サイズ考(その26)
1980年ごろ、日本に一時期輸入されたブランドに、ワトソン・オーディオがある。
クレルを創立する前に、ダニエル・ダゴスティーノが在籍していたことや、
ガス入りのコンデンサー型スピーカー、XG8を開発したカナダのデイトンライトのグループ企業である。
XG8は、ガスを入れることでコンデンサー型スピーカーの弱点である耐入力を改善するとともに、
フルレンジの8枚のパネルを上下に4枚ずつ配置。それぞれに角度を持たせることで、
たしか斜め方向への指向性を強くしていたように記憶している。
ステレオ再生に求められる指向性を研究しての結果らしい。
残念ながら、実物を見たこともないので、どんなふうに音場感が展開するのかは不明。
コントロールアンプのSPSも、奥に長いシャーシで、リアパネルのラッチを外すと、
シャーシ全体が二分割されるという、メインテナンスに配慮した構造を持っていた。
それから、この時代にめずらしい、本格的なヘッドフォンアンプも製品化していたはずだ。
そういう、他社の製品とは、どこか一味違う製品をつくっていた会社のもうひとつのブランド、
短命で終ったものの、ユニークなスピーカーだった。
小型スピーカーではなく、コンパクトスピーカーと呼べる、はじめての製品かもしれない。