現代真空管アンプ考(その28)
現代真空管アンプをどうイメージしていくか。
こまかな回路構成について後述するつもりなのだが、NFBをどうするのか。
私は出力管が三極管ならばかけないという手もあると考えるが、
ビーム管、五極管ともなるとNFBをかけることを前提とする。
NFBはほとんどの場合、出力トランスの二次側巻線から初段の真空管へとかけられる。
信号経路とNFB経路とで、ひとつのループができる。
このループのサイズを、いかに小さく(狭く)していくかは、
NFBを安定にかける以上に、
真空管アンプ全盛時代とは比較にならないほどアンプを囲む環境の悪化の点でも、
非常に重要になってくる。
プッシュプルアンプならば、初段、位相反転回路、出力段、出力トランス、
これらをどう配置するかによって、ループの大きさは決ってくる。
信号経路をできるだけストレートにする。
初段、位相反転回路、出力段、出力トランスを直線状に並べる。
こうするとNFBループは長く(大きく)なってしまう。
初段、位相反転回路、出力段、出力トランス、
これらを弧を描くように配置していくのが、ループのサイズを考慮するうえでは不可欠だ。
QUAD IIのこれらのレイアウトを、写真などで確認してほしい。
しかもQUAD IIは、出力トランスと電源トランスを、シャーシーの両端に配置している。
やや細長いシャーシー上にこういう配置にすることで、
重量がどちらかに偏ることがない。
出力トランスと電源トランスの干渉を抑えるうえでも、
この二つの物理的な距離をとるのは望ましい。