「ルードウィヒ・B」(その10)
先週末、Aさんのお宅に集まっての飲み会だった。
15時半ごろから私は参加して、その後場所をうつして、23時ごろまで、
オーディオ好きの人たちと飲んでいた。
一応名目は試聴会だったようだが、音を聴いている時間よりも話しているほうが長い。
いろんな話が出たわけだが、Aさんが、
「最初に見た女性の裸は?」とみんなにきいてきた。
彼は子供のころドイツに住んでいたので、
ドイツ人の友だちが持ってきたスキンマグに載っていた写真だった、とのこと。
いわれてみると、私の場合は……、と思い巡らしていたところ、
Kさんが「永井豪のマンガだった」といわれた。
そうだ、そうだ、と思い出した。
私は、手塚治虫のマンガだった。
永井豪のマンガは、私も読んでいた。
デビルマンや魔王ダンテなどを、小学生のころは読んでいた。
そこにも女性の裸は登場する。
手塚治虫のマンガにも登場する。
そのころの少年マンガに登場する女性の裸は、
いまの緻密な描写のマンガのように、こまかなところまで描かれていたわけではない。
たいてい乳首は省略されていた。
そんなふうに描かれていた当時の女性の裸と、
海外のスキンマグに載っている女性の裸の写真とでは、
小学生のころに受ける印象は、そうとうに違うことは想像できても、
実際にはどのくらい、どんなふうに違ってくるのか──。
そのあたりについて考えていくのはおもしろそうだが、
私の場合、こういうところでも手塚治虫の影響を受けていたのかと、
改めて感じていた。