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Date: 5月 3rd, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、感覚論としてのエネルギー伝送のこと

個人的な感覚論として、
私のなかではアナログディスクはエネルギー伝送、
CDは信号伝送というイメージへとつながっている。

これはCD登場以前に、アナログディスクを、
ダイレクトドライヴ型プレーヤーではなく、
EMTの930st、それに927Dstといったプレーヤーで聴いてきたこと、
そしてノイマンのカートリッジDSTとDST62を、
ある人から借りて、じっくりと何日間も試聴できたことが深く関係しているのであって、
あくまでも私のなかでのイメージである。

私と同世代でも、私が使ってきたプレーヤーと性格がまったく違うプレーヤーで聴いてきた人、
オーディオに目覚めた時は、すでにCDだった、という世代の人、
それぞれにアナログディスクとCDに対するイメージは違って不思議ではない。

これまでメリディアンのULTRA DACで三回、
今回メリディアンの218でMQA-CDを聴いて、
私が感じているMQAの良さというのは、
CD、デジタルにも関らず、エネルギー伝送のイメージを感じているのかもしれない──、
そんなふうに思うようになっている。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(つくる・その40)

5月のaudio wednesday、
喫茶茶会記の店主、福地さんからの話。

4月に、とあるイベントでジャズのうるさ方が集まっての音出しがあった、と聞いた。
その時の音が、とてもよく鳴っていた、とのこと。
福地さんは何も変えていないのに……、と不思議がっていたけれど、
4月3日のaudio wednesdayで、(その39)で書いているラインケーブルに交換し、そのままになっている。

3月まで使っていたラインケーブルも、私の自作であり、
価格的にはどちらもそれほど違わない。
基本的な構造の考え方は同じであっても、実現の方法が少し違う。
使っているケーブルのメーカーも種類も違う。

なので福地さんが不思議がっているのを、
「変っていて当然なんだよ」と口に出すことなく聞いていた。

黙っていて、誰かが聴いて、音が良くなっていることに気づく。
そのことを聞いて知るのも、オーディオの、ちょっと変った楽しみ方である。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 会うこと・話すこと

会って話すと云うこと(その23)

今年のヘッドフォン祭では、
「(ブログを)読んでいます」と声を、二人の方からかけられた。
どちらも出展社の方である。

そういってもらえると、やっぱり嬉しいし、
少しばかり照れくさいものである。

二人とも社交辞令でいわれているのではないことは、
その後に続く話からもわかる。

好き勝手なこと書きやがって──、
そんなふうに思っている人がいるのは聞いて知っている。

そういう人たちがいる一方で、話しかけてくれたような方たちもいてくださる。
どちらが多いかといえば、たぶん前者だろう。

これから先も、このことは変らないだろう。
変るくらいなら、とっくにオーディオの世界はよくなっている。

書くのは、書く時は独りである。
たまに電車に乗っている時に書くこともあるが、
それでも周りは知らない人ばかりだから、独りといえる。

寂しい、とか、つらい、とか、そんなことはまったく感じないけれど、
会った人から、「読んでいます」と直接いわれるのは、
独りでやっているからこその嬉しさである。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 「ルードウィヒ・B」

The Citi exhibition Manga

ヘッドフォン祭で、ある出展社の方から、
5月に大英博物館で赤塚不二夫の展示が開催される、ということを聞いた。

検索してみると、大英博物館で5月23日から8月26日にかけて、
The Citi exhibition Mangaが開催される。

日本のマンガの展覧会であり、赤塚不二夫だけではなく、
約50名のマンガ家、
約70タイトルによる総計約240点の原画および複製原画、
描き下ろし作品などが6つのゾーンに分けて展示される、とのこと。

詳細はコミックナタリーの記事をお読みいただきたい。

知人に、絶対にマンガを読まない男がいる。
音楽は、どんなジャンルでもボクは聴きます、といっている。
クラシックも聴けば、ジャズも聴くし、ロック・ポップスも聴く、というわけだ。
でも知人は演歌もそうだが、絶対に聴かないジャンルの音楽がある。

別にそれはそれでいい。
私だって聴かない音楽、関心のない音楽はけっこうある。

でも、知人は、どんなジャンルでも聴く、と普段から言っている。
そんなこと言わなければいいのに……、と思うけれど、
如何にも彼は「私は理解ある人物です」といいたげである。

そういう男だから、知人はマンガを読まない。
低俗だ、と頭からバカにしているところがある。
いくつかのマンガを薦めた(本を貸した)ことがあるが、手にとろうともしなかった。

その男は権威が好きである。
権威が好きなのは、それはそれでいい。

その男は、今回の大英博物館でのThe Citi exhibition Mangaのニュースを知ったら、
どんな反応をするだろうか。

ころっと手のひらを返して、マンガは素晴らしい、とか言ったりするようになるのか。
私は、ずっと以前、その男のそういう態度を、手のひら音頭ですね、と茶化したことがある。

手のひら音頭男である。
そういうところは、その男の本性のようだから、生涯変らないだろう。
手のひら音頭男とのつきあい、九年前に終った。

手のひら音頭男は、The Citi exhibition Manga開催を知っても、
ふーん、というぐらいの反応しかしないはずだ。

それでいい、とおもうようになった。
The Citi exhibition Mangaによって、手のひら音頭男がマンガに関心をもつようになるほうが、
私には気持悪く感じるからだ。
よしてくれ、といいたくなるに決っている。

大英博物館でThe Citi exhibition Mangaが開催されるからといって、
マンガが権威付けされるとは思っていない。

手のひら音頭男だけでなく、
今回のことでマンガが権威付けされると受けとる人はいるだろう。

オーディオだって、いまだに毎年暮には各オーディオ雑誌の特集は「賞」である。
手のひら音頭男は、私に以前、
オーディオ雑誌を創刊しましょう、といってきた。

手のひら音頭男は、創刊したばかりの号で、賞をやりましょう、と力説した。
創刊したばかりのオーディオ雑誌が賞をやって、どうする?
何の意味がある? と私は反対した。

創刊の話は流れた。
創刊できたとしても、手のひら音頭男とは一緒に仕事はできなくなっていたことだろう。

マンガは、そんな権威から無縁であってほしい。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 218, MERIDIAN

メリディアン 218を聴いた(その4)

第100回audio wednesdayのお知らせ(メリディアン 218を聴く)」で書いているように、
ブリテンのモーツァルトの交響曲第25番のディスクから始めた。

ステレオサウンドから出ているSACDとCDを、マッキントッシュのMCD350で聴く。
それからデッカ盤“BRITTEN THE PERFORMER”からの一枚で、同じモーツァルトを聴く。

そしてMCD350とメリディアンの218を接続して聴く。
218は電源は一時間ほどいれてあったが、信号は通していなかった。
なので動的なウォーミングアップは鳴らしながら、ということになる。

それでもMCD350単体の音とは、ずいぶん傾向が違う。
この段階で、どちらの音がいいとか悪いとか判断するのは早すぎるし、
今回の試聴は、どちらがいいとか悪いとか、そういうことを決めるためのものではない。

それでも、どちらが好きかというのは、もちろんあり、だ。
常連のHさんは、218を通した、それもデッカ盤の弦の音が好きだ、といわれる。

どの音が好きかは人によって違ってこようが、
私には、どの音もブリテンのモーツァルトにしては鈍いし重い、と感じられた。

なので動的ウォーミングアップが終るのも待ちながらも、
218の置き方を変えてみることにした。

最初はゴム脚をつけずにそのまま置いていた。
ゴム脚が箱に入っているのに気づいたのは、終了してからだった。
なのでどうしたかというと、これも事前に用意していたモノを使った。

ゴム脚がついていないことは知っていた。
ゴム脚のかわりになるモノは、世の中にけっこうある。
見かけが立派なモノ、かなり高価なモノなど、いろいろあるけれど、
大仰な脚は、218にはそぐわない。

たとえば小型で、比較的安価なスピーカーに、
非常に高価で立派なスタンドを組み合わせて、
スピーカーケーブルも同じく高価なモノに交換して、
とても良くなった、と自慢気に語る人がオーディオマニアには少なからずいる。

そういう楽しさはわかっている。
けれど、ここ(audio wednesday)ではやろうとはまったく思っていない。
来てくれた人の参考にならないからだ。

あくまでもバランスのとれた範囲で、
同じことをやろうとした人が再現できる範囲のことに限っている。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 218, MERIDIAN

メリディアン 218を聴いた(その3)

少し前にtwitterに、メリディアンの218の電源のコネクターは特殊だから、
付属の電源コードを使うしかなくて、
電源コードをあれこれ迷わずに済むから気に入っている、みたいなことが書いてあるのを見かけた。

メガネプラグは、秋葉原に行けば買えるし、インターネットの通信販売でも買える。
では3Pのメガネプラグはどうかというと、プラグ単体は見付けられなかった。

けれど「メガネプラグ 3p」で検索すれば、
メガネプラグの3Pと2Pの変換アダプターはすぐに見つかった。
ヨドバシに売っている。

こんな小さなモノをたった一つだけ送ってもらうのもなんだかなぁ、と思い、
電車の中でスマートフォンから店頭受取で注文した。
30分後には容易できます、という返事。

電車に乗っていたのが10分、
吉祥寺で途中下車して少し時間を潰していたら、
ほぼ30分後に商品を取り置きしている、というメールが来た。
便利な世の中である。

今回はこの変換アダプターを使って、電源コードを自作のモノに途中で交換している。
この電源コードは3月のaudio wednesdayで作っていったモノと同じケーブルを使っている。
プラグと長さが違うだけである。

電源コードの交換による音の違いは、来ている方みなが確認している。
ハイレス・ミュージックの鈴木さんも確認されている。
なので最後まで、自作の電源コードで聴いている。

この電源コードによる音の変化もそうだが、
置き方(218にはゴム脚が最初はついていない)などによる音の変化が、
はっきりと出ることからいえるのは、素姓のいい製品であるということだ。

素姓のあまりよくない製品、
それから厚化粧を施したかのような音づくりの製品の場合、
こういったことに対する音の変化が、どこか鈍かったりする。

218にはそういうところがなかった。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: きく

新製品を聴くことについて考えた(その1)

別項「第100回audio wednesdayのお知らせ(メリディアン 218を聴く)」で、
オーディオ店やオーディオショウで新製品を聴くことについて、少しだけ触れた。

わずかな例外はあるものの、
新製品を聴くどきどき、わくわくという感情が伴わない。

以前はそうではなかった。
まだ熊本に住んでいたころ、
瀬川先生がオーディオ店の招きで定期的に来られていたころ、
瀬川先生が鳴らされる新製品を聴くのは、ほんとうに楽しみで楽しかった。

新製品を聴くどきどき、わくわくという感情が常にあった。
ここでの新製品とは出たばかりのオーディオ機器だけでなく、
定番の製品であっても、当時の私にとって初めて聴くモノは新製品といえた。

ステレオサウンドの試聴室でも、新製品を聴いてきた。
これも楽しかった。
中には例外的な製品もなかったわけではないが、
新製品を聴くどきどき、わくわくという感情がきちんと持っていた。

それがいつのまにかなくなっていることに気づいた。
こちらが歳をとったからなのか、
出てくる新製品に原因があるのか、
どこに理由があるのだろうか……、と思う日がずっと続いていた。

2011年2月から、
喫茶茶会記でaudio wednesday(当時はaudio sharing例会だった)をやるようになった。
2016年から音を鳴らすようになった。
2018年9月、audio wednesdayで、新製品を鳴らすようになった。

そうやってやっと気づいた。
新製品を聴くということは、
私にとって新製品のプレゼンテーションであり、
それは自分の手で鳴らす、ということにつながる、と。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: audio wednesday

第101回audio wednesdayのお知らせ

6月のaudio wednesdayは5日。
音出しの予定でいる。

テーマは一つ考えているのがあるけれど、
そのためには工作の時間と私のやる気が必要なので、どうなるかはなんともいえない。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時からです。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 218, MERIDIAN

メリディアン 218を聴いた(その2)

メリディアンの218の詳細は、輸入元ハイレス・ミュージックのページを参照していただきたい。
そこには、“Zone controller – Digital Pre Amplifier”とある。
D/A converterではない。

218が、いわゆるD/Aコンバーターとして開発されたわけではないことは、
リアパネルをみればはっきりする。

アナログ入力があるし、デジタル出力も備えている。
LANケーブルによるデジタル入力はある、
Meridian SpeakerLink(入出力)もあるが、
現在のD/Aコンバーターに標準装備といえるUSB入力はない。

フロントパネルはインジケーターが六つあるだけで、
電源を含めて、スイッチは一つもない。

コンシューマー用機器として開発されたわけではない。
218の底板には、ネジ穴が四つある。
これはラックマウントするためのもので、脚と呼べるものはない。
付属品として薄いゴム脚がついている。

電源コードは着脱式だが、一般的なコネクターではなく、
俗称メガネプラグ、それも一般的な2Pではなく3P型である。
これはミッキーマウスと呼ばれている。

このタイプのプラグを採用したのは、リアパネルのスペースが限られているためであろう。
218のリアパネルは入出力端子などが隙間なく配置されている。

オーディオマニアの感覚では、アナログ入力端子をつけるくらいなら、
USB端子をつけてくれ、と思ってしまうが、
218は、2018年に登場していながらそうでないことは、
くり返しになるが、コンシューマー用のD/Aコンバーターとして開発されたモデルではないからだ。

とはいえ、今回のaudio wednesdayでは、Zone Controllerとしての218ではなく、
D/Aコンバーターとしての218として聴いている。
それでも19時から聴き始めて、23時までの四時間は楽しかった。

Zone Controllerとしての218については、
別の機会にじっくり聴いてみたい。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(都心のノイズ事情)

昨晩のaudio wednesdayに、
電流帰還アンプ(キットで市販されている)を持ちこまれた。

電流帰還アンプで検索すればすぐに見つかる製品で、
六千円前後で入手でき、出力は0.5W+0.5Wである。

このアンプを、通常の電源ではなく太陽光電池に接続しての音出しというものだった。
このアンプは知っていた。
値段も手頃だし、実験してみるのも面白い、と思っていた。

ちょうどいいタイミングで持ち込まれた、と内心思っていた。
ここで、音はこうだった、と書きたいところだが、
残念なことにひどくバズが出てしまい、音を聴くにはいたらなかった。

このアンプはプリント基板に入出力端子がついているので、
シャーシーなしでも使える。
昨晩はシャーシーなし、つまり裸の状態での試聴であった。

電源は商用電源を使っていないから、ここからのノイズの侵入はない。
それでもシャーシーなしのアンプは、周囲のノイズを拾ってしまったようだ。

喫茶茶会記は四谷三丁目にある。
山手線の内側であり、都心の真ん中に近い。

別項「reference考」の(その6)と(その7)で書いてるように、
強電界地区といえる都心では、このようにバズってしまうアンプがいくつかある。

海外製のアンプでも国産アンプでも、そういうのがあるのを体験しているし、
実際の製品名を聞いてもいる。

今回のアンプも、千葉から来てくださった方のところでは、
まったく問題なく鳴っていた、とのこと。
そうであろう。

それでも山手線の中では、オーディオ機器を取り囲むノイズ事情は、大きく違うし、ひどい。
問題なく鳴るモノでも、問題が発生してしまう。

だからこそノイズとうまいつきあいを見つけ出す必要がある、と考えている。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 218, MERIDIAN

メリディアン 218を聴いた(その1)

昨晩(令和元年初日)のaudio wednesdayで、メリディアンの218を聴いた。
昨秋に発表になった218は、125,000円と、
ULTRA DACの2,500,000円からすればかなり安価なモデルである。

価格的には2,500,000円と125,000円で、二十分の一、
重量は16kと500gで、三十二分の一である。

500gという重さは、長岡鉄男氏ならば、どう評価されるだろうか──、
そんな余計なことを想像してしまうほど、軽く、小さいのが218である。

喫茶茶会記では、マッキントッシュのMCD350を常時使っている。
MCD350は、600,000円(価格はいずれも税抜き)のプレーヤーである。

一体型のCDプレーヤーのD/Aコンバーター部が、価格においてどれだけ占めているのか。
乱暴で単純な考えとして、トランスポートとD/Aコンバーターで二分しているとすれば、
MCD350のD/Aコンバーター部は300,000円といえる。

300,000円のMCD350のD/Aコンバーター部と、
125,000円のD/Aコンバーターであるメリディアンの218。
ここでも218は三分の一である。

MCD350に218を接続するということに、
疑問をもつ人がいても、だから不思議ではない。

ULTRA DACを聴いて、ベタボレしている私であっても、そう思ってしまう。
価格だけで製品のグレードが決ってしまうわけではないというものの、
やはり占める割合は大きい。

結果はどうだったのか。
昨晩のことについて書き始めると長くなりそうだから、
ここで結果だけを書いておく。

昨晩のaudio wednesdayは楽しかった。
つまりMCD350に218を追加することは、価値がある、という私の判断だし、
218が加わることで、MQA再生という機能が加わることになる。

Date: 5月 1st, 2019
Cate: audio wednesday

第100回audio wednesdayのお知らせ(メリディアン 218を聴く)

今日(5月1日)のaudio wednesdayは、
メリディアンの218を聴く、がテーマである。

218は少し前に出た新製品である。
昨年9月のaudio wednesdayでメリディアンのULTRA DACを聴いて以来、
audio wednesdayで新製品を聴けることが、私自身、とても楽しみになってきている。

新製品を聴ける場所といえばオーディオ店、それからオーディオショウの会場がある。
オーディオショウでも新製品、
しかも登場したばかりの新製品が鳴っている。

鳴っているけれど、それを聴いた、とは言い難い面もある。
だからなのか、新製品をことさら聴いたという感じを、なかなか持てない。
持てないことが続く、というか、それが当り前のようになっているから、
新製品を聴くどきどき、わくわくという感情が伴わない。

一言でいえば、それほど楽しくない。
しばらく、そういう楽しい気持をあまり持てずにいた。

それがここに来て大きく変った。
メリディアンの製品ということだけで、新製品を聴く楽しみが、私のなかに戻ってきたわけではない。
もちろん、それもあるが、
自分の手で新製品を鳴らせる、というのが、私にとっていちばん大きなところなのだろう。

新製品とは未知の製品であり、未知の音である。
なのに聴く前からわかってます的な顔をする人がいないわけではない。
そんな顔(気持)で聴いても、
目の前にあるのは確かに新製品であっても、
そんな人には、どのようなモノをもってこようと新製品になりっこない。

未知の製品、未知の音に接する楽しさを、
数時間後にたっぷりと楽しめる。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時からです。

Date: 4月 30th, 2019
Cate: 使いこなし

続・何度でもくりかえす

二ヵ月ほど前に「何度でもくりかえす」を書いた。
そこで、瀬川先生の「My Angle いい音とは何か?」からの、
使いこなしに関する大事なことを引用した。

そのうえで、どうも伝わりにくい(理解され難い)ようでもあるから、
これからも何度でもくりかえそうと考えている、とも書いた。

そして二ヵ月が経って、
やっぱり伝わっていなかった(理解されていなかった)と感じている。

本人は伝わった、理解した、というだろうが、
私からみれば、何ひとつ伝わっていない(理解していない)としか思えない。

本人は頭では理解しているつもりなのだろう。
けれど、やってしまう。
なぜだろうか。

結局、無為に耐えられないのではないのか。
無為に耐えられないから、ついつい手を出してしまう。

ケーブルを変えてみたり、置き台を工夫してみたり、あれこれやってみる。
しかも屋上屋を重ねる的なことをやらかす。

無為に耐えられないからやらかす。

無為に耐えられないのがオーディオマニアなのかもしれないし、
無為に耐えられるようになってこそオーディオマニアだと断言できる。

Date: 4月 29th, 2019
Cate: 3D Printing

PSoC

いま書店に並んでいるトランジスタ技術 5月号で、
PSoC(ピーソック、Programmable System-on-Chip)の存在を知った。

各社のD/Aコンバーターに搭載されることが増えてきているFPGAも、
便利なモノが登場してきたな、と思っていたけれど、
PSoCは、私にとってFPGA以上の驚きである。

回路シミュレーターのSpiceが登場し、
家庭用のパソコンでも使えるようになってきたころ、
シミュレーションした回路をそのまま実際の回路としてプリントアウトできたらどんなに便利だろう、
と夢みたいなことを考えたことがある。

たとえばOPアンプ。
一般的なOPアンプのICのサイズに治まる規模の回路であれば、
未使用のフィルムのようなICがあり、
なんらかの機械を使って、シミュレーションした回路をそこに生成する。

そんなことは無理だと思ったし、
登場することはないものだと決めつけていた。

けれどいつの間にかPSoCが登場していた。
私が夢見ていた(妄想していた)レベルのモノにはいたっていない。
それでもそこへの一歩が踏み出されている、といえる。

トランジスタ技術でも、電子ブロックという表現を使っているが、
PSoCの内部にある電子ブロックを、外部からプログラミングで接ぎかえていくことで、
電子回路を構成する。
それゆえ制約も多いようだ。

とはいえ、これから進歩していくはずである。
私が夢見ていたモノに近い、もしくはさらに上をいくようなモノが登場してきてもおかしくない。

Date: 4月 29th, 2019
Cate: 会うこと・話すこと

会って話すと云うこと(その22)

その20)で、ヘッドフォン祭が開催される中野は、
その後が楽しいところである、と書いた。

今回も、いつもの三人で中野をぶらついていた。
食事を終えて、もう一軒、ということになった。

ヘッドフォン祭の前に少し中野をぶらついていた。
その時、ある店が、というより、JBLのバイラジアルホーンが目に入ってきた。
店の入口に、大きなホーンが一本だけ飾ってある。

これで、普通の、なんてことない店なわけがない。
それで、そこに行くことになった。
ミュージックイン(Music-IInn)という店である。

入る前から気になっていたのは、
どんなスピーカーを鳴らしているか、である。
バイラジアルホーンを飾っているくらいだから、JBLのホーン型のはずだ、と期待しつつも、
まったく違うスピーカーの場合だって考えられる。

入れば、すぐにスピーカーがある。
JBLの4430だった。
表のホーンは、4430と確かにつながっている。
どちらもバイラジアルホーンである。

ここで紹介しているからといって、
ものすごい音を期待されていくと、がっかりされるかもしれない。
アンプはアキュフェーズだ、そうだ。

これみよがしの音ではないし、
際立った特徴のある音でもない。
けれど、私たち三人は、流れてくる音楽を聴きながら、まったりしていた。

店内には、店主の好きなモノが、あちこちに飾られている。
トイレもそうである。
洗練されたおしゃれな店ではない。

昭和生れの三人は、この空間でまったりしていた。
他に客はいなかったおかげもある。
かかっている音楽も、店主の好きな音楽なんだろう、と感じる。

どこも無理していない、そんな雰囲気だからまったりできたのかもしれない。

こんな店があるから、確かに中野はいいなぁ、とまた思っていた。