真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その14)
(その13)へのfacebookへのコメントには、
個人的な経験からの結論として、
タンノイの10インチの同軸型ユニットの場合、
12インチ、15インチとは異なり、EL34の方が相性が良いような気がする、とあった。
なるほど、そうかもしれない。
そうだとしたら、EL34のプッシュプルとなると、
パワーアンプの回路は、デッカのデコラのそれをそのままコピーするという手がある。
そのことは(その4)に、ちょっとだけ書いている。
デコラのEL34のプッシュプルの回路については、
「真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その1)」で触れているように、
出力段の結線が違うだけで、
ウェストレックス・ロンドンの2192Fと同じである。
伊藤先生が、
サウンドボーイ(1981年8月号〜10月号)に発表されたアンプの範となっているアンプが2192Fである。
デコラのEL34プッシュプルは三極管接続で、
2192FはUL接続である。
どちらをとるかは悩ましいところであるけれど、
個人的に多極管の三極管接続は好きではない。
技術的に、とか、性能的に、とか、そういった理由からではなく、
なんとなく好きではない(嫌いとはいえない)からだ。
これも以前書いていることなのだが、多極管を三極管接続しても、
その多極管の内部構造に変化が生じるわけではない。
三極管と多極管の音の違いは電気的性能の違いもあるけれど、
電極の構造に起因しているところも大きいと考えているだけに、
多極管は多極管として扱うのが潔いと思っている。
それでいてもデコラの音を聴いて憧れをもつ男にとっては、
EL34の三極管接続のプッシュプルの音というのも、一度は聴いてみたい。