Date: 3月 12th, 2012
Cate: iPod

「ラジカセのデザイン!」(余談)

この2年ほど、ときどき妄想しているのが、ブックシェルフ型スピーカーシステムをどう使うか、だ。
いまではブックシェルフ型といっても、
スタンドの上に設置して、スピーカーの後の壁、横の壁からも十分離して、というように、
ブックシェルフ(本棚)という言葉本来の意味からは外れてしまった大きさと重量になっている。

これが悪いわけではないし、スピーカーシステムの能力をできるだけ発揮するには、
いくら小型で軽量で本棚に収まるモノでも、そうしないほうが音質的には好ましいことが圧倒的に多い。
むしろ本棚に設置することで、音が好ましくなることは滅多にないことなのかもしれない。

それでも本棚にブックシェルフ型スピーカーシステムを押し込んで、
プレーヤー(アナログ、CDの両方)、アンプ、できればチューナーやカセットデッキも本棚に収納したい、
そういう使い方をしてみたい、と強く思うようになってきている。

そのためにはまずしっかりした造りの本棚がいる。
材質にそれほどこだわることもないとは思うが、
とにかくしっかりしたものであってほしい。
そこに本なりLPを収め、スピーカーやアンプなどもうまくレイアウトしていく。
だから本棚のサイズもそれなりに大きいものであってほしいし、
そういう本棚がすんなり収まる部屋もいるわけだ。

スピーカーシステムはそれほど重いモノはダメ。
どんなに重くても30kgを切っていないときついだろう。20kg前後であってほしい。
サイズも奥行は30cmを超えるものは本棚からはみだしてしまうだろうから、奥に長いものは困る。
といって小型スピーカーシステムにしたいとは不思議だが、思わない。
いわゆるブックシェルフ型と呼ばれるサイズのモノであってほしい。
それから、これが重要なことなのだが、横置きでもうまく鳴ってくれるスピーカーであってほしい。

アンプは、これも本棚に収めたいのでアンプのまわりにそれほど余裕のある空間を確保できるはずもないから、
発熱の大きいアンプでは困る。
ここでは本棚がいわばラックであり、ひとつのラックにアナログプレーヤーからスピーカーまで収めるのだから、
アナログプレーヤーはハウリングに強いものでなければ困る。それにあまり大きいものではやはり困る。

これらの条件に合致して、さらに自分で使いたいと思うモノとなると、
過去の製品を含めてもそう多くはない。

もうひとつのブログ、the Review (in the past)の入力作業をやっていると、
ときどき、このスピーカーシステムなら、とか、このプリメインアンプならいけそう、だとか、
プレーヤーはやっぱりこれしかない、などと声にこそ出さないが、そんなことを思っている。

こんなことを思わせる感覚も、もしかするとラジカセから来ているのかもしれない。

Date: 3月 11th, 2012
Cate: ジャーナリズム

1年経ち……

今日で1年が経った。
1日前の昨日、ステレオサウンドの春号が書店に並んでいる。
まだ読んでいない。ステレオサウンドのサイトで公開されている記事のタイトルを見ただけである。

ステレオサウンドはオーディオの本である。
オーディオは趣味のことだから、趣味の雑誌であるステレオサウンドに、
1年が経ったことは関係ないということなのだろうか。
記事のタイトルを見て、予測していたこととはいえ、どうしてもそうおもってしまう。

そういうステレオサウンドの編集方針を、否定はしない。
いまのステレオサウンドの編集方針は、そうなのだから。

だがステレオサウンドは、敗戦後の焼け野原にたたずんだ男の心の裡で鳴ったベートーヴェンが、
大事な根っこになって誕生したものである。

世の中は変化する。
ステレオサウンドも変化する、ステレオサウンドを取り囲む状況も変化している、──その編集方針も変化する。
その変化の中で、ステレオサウンドは大事な根っこのひとつを喪くしてしまった。

Date: 3月 11th, 2012
Cate: SME
1 msg

SME Series Vのこと(その2)

1980年にSMEの3012-Rは登場した。
この年のステレオサウンドの春号(58号)に、瀬川先生による3012-Rの記事が載っていた。
読み終ったとき、よりも、読んでいるときから、このトーンアームを買わなければならない、
この3012-Rがなければ求めている音の世界を築けない、とつよく強く思い込んでいた。
(58号は1981年の発売だが、57号で3012-Rの登場は紹介されている。)

だから、かなり無理して3012-Rを購入した。

今年は2012年、3012-Rが登場して31年経ったこの春に、
やはりSMEから3012-Rと同じロングアームのSeries V-12が出てきた──、
昨夜の時点では、Series V-12は新製品だと思っていたけれど、
このブログを読んでくださっている方からのメールによると、
イギリスではSeries V-12は2009年ごろに発売されていた、ということだった。
個人で輸入されてつかっている方のブログも教えていただいた。

ようするにハーマンインターナショナルが紹介していなかった、輸入していなかっただけのことだった。
Series V-12は3012-Rの登場から29年ということになる。
Series V-12の登場が2010年だったら、3012-Rからちょうど30年ということになるのに……、
そうだったら、SMEは30年の節目を狙って、3012-Rと同じロングアームのSeries V-12を出してきたことになり、
妄想好きの私にとっては、それだけで十分である。
しかしちょうど30年ではない。

けれどSMEの歴史を遡ってみると、3012のオリジナルの登場は1959年。
Series V-12は50年目の、3012シリーズとは異るロングアームの登場ということになる。
3012 の改良版3012IIは1961年、その20年後の1981年には3012-Rのゴールド・ヴァージョンを出している。

何か意味があるのか、と探る、というよりも、
そこに自分なりの理由を探しているだけにすぎないのだが、
ここで妄想は次はどうなるんだろうか、に行く。

Series Vはその型番とアームの実効長からわかるように3009シリーズにあたる。
3009シリーズには、3009が3012のショートタイプだったことから脱皮したかのようなSeries IIIがある。
このSeries IIIの軸受け周りの構造はSeries Vへと継がっていると見ることが出来る。
Series Vはいきなり登場してきたトーンアームではない。
Series IIIがなかったら、Series Vの登場はもう少し遅くなっていたかもしれない。

2015年は、Series V登場から30年目になる。
50年という節目ほどではないが、30年もひとつの節目であろう。
SMEの歴史からいってSeries Vの50年後はないかもしれない。
あったとしても私はもう生きていないかもしれない。
2015年には、なにか新しいかたちの、Series V以上のトーンアームが登場してくるかもしれない。
2017年は3009 Series IIIから40年になる。
2017年にも2015年同様、私にとって妄想をかきたてる年になる。

おそらく出てこないだろうが、
その出てこないであろうトーンアームについて妄想していくのは、
虚しい、あほくさい、と思われる人もおられるだろうが、いくつになっても楽しい行為である、私にとっては。

Date: 3月 11th, 2012
Cate: SME

SME Series Vのこと(その1)

ひとつ前の、マークレビンソン40周年記念モデルのことを見ようと、
さきほどハーマンインターナショナルのサイトにアクセスして、驚いたのが、
「SERIES V12発表」の文字だった。

3月9日のところに「SERIES V12発表」とだけある。
ブランド名は書いてないけれど、すぐにSMEのことだというのは、ほとんどの人がすぐにわかること。
SERIES Vの末尾に「12」がついている、ということはもしかするとSERIES Vのロングヴァージョンなのか、
ほんとうに2012年の今、SERIE Vのロングヴァージョンが出るのか、と思いつつ、
SERIES V12発表」のところをクリックすると、Series Vの写真の右下に小さな写真があり、
そこをクリックすると、パイプ長がロングヴァージョンのSeries V-12が表れる。

Series Vを聴いた時のことは、いまでもはっきりと思い出せる。
聴いた場所は、もちろんステレオサウンドの試聴室。1985年のことだ。
トーンアームで音が大きく変ることは体験からも知っていた。
けれど、Series Vの音は、予想をはるかに超えたレベルの音だった。
アナログディスクから、こういう音が、まだ抽き出せるのか、という驚きと喜びがあった。

当時のSeries Vの価格は40万円。
トーンアームに40万円というと、非常に高いように感じられるだろうが、
Series Vの音を聴いてしまうと、そうは思えなくなる。
(現在は70万円しているが、いままたSeries Vの音を聴いてしまうと、高いとは思わないはず。)

Series Vの音を聴きながら、欲深い私は、
Series Vのロングヴァージョンがもしも登場したら、その音は、いま聴いている音をさらに上廻るであろう、
Series VI(勝手に型番をつけていた)は、いつか出るのか、出るとしたらいったいつになるのか、
そんなことも考えていて、つい長島先生に「ロングアームのSeries Vは……」と言ってしまったことを思い出す。

もう出ないものと思っていた。あれから27年を経て、まさかの登場である。
Series V-12、すぐにでも聴きたい!!

Mark Levinsonというブランドの特異性(40周年のこと)

マークレビンソンが設立されたのは1972年。
ただし、まだLNP2は世の中に顕れていない。
LNP2の前身となるLNP1の登場が1973年。
このLNP1のパネル高を約半分に抑え、コントロールアンプとして手直しが為されたものがLNP2である。

このときのLNP2に搭載されていたのはバウエン製モジュール、
翌74年からマークレビンソン自社製のモジュールへと変更され、
日本ではバウエン製モジュールLNP2をサンプル輸入したシュリロ貿易から、
輸入元がRFエンタープライゼスに変り、本格的な日本での発売が開始になった。

だから日本ではマークレビンソンの登場は1974年ともいえるわけではあっても、
やはり今年はマークレビンソン創立40周年。
マークレビンソンからは40周年記念モデルが発表されている。

こういう40周年記念モデルについては何も語らないけれど、
40周年記念ということで、ひとつ、もしかすると、と期待していたことがあった。
LNP2の復活、もしくはモジュールの新規開発である。

LNP2は最後の生産されたものでも約30年が経過している。
モジュールの内部は固められていて修理は難しい。
故障していなくても劣化は生じる。
代替モジュールがあるのは知っているけれど、心情的にはやはりマークレビンソンから出して欲しい。
昔のモジュールそのままでは使用パーツが現在では入手出来ないものもあるだろうし、
いま40年前のアンプ・モジュールを復刻することに、
マークレビンソンという会社のポリシーとしては抵抗があるはず。

ならばこそ新規にLNP2用のモジュールを開発・製造してほしい、と思う。
モジュールを最新設計のものにしたからといって、LNP2が最新のコントロールアンプになるわけではないけれど、
それでもLNP2という特異なコントロールアンプを、現代に甦らせたい気持がある。

Date: 3月 9th, 2012
Cate: ナロウレンジ

ナロウレンジ考(その8)

周波数特性を拡げていくことは、単純に考えれば情報量が増していくことになるわけだが、
情報量が増していくことによって、本来ならば音楽の微妙な表情や、その変化をより明瞭に鳴らし分けてくれる──、
そのはずにもかかわらず、いま市販されているスピーカーシステムの中には、
しかもそれらのいくつかは世評の高いスピーカーシステムも含まれているにもかかわらず、
例えば比較的新しい録音の、ソプラノ歌手を数人聴かされた時、
誰が歌っているのか、まったく判別がつかなくなるモノがある。

耳馴染んでいる歌手の歌を聴いても、誰なのかがわからない。
わからないだけだったらまだいいのだが、ときには違いすら判然としなくなる。
誇張していえば、似たような声に聞こえてしまうスピーカーシステムがある。

そういうスピーカーシステムは、いわゆるワイドレンジ型で音場型とも呼ばれているスピーカーだったりする。
しかも高価だったりする。

私がそういうスピーカーシステムでソプラノ歌手が誰だかわからなくなってしまうのは、
私の方に原因があるともいえるだろうし、スピーカーシステム側に何か問題点があるともいえるだろうし、
私とそういったスピーカーシステムとの相性が決定的に悪い、ともいえるだろう。

この歳になって、いくつものスピーカーシステムを聴いてきたうえでいえば、
はっきりと誰が歌っているのか容易に聴き分けられるスピーカーシステムが存在しているわけだから、
スピーカーシステム側に問題点がある、はずだ。

それにしても、なぜこういうことになってしまうのか。
高域の周波数レスポンスをよくしていけば、ソプラノ歌手の声の再現性は良くなる、
良くなれば、それだけ声の聴き分けは容易になる。
言葉を変えれば、ソプラノ歌手一人一人の特徴をより精確に描き出してくれるはずなのに、
そういうスピーカーシステムとそうではないスピーカーシステムに分れてしまう。

しかも不思議なことに(というよりも面白いことに)、
良く出来たフルレンジスピーカーを鳴らした時のほうが、
実のところ、ソプラノ歌手の声の聴き分けは容易かったりする。

いうまでもなく周波数特性はフルレンジの方が狭い(高域はあまり伸びていないナロウレンジだ)。

Date: 3月 8th, 2012
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(その81)

マランツのふたつのコントロールアンプ、Model 1とModel 7はモノーラルとステレオという違いだけでなく、
回路自体も異る面をいくつか持つ。

Model 1もModel 7もECC83を片チャンネルあたり3本使っている点は同じだが、
まずフォノイコライザー回路はModel 1は2段構成のNF型で、
つまり1本のECC83でフォノイコライザーは構成されているわけだ。
その後に1段増幅、CR型トーンコントロール、1段増幅、ラウドネスコンペンセーターときて、
1段増幅、ボリュウム(モノーラルだが2連タイプでフォノイコライザーのすぐ後にも入っている)、
最終段のみがカソードフォロアーとなっている。

ECC83(12AX7)は双三極管なので1本に2ユニットはいっていて、
それぞれのユニットをA、Bとすると、
Model 1ではモノーラルということもあり、信号はV1A、V1B、V2A、V2B、V3A、V3Bの順でいく。
カソードフォロアーはV3Bのみである。

Model 7になるとまずフォノイコライザーが2段増幅+カソードフォロアーという、3段構成になっている。
いわゆる3段K-K帰還型である。
トーンコントロールもModel 1のCR型からNF型へとなり、
この部分がラインアンプにあたり最終段はやはりカソードフォロアーである。
Model 1では1箇所だけだったカソードフォロアーがModel 7では2箇所になっているわけだ。
そして、いうまでもなくModel 7はステレオということもあって、信号の流れはModel 1のような順番通りではない。

Model 7では左チャンネルがCHANNEL A、右チャンネルがCHANNEL Bと表記されている。
左チャンネルの信号の流れを回路図で追っていくと、
V2A、V2B、V3A、V5A、V5B、V6Aとなっている。
右チャンネルはV1A、V1B、V3B、V4A、V4B、V6Bである。

まず気がつくのはV3とV6は内部の2ユニットをそれぞれ左右チャンネルに振り分けていることであり、
このV3とV6の2本のECC83がカソードフォロアーに使われている。

Date: 3月 7th, 2012
Cate: 音楽の理解

音楽の理解(その1)

音楽がわかった、とか、音楽を理解した、などとよく言われるけれど、
音楽は聴いて感じるものであって、わかるとか理解するというものでは本来ないはず、
という意見に同意できるものの、
反面、やはりわかった、理解できた、と感じられる瞬間が、
音楽を聴いているときに不意に訪れる、というか、襲われることがある、と確かにいえる。

音楽を理解する、とは一体どういうことを指しているのか、
それはどういうものなのか、ずっと頭から離れることはなかった。
もう30年以上、そうだった。

最近、やっと語れそうな気がしている。
ただ、その「理解」とは、
実のところ、そこから音楽の聴き方が始まるスタート点だと気がついた、といえるのかもしれない。

Date: 3月 6th, 2012
Cate: iPod

「ラジカセのデザイン!」(その7)

モジュールユニットを鳴らすパワーアンプは、いまではIC化されたものから選べる。
出力はそれほど必要ないといえばたしかにそうなのだが余裕があれば、それにこしたことはない。
ただ出力を増すことは発熱と電源の余裕も要求されることではあるけれど、
いまではDクラスのパワーアンプもいくつも出ている。
これならば発熱の心配は、まったく(といっていいだろう)する必要はない。
それに電源もスイッチング方式ということになれば、1970年代のラジカセにくらべてスペースの余裕は出てくる。

DクラスのアンプならばICEPowerモジュールにしたい、などとあれこれ思い巡らせるのは楽しくて飽きない。

こんなふうにやりたいことを思っていると、
スピーカーは小口径のフルレンジだけで十分と言っておきながら、
頭のどこかでは、もしトゥイーターをつけ加えるならレンジの拡大が目的ではなくて、
ある種の音の広がりを求めて、角度をつけて取りつけるという手もあるかな、と考えたりする。

こんなことを昨夜の(その6)を書いた後の入浴中に思っていた。
そしてトゥイーターのことを考えていたところで、
このままラジカセに求めていることをグンとスケールアップしたら、
それはデッカのデコラに行き着くことに気がついた。

あくまでもこれは私の中で完結する話であるのだが、
デコラが頭に突然浮んだときに、ラジカセに求めているのは、
だからこそモジュールユニットを使いたい、とも思ったのは、
デコラをうんと小さくしたモノであり、デコラに感じている良さの要素に通じていくものが欲しかったから、
そのことに、こうやって書いていくことで気づいた、というよりも気づかされた。

そしてデコラを、なぜあれほどいいと感じるのか、その理由のひとつにも気づかされたことになる。

Date: 3月 6th, 2012
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(その80)

往年の真空管アンプ・メーカーとしてマランツとマッキントッシュがある。
マランツの管球式コントロールアンプは2機種、モノーラル時代のModel 1とステレオ時代のModel 7。
マッキントッシュはAE2、C104、C108、C4/C4P、C8/C8P/C8S、ここまでがモノーラル機で、
C20、C11、C22、これらがステレオ機。
マッキントッシュはパワーアンプの機種数もマランツより多いけれど、コントロールアンプの数もまた多い。

これらのコントロールアンプのヒーター用の電源回路の回路図を比較していこう。
マランツのModel 1とModel 7は基本的に同じ考えによって作られている。
Model 1はモノーラルでModel 7はステレオ仕様で、真空管の数とそのユニットの振分けによって、
少し異る点もあるが、3本のECC83をひとまとめにした上でヒーター回路を形成している。

マッキントッシュはというと、
モノーラル時代の機種はすべてのヒーターを並列接続している(C4以降は直流点火になっている)。
真空管はマランツと同じECC83(12AX7)を使っている。
ステレオ時代になると、C20はモノーラル時代と同じように並列接続(ただしモノーラル機とは少し違う)だが、
C11とC22ではマランツと同じように3本のECC83をひとまとめにする方式へと変更している。
これはマッキントッシュがマランツに倣ったのだろうか。

マランツのヒーターについて、もう少しだけ書いておこう。
Model 1はモノーラルだからECC83を3本使っている。
3本のECC83をフォノ入力からV1、V2、V3と回路図では表記されている。
Model 1のヒーターはV1のヒーターの両端にそれぞれV2、V3のヒーターを接続し、
V1のヒーターのセンターを設置している。
V2、V3のヒーターの片方は接続され、ここにヒーター電圧がかけられている。
V1、V2、V3のヒーターは三角形を描く形になっている(回路図上では三角形にはなっていないけれど)。

Model 7も同じである。
だだしModel 7はステレオ仕様で、双三極管であるECC83のユニットの振分けが必要となるところが、
モノーラルのModel 1とは大きく異る点で、そのことがヒーター回路のステレオ機としての工夫となっている。

Date: 3月 5th, 2012
Cate: iPod

「ラジカセのデザイン!」(その6)

結局所、私がラジカセに無意識のうちに求めているのは、親密感もしくは親密感ある聴き方なのかもしれない。
中学・高校時代に親に聞こえないように深夜ラジオを、
音量を絞ってひとり聞くような、そんな感じに通じるものと言えるのかもしれないが、
実のところ、学生時代、深夜ラジオを聞いたことは一度もない。

なのに、なぜ、そういうものを求めているのか、われながら不思議でならないのだが、
とにかくラジカセには、親密感ある聴き方ができるモノであってほしい。
デザインもいいモノであってほしい。

デザインといえば、まずB&Oが候補となる。
B&Oのラジオが、ナロウレンジなのだが実に品のいい音を聴かせていたことはずっと以前に、
そういう話を何度か聞いている。
瀬川先生もサンスイのショールームで鳴らされたことがあった、とも聞いている。
残念ながら、そのB&Oのラジオは写真でしか見たことがない。
それでもなんとなく、その音は想像がつく。
私が求めているものに近い印象を勝手に抱いている。
となるとB&Oのラジカセということになるのだが、B&Oにもラジカセは存在していた。
1980年代の終りごろにB&0のラジカセが登場した。
価格は10万円を超えていたぐらいだったと記憶している。
でも実物を見て最初に思ったのは、意外に大きい、だった。
見た感じで、半分くらいに感じられる大きさであってほしかった、と思っていた。

私の聴き方には大きなラジカセは要らない。
スピーカーユニットは10cm口径か大きくても16cm口径まででいい。
20cm口径のフルレンジがつくとなると、全体としてかなり大きなラジカセになってしまうからだし、
音量的にもそれほど大きなものを求めているわけではない。

親密な聴き方にぴったりの音量と品の良さ、音量を絞ったときの明瞭度の高さを、まず求めたい。
たとえばジョーダン・ワッツのモジュール・ユニットを使ったラジカセがあったらいいな、といまも思う。
それにトーンコントロールが欲しくなる。できれば低・高音の2バンドではなく中音域も加えた3バンド。
もしくはQUADの44のようなコントロール機能もいい。

Date: 3月 5th, 2012
Cate: audio wednesday

第14回 audio sharing 例会の変更と第16回・例会のお知らせ

昨夜、3月7日のaudio sharing例会のテーマは「岩崎千明氏について語る」と書きましたが、
「岩崎千明氏について語る」は5月2日(水曜日)に行う第16回の例会のテーマとします。

変更の理由は、facebookに書いています。
4月末に第16回 audio sharing 例会の詳細は書きます。
テーマは変更しますが、明後日(7日)、夜7時から四谷三丁目の喫茶茶会記で第14の例会は行います。

Date: 3月 4th, 2012
Cate: 十牛図

十牛図とマーラー

十牛図についての川崎先生の話を聴き終ったあと、
東京への新幹線の中で思いついたことが、マーラーは十牛図のことを知っていたのかどうか、だった。
マーラーによる交響曲は9曲に「大地の歌」を加えると、10曲になる。
強引にこじつけることができるような気もするけれど、かなり無理のあることだとも思っている。

それでも、マーラーは十牛図を知っていたのか──、
このことが頭から離れないままになっている。

Date: 3月 4th, 2012
Cate: iPod

「ラジカセのデザイン!」(その5)

もうこれから先、オーディオマニアを満足させるカセットデッキは開発されることはない、といえよう。
だからカセットテープの録音・再生を追求しようとすれば、過去の製品を整備して使うことになるはず。
となると、ナカミチの1000ZXLは多くのマニアが憧れるカセットデッキということになるのだが、
やはり私には大きすぎる筐体と、
あの数がカセットテープの性能をできるかぎり引き出す上で必要なものといわれても、ツマミの数が私には多すぎる。
ナカミチのデッキならば、1000番よりも700番のほうにより魅力を感じるし、
それもレイモンド・ローウィのデザインだと知れば、ますます700の方がいいんじゃないか、と思っても、
そう思うところで止ってしまい、欲しいところまでにはいかない。
結局、700のデザインは日本人の手によるものとわかり、なんとなく納得していた。

1000ZXLを見ていると、
日本のラジカセがあれだけ大きなものになってしまったこととどこかでつながっているような気もしてくる。

カセットテープをよりよい音で聴くためには、ウーヘルのCR210ではやや力不足だから、
そうなるとスチューダーが一時期出していたモノということになる。
型番も正確な価格もすでに忘れてしまっているが、40万から50万円ほどしていただろうか。

もしスチューダーのカセットデッキがあったとする。
音楽を収録したカセットテープならば、スチューダーのカセットデッキで再生し、
つねに鳴らしているシステムで聴くことになるだろう。

でも私が、いまカセットで聴きたいのは「音楽談義」であり、
「音楽談義」に収められているのは、いくつかSPからの復刻があるとはいえ、
メインは小林秀雄氏と五味康祐氏との音楽談義であるから、それをいつものシステムで聴きたいかというと、
必ずしもそうではない気持があることに気づく。

ほかの人はどうかは知らないけれど、
私は、人の声(歌ではなく話)を聴くとき、スピーカーとの距離が近い方がいい。
録音に細心の注意がはらわれていい音で収録された対談モノをきちんと再生すれば、
より生々しいのはわかっているけれど、
そういう生々しさに気を取られることなく話に意識を集中したいと思うためなのか、
それともステレオサウンドでテープ起しをするとき常にヘッドフォンで聴いていたことか影響しているのか、
離れてても数10cmぐらいのところで聴きたいと思ってしまう。
だから「音楽談義」のためのラジカセ探しをずっとしているわけである。

Date: 3月 4th, 2012
Cate: audio wednesday

第14回 audio sharing 例会のお知らせ

今月のaudio sharing例会は、7日(水曜日)です。

3月24日が岩崎先生の命日であり、今年で没後35年。
なので今回のテーマは「岩崎千明」です。

時間はこれまでと同じ、夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目の喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。