試聴ディスクの変遷とオーディオ雑誌 (その2)
オーディオ雑誌の誌面に登場した試聴ディスクを網羅した記事は、
私の知るかぎりないけれど、ステレオサウンド 50号では、
それに近い感じの記事をやっている。
50号は、創刊50号記念特集が組まれている。
50号の記事の掲載順は、
まず五味先生の「続・五味オーディオ巡礼」がある。
これは、もう不動の位置であり、
創刊50号記念特集がどういう内容であれ、順番が変ることはない。
このあとから50号記念特集が続く。
巻頭特別座談会「オーディオの世界をふりかえる」が、まずある。
井上卓也、岡俊雄、菅野沖彦、瀬川冬樹、山中敬三、五氏の座談会があって、
岡先生と黒田先生の『「ステレオサウンド」誌に登場したクラシック名盤を語る』だ。
そして、岡先生の「オーディオ一世紀──昨日・今日・明日」、
「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」、
長島先生の「2016年オーディオの旅」と続く。
41号から読み始めた私にとって、
当時は、記事の、この順番を特に不思議とは思わなかったが、
少なくとも平成以降のステレオサウンドしか読んでいない人にとっては、
『「ステレオサウンド」誌に登場したクラシック名盤を語る』が、
前の方にあることを意外に思うのかもしれない。
この記事(対談)は、当時読んだときよりも、
数年後、さらには十年後、二十年後に読み返した方が楽しめた。
50号(1979年)当時は、それほど多くのクラシックのレコードを聴いていたわけではない。
というよりも、聴いたクラシックのレコード数は少なかった。
ある程度の知識はもっていたけれど、それでも微々たるものだったし、
岡先生、黒田先生の対談を読むのは、まず勉強という意識でもあった。