My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その10)
スチューダーのC37はすごい、どんなオープンリールデッキなのだろか、と、その写真をすぐにでも見たかったけれど、当時はインターネットという便利なものはなかったし、ステレオサウンド 55号まで待つしかなかった。
55号のスーパーマニアは、それまでとは違い、五味先生の追悼記事でもあった。五味先生のリスニングルーム、そして愛用のオーディオ機器。そこにC37が、当然のことながらあった。
大きいだろうことは、なんとなく想像していた。同じスチューダーの現行モデルのA80のことは写真とスペックは知っていたから、管球式のC37はA80のようにスマートにまとめられてはいないだろう、ぐらいの想像はしていた。
その想像よりも大きかった。武骨な感じすら受けた。これがC37なのか。EMTでいえば927Dstだな、とも感じていた。
C37の音は聴いたことがない。それでもC37で録音されたものは、知らず知らずのうちに聴いている。そのくらい、C37が現行機種だったころは、多くの録音スタジオで使われていた。
一度は、C37で録音したテープをC37で再生した音は聴いてみたい。そんな機会はもうやってこないだろうが、C37の存在の大きさは、20代のころの私にとって、アナログディスク再生への非常に大きな刺戟となっていった。