オーディオ評論家の才能と資質(その4)
理想のオーディオ機器とは、いかなる使い方をしても、
持てる能力を100%発揮できるモノという考えがある。
実際はまるで違う。
高い可能性、実力をもっているオーディオ機器であればあるほど、
使い方は難しくなる。
こんなことで音が変るのか、と思わず口走りたくなるほど、
ささいなことで音は変っていく。
しかも、使いこなしがしっかりしていればいるほど、
ささいなことに敏感に反応してくれる。
どんなに優秀なオーディオ機器であっても、
いいかげんな使い方をしていれば、そのことによるマスキングによって、
そういったささいなことによる音の変化は、なかなか聴き取り難くなる。
だが、それでも音は変化している。
音は振動の影響をつねに受けている。
電子機器であるアンプであっても、振動は音に影響している。
このことがアンプのコンストラクションを変えてきた。
いまでは金属ブロックからの削り出しの筐体のアンプも、珍しくはない。
振動対策を謳っているアンプも少なくない。
それでも、いいかげんなところにポンと置いただけでは、けっしてうまく鳴らない。
結局、ポンと置いてポンと接ぐだけで、いい音がしてくるオーディオ機器は登場しそうにない。
これから先も登場しそう(実現しそう)にない。
ほぼ同じことが、サプリーム 144号にも載っている。