店で買うと云うこと(その7)
ながいことオーディオをやっているのに、行きつけのオーディオ店がないことを、どう捉えるかは人それぞれだろうが、
いまの時代、オーディオ店を介さなくてもオーディオ機器を購入できるわけで、
そうなると、なぜオーディオ店に行くのか、となる。
もちろん第一の目的はオーディオ機器の購入だし、そのための試聴をするため。
人によっては、オーディオ店の店員から使いこなしのノウハウを学ぶためとか、オーディオの仲間と知り合うためも、目的となったりする。
さらに人によっては、ウワサの仕入れどころとなるのがオーディオ店だったりする。
ステレオサウンドで働いていたからも、辞めてからずいぶん経つけれど、「あのウワサはほんとうなんですか」的なことをきかれたりする。
ウワサ話が好きなんだな、と思うだけならいいのだが、そうやって聞かされるウワサ話は、たいていがかなり歪められている。
どこでどう歪められるのか。ウワサ話とは、そういうものと割り切っていても、ちょっとひどすぎる歪められ方だ。
「あなたはオーディオマニアでしょ、こんな歪んだことを信じるのか」と言いたくなることもある。
ウワサ話の収集に熱心な人も見ている。二十代、三十代のころは、そういった業界のウラ話的なことに詳しくなることで、一人前として認められる──、そんなふうに思っていたのかもしれない。
そんなことに精通したところで、どうなるというのか。自身の音を良くしていくことになんら関係ないどころか、そういうことにとらわれることで、「音は人なり」なのだから自身の音を汚くしていくだけになるかもしれない。
世代に関係なくウワサ話が好きな人、熱心な人を見ていると、菅野先生が言われたことを思い出す。
「オーディオ界を悪くしているのは、オーディオ店だ」と。
そんなひどいオーディオ店ばかりではないのはわかった上での菅野先生のことばだし、それをきいている私もわかった上でのことではあるが、
菅野先生はステレオサウンドのベストオーディオファイルで全国のオーディオ店に行かれている。それがあってということを忘れてはならない。