SME Series Vのこと(その2)
1980年にSMEの3012-Rは登場した。
この年のステレオサウンドの春号(58号)に、瀬川先生による3012-Rの記事が載っていた。
読み終ったとき、よりも、読んでいるときから、このトーンアームを買わなければならない、
この3012-Rがなければ求めている音の世界を築けない、とつよく強く思い込んでいた。
(58号は1981年の発売だが、57号で3012-Rの登場は紹介されている。)
だから、かなり無理して3012-Rを購入した。
今年は2012年、3012-Rが登場して31年経ったこの春に、
やはりSMEから3012-Rと同じロングアームのSeries V-12が出てきた──、
昨夜の時点では、Series V-12は新製品だと思っていたけれど、
このブログを読んでくださっている方からのメールによると、
イギリスではSeries V-12は2009年ごろに発売されていた、ということだった。
個人で輸入されてつかっている方のブログも教えていただいた。
ようするにハーマンインターナショナルが紹介していなかった、輸入していなかっただけのことだった。
Series V-12は3012-Rの登場から29年ということになる。
Series V-12の登場が2010年だったら、3012-Rからちょうど30年ということになるのに……、
そうだったら、SMEは30年の節目を狙って、3012-Rと同じロングアームのSeries V-12を出してきたことになり、
妄想好きの私にとっては、それだけで十分である。
しかしちょうど30年ではない。
けれどSMEの歴史を遡ってみると、3012のオリジナルの登場は1959年。
Series V-12は50年目の、3012シリーズとは異るロングアームの登場ということになる。
3012 の改良版3012IIは1961年、その20年後の1981年には3012-Rのゴールド・ヴァージョンを出している。
何か意味があるのか、と探る、というよりも、
そこに自分なりの理由を探しているだけにすぎないのだが、
ここで妄想は次はどうなるんだろうか、に行く。
Series Vはその型番とアームの実効長からわかるように3009シリーズにあたる。
3009シリーズには、3009が3012のショートタイプだったことから脱皮したかのようなSeries IIIがある。
このSeries IIIの軸受け周りの構造はSeries Vへと継がっていると見ることが出来る。
Series Vはいきなり登場してきたトーンアームではない。
Series IIIがなかったら、Series Vの登場はもう少し遅くなっていたかもしれない。
2015年は、Series V登場から30年目になる。
50年という節目ほどではないが、30年もひとつの節目であろう。
SMEの歴史からいってSeries Vの50年後はないかもしれない。
あったとしても私はもう生きていないかもしれない。
2015年には、なにか新しいかたちの、Series V以上のトーンアームが登場してくるかもしれない。
2017年は3009 Series IIIから40年になる。
2017年にも2015年同様、私にとって妄想をかきたてる年になる。
おそらく出てこないだろうが、
その出てこないであろうトーンアームについて妄想していくのは、
虚しい、あほくさい、と思われる人もおられるだろうが、いくつになっても楽しい行為である、私にとっては。
REPLY))
初めまして。時々拝見しております。
seriesVはⅢを基本にして高剛性化したものといえますね。
設計の特徴は上下回転軸が通常のアームより低い位置にあることで、おそらくレコード盤面と一致させようとしています。この設計はオーディオテクニカのAT1010を端緒として、seriesVがこの考えを取り入れたことにより、その後、多くの海外高性能アームが採用しました。オーディオテクニカはこの設計をDTSと呼んでいました。
ところが良く考えてみると、DTSは実際の動作が通常のアームとあまり変わらないばかりでなく、DTSが目的とした動作の正反対の動作を助長する設計といえます。
seriesⅢが登場したとき、どんな解説があったかわかりません(古いステレオサウンドを引っ張り出したら書いてあるかも)が、現在、SMEやハーマンのWebを見てもDTSについて書かれてないようです。外観を特徴づける仕組みなんですけどね。
新しい形のアームが今後でてはこないでしょうが、出るとすればDTSから脱却する機会になると思うのですが。