Date: 11月 5th, 2008
Cate: サイズ, 傅信幸
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サイズ考(その27)

ワトソン・オーディオのModel 10の外形寸法は、横幅60×高さ120×奥行き55cmである。

全体の構成は、横幅60×高さ40×奥行き55cmほどのエンクロージュアの上に、薄い衝立が立っている。
5ウェイで、ウーファー(20cm口径を2発)をエンクロージュアにおさめ、
上の帯域のユニットは、衝立に取りつけられている。
ダルキストのDQ10に、このへんのつくりは似ている。
ウーファー部分だけ、サブウーファー単体として発売されていた。

>Model 10の公称周波数特性は、17〜25000Hz(±5dB)である。
ウーファー部分を、単体のサブウーファーとして発売するのも頷けるレンジの広さである。
しかもさほど大きいサイズでもない。
板厚が不明なので内容積は正確にはわからないが、70リットル前後か。
ブックシェルフ型スピーカー程度の大きさだ。

このウーファー・エンクロージュアには、ヘリウムガスを封入されていた。
ヘリウムガスの音速は、通常期空気のおよそ1/3程度だ。
つまり内容積は、縦・横・奥行きがすべて3倍になるため、3の3乗で27倍に相当する、
というのがワトソン・オーディオの説明であり、特許を取得していたはずだ。

70リットルとして、27倍となると、1890リットル。
壁にユニットを取りつけて、隣室をエンクロージュア代わりに使うようなものだ。

残念ながら、このスピーカーも実物を見たこともない。

けれど、ステレオサウンドにいたころ、傅 信幸さんの試聴中に、なにかのきっかけで、
このスピーカーの話になったときに、
「あのスピーカーの、低音はすごかった、新品の時はね。」

やはりヘリウムガスが、どうしても抜けてくる。
エンクロージュア内部にはビニールを使うなどして、もちろん工夫してあったのだが、
完全な密閉構造は、たやすくない。

ヘリウムガスが抜けてしまった後の音は、
「ふつうの、あのサイズのスピーカーの低音」だそうだ。

とはいえ、このスピーカーの指向しているものは、いまでも興味深い。

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