菅野沖彦氏のこと(その2)
同じころだったか、
菅野先生のさみしそうな表情を見ている。
みんな、いなくなった……、
そんなことをいわれての表情だった。
みんなとは、まさしくみんなである。
オーディオの仲間でありライバルでもあった人たち、
同世代の人たち、
1977年に岩崎先生が、1981年に瀬川先生が……、
そうやって菅野先生のまわりから、みんながいなくなった。
若い人たちがぼくの話をきいてくれるのは嬉しい、といわれていたけれど、
みんないなくなってしまったさみしさは、どうにかなるものではない。
最後まで生きていた者があじわうさみしさは、
菅野先生にあった(とおもっている)。