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Date: 9月 8th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その7)

中学生のころは、あれだけ鮮明に、その歌が示すところの情景が、
グラシェラ・スサーナの日本語の歌を聴けば浮んできていたのに、
いつしかぼやけてきていた。

あのころはラジカセの貧弱な音であり、
ステレオサウンドで働くようになってから鳴らすようになった音とは比較しようのない音でも、
情景は鮮明だった。

あのころから四十年ちょっと経っている。
浮ばなくなったのも老化なのか、と思いはじめてもいた。

十代のころと、五十代では同じに聴けるはずがない──、
といってしまえば、少しは楽になるのかもしれないが、
そんなふうには思いたくないという気持も残っている。

あのころはカセットテープにLPだった。
アナログ録音されたものを、アナログのパッケージメディアで聴いていた。
いまはデジタル(CD)である。

その違いもあるのか。
実際に聴いて確かめればいいのに、やってこなかった。
LPで聴いて、情景が何も浮んでこなかったら……、
そういう怖れがなかった、とはいえないからだ。

音を聴きすぎているのかもしれない、とも思う。
音を聴く術を、ステレオサウンドにいたころに学び鍛えられた。
それはいいことでもあるが、そうでないことでもある。

メリディアンのULTRA DACでグラシェラ・スサーナの日本語の歌を聴いた。
アップサンプリングのフィルターを変えることによる音の変化が、
ふたつの「情景」を浮ばせたことは(その6)に書いたとおり。

浮ぶ、そうおもえて安堵した。

Date: 9月 8th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その15)

毎月第一水曜日に四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記で行っているaudio wednesdayでは、
ネットワークは、私が作った直列型6dBスロープである。
この日以外は、コイズミ無線製の12dBスロープ(並列型)で鳴っている。

ここ数回、この自作ネットワークで鳴らしてきて、いい感じだと思っている。
それでも、9月のaudio wednesdayは、まったく不安がないわけでもなかった。

メリディアンのULTRA DACを持ってきたら、どうなるのか。
たぶん、自作ネットワークがいいとは思っていても、
音ばかりは実際に聴いてみないことにはわからないところがある。

ULTRA DACを組み込んだシステムは、一点豪華主義となる。
ULTRA DACの価格と、喫茶茶会記のシステムのトータル価格は、前者の方が高い。

いわゆる情報量において、ULTRA DACは優れている。
メリディアンはDSP内蔵のアクティヴ型スピーカーシステムの開発にも積極的である。

そこにホーン型、直列型ネットワークといった組合せのスピーカーである。
予測できないことが起きても不思議ではない。

こればかりは、最初の音が鳴ってくるまで、内心ドキドキしている。
結果は別項「メリディアン ULTRA DACを聴いた」で書いている。
(その13)で書いているように、一部を銀線にしていることもよかったのかもしれない。
少なくとも、入力機器を最新のモノとしても、直列型ネットワークの良さは活きている。

むしろULTRA DACの前に、直列型にしておいてよかった、とさえ思いはじめている。

Date: 9月 8th, 2018
Cate: 複雑な幼稚性

「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(その58)

ステレオサウンド 208号は、まだ読んでいない。
書店で手にとって、サッと眺めただけだ。

表紙は、オーディオリサーチの新製品、Reference 160Mである。
208号から始まった「オーディオファイル訪問記」に登場する酒井敏行氏のスピーカー、
特集記事のあとだったか、アナログディスクのテストレコードの広告がある。
読んだ人のなかには、記事だと勘違いしている人もいるようだが、
ノンブルの位置にPRとあるから、広告である。

これらに共通していることに気づいている人は、どれだけいるだろうか。
すべて同じ輸入元である(あえてどこかは書かない)。

Date: 9月 8th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その6)

グラシェラ・スサーナは、中学二年のころから聴いている。
グラシェラ・スサーナの日本語の歌を聴いてきたのは、
そのころの私にとって、情景が浮んでくる、唯一人の歌い手だったからである。

日本語の歌なら、日本人の歌い手ではないか、という意見がある。
グラシェラ・スサーナの日本語は完璧といえないところがあるのはわかっている。

うまい日本人の歌い手がいるのはわかっている。
それでも、中学二年のころまで、その歌を聴いて情景が浮ぶということはまったくなかった。
グラシェラ・スサーナの日本語の歌を聴いて、初めて、その歌で歌われている情景が浮んだ。

だから夢中になって聴いてきた。
なにも立派なシステムで聴いていたわけではない。
ラジカセで聴いていた。

メリディアンのULTRA DACでのグラシェラ・スサーナの情景は、
ふたつの意味をもつ。

shortでの音は、まさに録音している、その場の情景が浮ぶ。
ULTRA DACのフィルターをmedium、longにすると、
録音の場に居合わせたかのような雰囲気は薄れるが、
今度は、中学のころに浮んだ情景があらわれる。

他の人がどうなのかはわからない。
少なくとも私には、ULTRA DACのフィルターの違いは、
グラシェラ・スサーナの歌においては、そう聴こえた。

medium、longにすると、グラシェラ・スサーナが歌っている歌が表現している情景が浮ぶ。
これも私がグラシェラ・スサーナの歌に求めている、大事なところであるし、
大切にしているところである。

その意味で、私にとってULTRA DACは、「情景」を表現してくれるD/Aコンバーターである。

Date: 9月 8th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その5)

グラシェラ・スサーナの「仕方ないわ」の前に聴いた松田聖子の「ボン・ボヤージュ」でも、
松田聖子の歌を録るためのマイクロフォンのクォリティが、
それまで喫茶茶会記で聴いてきたCDプレーヤー(ラックス、パイオニア、マッキントッシュ)よりも、
一段上であるように感じていた。

もっといえばクォリティの高いコンデンサー型マイクロフォンのようにも思えた。
実際のところ、どのマイクロフォンなのかは知らないが、
少なくともそれまでの再生では、そんなふうに感じたことは一度もなかった。

このときもULTRA DACのフィルターはshortである。
グラシェラ・スサーナの「仕方ないわ」の音は、
録音の現場に居合わせたかのような鳴り方だった。

モニタースピーカーというモノがあるが、
メリディアンのULTRA DACはモニターD/Aコンバーターといえる性能を持っている、ともいえる。

けれど、一般的なモニタースピーカーに対する印象で鳴ってくるわけではない。
即物的な鳴り方、アラ探し的な鳴り方ではない。

「仕方ないわ」で、フィルターをmediumにしてみる。
この音も魅力的ではあったが、私にはshortの印象のほうが強かっただけに、
mediumの音を聴きながらも、shortの音の印象を思い出してもいた。

longでも、さらに音は変る。

short、medium、long、
三つのフィルターのどれがいいか、といえば、
グラシェラ・スサーナの「仕方ないわ」に関するかぎり、私はshortだと言い切る。

けれど一緒に聴いていた人は、mediumの音も捨て難い、とのこと。
それもわかる。

ここでのフィルターによる音の違いは、絶対的ではない。
かけるディスクが変れば、評価は違ってくる。

shortがもっともよかったのは、グラシェラ・スサーナの「仕方ないわ」においてである。
ただし、それも別の聴き方、別の面を求めれば、また変ってくる。

Date: 9月 8th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その4)

グラシェラ・スサーナのベスト盤は、CDである。
一般的なCDだから、44.1kHz、16ビットである。

メリディアンのULTRA DACは、自動的にアップサンプリングしてD/A変換を行う。
アップサンプリング機能をOFFにはできない。

アップサンプリング時に、フィルターがshort、medium、longのどれか選択できる。
「仕方ないわ」を聴いたときはshortだった。
次にmediumにし、longをした。

これの機能については、輸入元のハイレス・ミュージックのサイトを参照してほしい。
ここでは細かなことは述べない。
書きたいのは、その音の変化について、である。

「仕方ないわ」でのshortの音は、圧倒的に感じた。
ここまで再生できるのか、と思いながら聴いていた。

これまでグラシェラ・スサーナのCDは、今回のベスト盤を含めて、ほぼすべてを聴いている。
多くがアナログ録音であり、CD化にあたり、どれだけ丁寧な仕事がなされているのか、といえば、
あまりそんな感じを受けたことはなかった。

唯一、ここまでやれるのか、と感じたのは、「アドロ・サバの女王」の限定盤だった。
それまで売られていた「アドロ・サバの女王」と比較するまでもなく、
丁寧な仕事をしてくれたな、と感じる出来だった。

グラシェラ・スサーナのCDが、ひどい出来とはいわない。
ようするに一般的な、平均的な出来としか受け止めてなかった。

「アドロ・サバの女王」の限定盤のクォリティでCDを出してくれれば……、と思っていた。
でも、ULTRA DACでの「仕方ないわ」は、くり返すが、ここまで再生できるのか、と感じていた。

Date: 9月 8th, 2018
Cate: 複雑な幼稚性

「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(その57)

書店に、ステレオサウンド 208号が置かれている。
買おうかな、と思ったけれど、買わなかった。

avcat氏に謝罪したことについては、何も載っていなかった。
そうだろうな、と思っていたから、意外でもない。

208号は9月4日発売だった。
買わなくなってしまった雑誌の発売日は、なんとなくでしかなく、
その日も、帰りの電車の中でfacebookを眺めていて、今日、発売日なんだ、と気づいた。

駅を出たら、途中にある書店に寄って……、と思っていたら、
乗っていた電車は台風の影響による強風のせいで、
通常なら30分程度の乗車ですむのに、二時間ほどかかってしまい、
書店も早じまいしていた。

今回の台風の怖ろしさは、直撃しなかった東京にいても感じた。
熊本に住んでいたから、夏は台風の季節でもあった。
それでも、ここまでの台風は、記憶にない。

約二時間の電車の中でも、帰宅してからも台風のニュースを読んでいた。
その凄まじさで思い出すことがあった。

ステレオサウンド 178号の発売日は2011年3月11日だったことだ。
染谷一氏が編集長になって最初のステレオサウンドが、178号である。
今号も、末尾の数字は8である。

偶然なのだろう。
それでも怖い偶然である。

Date: 9月 7th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その3)

何から書き始めるか、といえば、やはりグラシェラ・スサーナのことから始めたい。
全体の構成的には別のことから書き始めた方がいいかな、と思いながらも、
MQAで聴いたグラシェラ・スサーナのこと、メリディアンのULTRA DACで聴いたグラシェラ・スサーナのことだ。

9月5日の音出しは、いつものラインナップからである。
マッキントッシュのMCD350を数枚のディスクをかけて、まずは音の確認。
それからメリディアンの206にする。

MCD350でかけたディスクの一枚だけを206で聴く。
そのディスクのまま、508で聴く。

508にはアンバランス出力とバランス出力があり、
両方の音を聴いて、バランス接続のまま、ULTRA DACを、このラインナップに加える。

508をCDトランスポートとして使う。
508のD/Aコンバーターを、ULTRA DACに変更した、ともいえる。
ULTRA DACもバランス出力をもつので、マッキントッシュMA7900とはバランス接続。

508とULTRA DACは準備の段階から電源をいれてディスク再生にしてのウォームアップをしていた。

カルロス・クライバーの「トリスタンとイゾルデ」を、
MCD350、206、508、508+ULTRA DACで聴いた。
エソテリックから発売になったSACDだから、
MCD350での再生はSACDで、メリディアンではCDレイヤーの再生である。

その次に、常連のKさんのリクエストで松田聖子のCDをかけ、
グラシェラ・スサーナのCDをかけた。
ベスト盤の「仕方ないわ」を聴く。
いつも鳴らしている曲である。

松田聖子(これもいつも聴いている「ボン・ボヤージュ」)を鳴らしたときよりも、
少し鳴り方が変ったように感じた。

時間的には十分なウォームアップのはずだし、実際にディスクを再生していたのだから、
理屈としては、ウォームアップ完了のはずなのだが、
それでも実際にアンプが接続されての状態と無負荷では、違うのだろうか。

それともULTRA DACを加えたことによる変化にスピーカーが対応してきたことによる変化なのか、
そのへんははっきりしないが、
とにかくグラシェラ・スサーナの「仕方ないわ」はよかった。

よかった、だけだと素っ気なさすぎのように受け止められるかもしれないが、
「よかった」という以外、ぴったりの言葉はない。

Date: 9月 6th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その2)

メリディアンのULTRA DACで聴いたグラシェラ・スサーナの素晴らしかったこと。
これも忘れず書いておく。

ULTRA DAC、MQAに否定的な人がいるのは知っている。
技術的な面からMQAを否定している人いるようだが、
どんなに技術的なことを詳しく述べてMQAを否定しようとも、
結局、技術的なことというのは、
ほんとうのところのごく一部しか語っていないことを、
ULTRA DACの音を聴けば、思い知ることになるだろうこと。

このことは(その1)に書いたハイレゾ(ハイスペック)にも関係してくる。

ULTRA DACには、どのトランスポートがいいのか、ということ。
MQAについての解説を読んで知ってはいても、
現実に目の当りにすると、こんなに簡単に! と驚く。

ということは、あのトランスポートも、別のあれもこれも……、と、
ぜひULTRA DACと組み合わせてみたいモデルのこと。

ULTRA DACを、瀬川先生、山中先生が聴かれたら……、
こんなことも想像してしまうほどの音だった。

ここまでは備忘録である。
おそらく書き始めると、書きたいことがさらに出てくるだろうが、
これらのことは必ず書く(予定)。

Date: 9月 6th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACを聴いた(その1)

昨夜(9月5日)のaudio wednesdayは、
メリディアンのULTRA DACを聴くことがテーマだった。

メリディアンのULTRA DACを聴いていて感じたこと、
聴き終って思ったこと、考えたことがある。

ハイレゾという言葉が嫌いなのだが、
それでもハイレゾとハイスペックは違う、ということ。

ハイスペック音源をハイレゾ音源とは、いいたくない、ということ。

それから瀬川先生が書かれていたこと。
     *
しかし一方、私のように、どこか一歩踏み外しかけた微妙なバランスポイントに魅力を感じとるタイプの人間にとってみれば、全き完成に近づくことは、聴き手として安心できる反面、ゾクゾク、ワクワクするような魅力の薄れることが、何となくものたりない。いや、ゾクゾク、ワクワクは、録音の側の、ひいては音楽の演奏の側の問題で、それを、可及的に忠実に録音・再生できさえすれば、ワクワクは蘇る筈だ──という理屈はたしかにある。そうである筈だ、と自分に言い聞かせてみてもなお、しかし私はアンプに限らず、オーディオ機器の鳴らす音のどこか一ヵ所に、その製品でなくては聴けない魅力ないしは昂奮を、感じとりたいのだ。
     *
これは、ステレオサウンド別冊「81世界の最新セパレートアンプ総テスト」の巻頭、
「いま、いい音のアンプがほしい」で書かれたもの。

アンプについて書かれているわけだが、
同じことはD/Aコンバーターについてもいえる、であろうこと。

ふり返ってみれば、私はアナログプレーヤーもCDプレーヤーも、
ヨーロッパ製を選んできたこと。

これらのことを思ったり、考えたりしているところだし、
これから書いていくけれど、
メリディアンのULTRA DACは、素晴らしい音だった。

いい音だった、といいたくなる製品は、ある。
けれど、素晴らしい音だった、となると、ほんとうに少なくなる。

私だけではなかったはずだ。
来ていた人(数人なのが残念だった)は、みな聴き入っていたのだから。

Date: 9月 6th, 2018
Cate: audio wednesday

第93回audio wednesdayのお知らせ(ホーン周りと設置)

10月のaudiowednesdayは、3日。
音出しの予定。

とはいうものの、次回はメリディアンのULTRA DACは当然のことながらないわけで、
昨夜の音がまだまだはっきりと記憶に残っていての音出しは、
来られる人も私も、その違い(落差)を聴くことになる。

これからULTRA DACについては書いていく。
喫茶茶会記のオーディオシステムのトータル金額よりも高いD/Aコンバーターだけに、
そこでの違いは、どうやって埋めることはできない。

それでも音出しなのだから、数ヵ月前から、やる予定と書いていることを、
やっと実行に移す予定でいる。

前々からアルテックの811Bをバッフル板に取り付けて鳴らしたい、と考えていた。
トゥイーターとしてJBLの075が定着してからは、その必要性とともに、
ユニット配置の変更(見直し)から、もっともやりたいことのひとつだった。

にも関らず延ばし延ばしになっていたのにはいくつかの理由があるけれど、
メリディアンのULTRA DACを聴いたからには、もうやるしかない、と思うようになった。

811Bはバッフルに取り付けることを前提としている設計のようである。
それにホーン+コンプレッションドライバーを上から見れば、
ほほ三角形ともいえる。
ならば、ホーン+ドライバーこそ三点設置がもっとも活きるはずである。

とにかく10月は、ホーン周りの変更点を聴いてもらうことになる(はず)。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時開始です。

Date: 9月 5th, 2018
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これまで(パイオニア Exclusive 3401・その4)

パイオニア Exclusive 3401がおそらく、というより間違いなく意識していたであろうJBLの4320。
サテングレーと呼ばれる塗装仕上げの4320も、
パイオニア Exclusive 3401と同じく、エンクロージュアの六面すべてグレー塗装である。

そのためエンクロージュアの単体としてはのっぺりした印象になりがちなところを、
フロントバッフルの上下をはさむかっこうでヒサシ的出っ張りがある。

この出っ張りがなければ、4320のスタイルはずいぶん印象の違うものになっていたはずだ。
4331、4333も4320と同じエンクロージュアだったが、
4331も4333もAタイプになり、この出っ張りはなくなった。

代りにフロントバッフルが別の色で塗装されることで、
全体のアクセントがはっきりとし、平板な印象にはなっていない。
しかもこの時代の4300シリーズのスピーカーは、
フロントバッフルが周囲よりも少し奥に引っ込んでいる。

ところがパイオニア Exclusive 3401はほぼ立方体に近い。
4320のような出っ張りもないし、フロントバッフルを他の色で塗装しているわけでもない。
フロントバッフルは奥に引っ込んでいない。
いわゆる面一(つらいち)である。

外観的アクセントがほとんどないといえるパイオニア Exclusive 3401において、
中音域のホーンの周囲の処理と、ホーントゥイーターがアクセントになっている。

特に中音域ホーンの上下を半円筒状のものでサンドイッチしている処理は、
なかなかのものである。

これはフロントバッフルによる乱反射を抑えるためのもの、とのこと。
ホーン型の場合、ホーンの形状、材質、精度も重要だが、
実際の使用において、ホーン開口部周囲の処理もまた重要であるにもかかわらず、
忘れがちな傾向にあるとも感じている。

パイオニアはExclusive 3401以前から、この点を忘れていない。
PT100というマルチセルラホーンのトゥイーターでも、
ホーンの上下を1/4球状のものでサンドイッチしている。

PT100のことは、八年ほど前に別項「同軸型はトーラスか」で触れている。

Date: 9月 4th, 2018
Cate: audio wednesday

第92回audio wednesdayのお知らせ(ULTRA DACを聴く)

MQAで聴けるグラシェラ・スサーナ」で書いているように、
私が中学生のときからずっと聴いてきているグラシェラ・スサーナがMQAディスクで登場する。

けれど、残念なことに発売は9月19日。
9月のaudio wednesdayの二週間後である。

メリディアンのULTRA DACで聴ける機会なのに、肝心の発売日が間に合わない。
まだ店頭に並んでいないディスクは、どうにもならない。
諦めるしかないわけだが、せっかくの機会だからなんとかしたい、と思っていた。

それでも発売元のユニバーサルミュージックに知り合いはいない。
私の友人で、ユニバーサルミュージックに知り合いがいる人もいそうにない。

ULTRA DACがじっくり聴ける、
そのことで充分ではないか、と自分に言い聞かせようとしても、
やはりULTRA DACでグラシェラ・スサーナのMQAディスクは聴いてみたい。

今回の機会を逃すと、次はほとんどないかもしれない。
世の中、そういうものである……、と思っていたら、
明日(9月5日)、聴けるようである。

Date: 9月 4th, 2018
Cate: 型番

デンオンの型番(その5)

デンオンのカートリッジの型番から始まる。
おそらくDはDENONの頭文字のはず。

ではLは、何を意味しているのか。
二年前に(その4)まで書いた時には、
ライト(light)のLではないか、というメールもあった。

昨夜、ステレオサウンド 9号の裏表紙を眺めていたら、
そこにDENON HI-LINEARの文字があった。

DL107の広告だった。
もしかすると、DLはDENON HI-LINEARなのかもしれない。

Date: 9月 4th, 2018
Cate: audio wednesday

第92回audio wednesdayのお知らせ(ULTRA DACを聴く)

明日(9月5日)のaudio wednesdayは、
メリディアンのULTRA DACを中心に行う。

すでに書いているようにメリディアンのCDプレーヤー206を、
常連のKさんが貸してくれる。
今日発送した、という連絡があった。

206を収めるちょうどいいサイズの箱がなかったため、
大きめのサイズの箱にした、とのこと。
そして、余ったスペースに、メリディアンのCDプレーヤー508も入れてある、とのこと。

206、508、ULTRA DACとメリディアンのモデルが揃う。
こういう機会は、他でもあまりないのではないか。

これまで喫茶茶会記のアルテックは、
ラックスのCDプレーヤー、パイオニアのSACDプレーヤー、マッキントッシュのSACDプレーヤー、
これら三機種で鳴らしてきた。
日本、日本、アメリカで、今回初めてイギリスのCDプレーヤー、D/Aコンバーターでの音出しである。

アルテックが、どういう表情を見せてくれるのか、
私は、こちらにも興味がある。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時開始です。