに、強く感じる。

組合せだけに、それをまとめる人のセンスが如実に、
音だけでなくアピアランスを含めてのスタイルにあらわれている。

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