Archive for 4月, 2020

Date: 4月 12th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、否定する人のこと(その2)

MQAには、いくつかの特長がある。
その一つが、ファイルサイズが小さい、ということである。

MQAを否定する人のなかには、ファイルサイズが小さいことは、
メリットでもなんでもない、と主張する人がいる。

インターネットは高速化されていくし、5Gも始まっている。
そういう時代にあって、ファイルサイズの小ささは……、ということである。

こんなことをいっていた人は、いまどう思っているのだろうか。
いま明らかにインターネットの速度は遅くなっている。

私のところでも、先月までといまとでは十分の一から二十分の一ぐらいにまで速度が低下している。
新型コロナのせいで、多くの人が自宅にいてインターネットに接続しているからであろう。

国によっては、YouTubeやNetflixの画質を、意図的に落している、というニュースもあったぐらいだ。
インターネットのインフラは整備されているし、
高速化されているとしても、すべての人が制限なしに使ったら、速度の低下を招くことになる。

そんなのは一時的なことであって、コロナ禍がおさまれば元に戻る、
結局、MQAのファイルサイズの小さいことによるメリットは、その程度である──、
MQAを否定する人はそういいそうだが、ほんとうにそうだろうか。

Date: 4月 11th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その9)

ジョニ・ミッチェルの「BLUE」のような例は他にもある。
クイーンがそうだ。

クイーンの「Greatest Hits」
私がもっているクイーンはこれだけである。

e-onkyoからダウンロードした。
96kHz、24ビットのMQAである。

MQA-CDも出ている。
こちらは持っていないが、確か88.2kHzのはずだ。

MQA-CDは、CDのサンプリング周波数の44.1kHzの整数倍になっている。
容量の関係で、192kHzを176.4kHzにコンバートしているわけではない。

ユニバーサルミュージックから出ているMQA-CDは、
多くが352.8kHzであることからもわかる。

e-onkyoから購入できるクイーンのアルバムは、96kHzであり、
アナログマスターからのリマスタリングも96kHzで行われている。

となると、クイーンに関しても、
ジョニ・ミッチェルの「BLUE」のように、
同条件で比較試聴すれば、96kHzのほうがいいということになろう。

こんなことを書いていると、MQA-CDの存在意義は? と疑問に思われる人もいよう。
ここがややこしいというか、ごちゃまぜというか、
必ずしもMQA-CDのほうがサンプリング周波数が低いわけではない。

フルトヴェングラーのバイロイトの「第九」。
e-onkyoでダウンロードできるのは、96kHz、24ビットである。
MQA-CDは、176.4kHzである。

ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーのチェロ協奏曲だともっと顕著で、
e-onkyoでは、44.1kHzである。

Date: 4月 11th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その8)

ジョニ・ミッチェルの「BLUE」
MQA-CDで出ている。

176.4kHzの24ビットである。
この「BLUE」は、マスターテープ(アナログ)を192kHz、24ビットに変換したものを、
さらに176.4kHzにコンバートしている。

e-onkyoにも、ジョニ・ミッチェルの「BLUE」はある。
こちらは192kHzである。

ということは、176.4kHzのMQA-CDの「BLUE」をリッピングして、
同条件で比較試聴すれば、おそらくe-onkyoの192kHzの方が音がいいはずだ。

「BLUE」は買っている。
e-onkyoのは、まだ買っていない。

買うことになりそうだ。

Date: 4月 11th, 2020
Cate: 五味康祐

続・無題(その12)

「西方の音」と「天の聲」。
これまでは、そのままの意味で受け止めていた。

けれど、ここにきて、
五味先生は、「西方の音」へと向っての旅をされていたように感じてきた。
そして「天の聲」へと向っての旅である。

Date: 4月 11th, 2020
Cate: ディスク/ブック

THE DREAMING(青春の一枚・その2)

人と会って話すのも好きだけれど、
人と会わずに独りきりでいるのも、また好きであるから、
誰とも会わず誰とも話さずに一日を過ごしていても、まったく苦にならない。

時間だけはあるから、ケイト・ブッシュを、ずっと聴いていた。
MQAで聴いていた。

すべてiPhoneに入れてある。
メリディアンの218に接いで、
一枚目の“THE KICK INSIDE”から順に聴いていた。

高校生のころ、FMから流れてきたケイト・ブッシュの“THE KICK INSIDE”に、
背筋に、文字通り電気が走ったような衝撃は、もうない。
もう四十年経っているのだから。

二枚目、三枚目と続けて聴いていく。
四枚目の“THE DREAMING”を聴く。

やっぱり、“THE DREAMING”は私にとって青春の一枚だ、と実感する。

“THE DREAMING”を、最初に聴いた時は、困惑した。
どう受け止めていいのか、わからなかった。
それでも何度も聴いた。

とまどいは減っていく。
少しずつ見えてきた(聴こえてきた)ように感じ始めた。

そういう“THE DREAMING”だから、“THE KICK INSIDE”とは第一印象からして違う。
違うからこそ、いま「青春の一枚」と感じているのかもしれない。

Date: 4月 11th, 2020
Cate: ショウ雑感

2020年ショウ雑感(その9)

その8)は、3月23日に書いている。
状況は悪くなっている。
もっと悪くなりそうな気さえする。

そうなると、6月のOTOTENの開催が心配になってくる。
今年は中止という可能性は強まってきている、といえる。

そうなると秋のインターナショナルオーディオショウも、どうなるのかわからなくなる。
新型コロナが、あと一ヵ月程度で収束に向っていったとしても、
その余波はしばらく残っていくだろうし、来年のいまごろは、
ふたたびコロナ禍にみまわれているかもしれない。

インフルエンザのように、
今年のウイルスは○○A型とか、○○B型とかいってそうな気もしなくはない。

とにかくオーディオ業界に与える影響は、小さくないとは誰もが思っていることだろう。
影響とは悪いことだけをいいたいのではない。

いい影響も悪い影響も、どちらもあることだろう。
私がいい影響として、一つ期待しているのは、
非常に高額なオーディオ機器が減ってくれる(無くなってくれる)ことである。

のど元過ぎれば熱さ忘れるではないが、収束してしまったとたんに、
ころっとすべて忘れてしまう人もいるけれど、そうでない人もまたいる。

オーディオに対する考え、取り組みも、
がらっと変るのではなく、静かに変っていくのではないのか。

Date: 4月 10th, 2020
Cate: 選択

オーディオ機器を選ぶということ(購入後という視点・その14)

「てばなす」ということ──、
瀬川先生の場合はどうだったのか、とどうしても考えてしまう。

瀬川先生もいくつかのオーディオ機器をてばなされている。
EMTの927Dst、930st、
マランツのModel 7、JBLのSG520などである。

そのへんの事情もきいて知っている。
手放されたのか、手離されたのか。

でも、ここで考えたいのは、それらのオーディオ機器のことではない。
グッドマンのAXIOM 80のことである。

AXIOM 80を、瀬川先生は手放されていない。
きくところによると八本、ずっと所有されていた。
しかもそのうちの四本(と記憶している)は、初期の木箱入りのAXIOM 80である。

瀬川先生は、AXIOM 80をいつの日か鳴らしたい、と思われていたのか。
ステレオサウンド 創刊号に、
《そして現在、わたしのAXIOM80はもとの段ボール箱にしまい込まれ、しばらく陽の目をみていない。けれどこのスピーカーこそわたしが最も惚れた、いや、いまでも惚れ続けたスピーカーのひとつである。いま身辺に余裕ができたら、もう一度、エンクロージュアとアンプにモノーラル時代の体験を生かして、再びあの頃の音を再現したいと考えてもいる》
と書かれていた。

おそらく、それはずっと変らぬままだったはずだ。

だから、考える。
瀬川先生にとって、AXIOM 80は物理的に手放されていたわけではない。
けれど、その音は手離されてきたのか……、と。

Date: 4月 10th, 2020
Cate: ディスク/ブック

Walls

バーブラ・ストライサンドの「Walls」。
2018年12月に出ている。

発売から数ヵ月してから買った。
この一年、何度か聴いてきている。
audio wednesdayでもかけている。

今日、ひさしぶりに聴いた。
初めて聴いた時よりも、
audio wednesdayでかけた時よりも、
ずっとずっと美しくきこえてきた。

他に表現の語意を持たないのかといわれようと、
美しいものは、美しいとしかいいようがない。

タイトル曲の「Walls」は、四曲目である。
三曲目は「Imagine / What a Wonderful World」である。

続けて聴くからこそ、さらに美しく感じる。

Date: 4月 10th, 2020
Cate: 「オーディオ」考

「音は人なり」を、いまいちど考える(その19)

「音は人なり」の容赦なさに耐えられなければならない──、
私はそう思っている。

容赦なさに耐える、ということは、じっとがまんすることではない。
しっかりと自己分析する、ということである。

Date: 4月 10th, 2020
Cate: ディスク/ブック

CALLAS IN CONCERT THE HOLOGRAM TOUR(その4)

5月16日、17日に行われる予定だった“CALLAS IN CONCERT THE HOLOGRAM TOUR”。
中止もしくは延期になりそうだなと危惧していたら、中止が正式に発表になった。

延期ではなく中止である。
マリア・カラスのホログラムが歌うところをみたかったが、
おそらく日本では行われないのだろう。

コンサートは死んでいくのか。

Date: 4月 9th, 2020
Cate: High Resolution,

MQAで聴けるエリザベート・シュヴァルツコップ(その2)

MQAで配信されたのが、2019年10月。
今日まで、そうたびたび聴いてきたわけではなかった。
大事な愛聴盤なのだから、むしろそういうものだろう。

MQAで聴くシュヴァルツコップの、
Strauss: Seven Songs – Mozart: Concert Arias”の一曲目、
モーツァルトの“Ch’io mi scordi di te?… Non temer, amato bene, K. 505”は、
美しい、というほかない。

シュヴァルツコップのK.505にであったときのことは、
1997年のサウンドステージに書いている。
純粋性ということを、シュヴァルツコップのK.505を聴いた後では考えてしまう。

私にとって、そういう存在だからなのか、MQAで聴いて満足しながらも、
もっともっと美しく鳴るはずだ、というおもいがつきまとう。

いわば欲だ。
美しい、といっておきながら、
純粋性などといっておきながら、
もっともっと、と求める欲があるわけだ。

ほんとうにシュヴァルツコップによるK.505の美しさを理解しているのか──、
そんなことも頭に浮かぶ。

ルンダールの絶縁トランスLL1658で200Vに昇圧してのメリディアンの218で聴いた。
求めていた音は、これだ! とそう素直におもえる音で鳴ってくれたからこそ、
こんなことを考えてしまう。

Date: 4月 8th, 2020
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(ケンウッド TS990・その3)

アマチュア無線の世界に踏み入ろうとする手前で興味を失ってしまった私は、
アマチュア無線機のその後について、まったく知らない。

アマチュア無線機の世界において、ケンウッドがどういうポジションにいるのかすら知らない。

(その1)にコメントがfacebookであった。
F1のマクラーレンのチームは、ケンウッドの無線システムをずっと使っている、とのこと。
その記事へのリンクもあった。

ケンウッドの無線の技術は本物といっていいのだろう。
TS990は、暗にそう語っているようにも見える。

TS990は、オーディオ機器でいえば、
ヤマハのコントロールアンプ CI、もしくはテクニクスのコントロールアンプ SU-A2、
相当するように、まず感じた。

無線機だから、チューナーを思い浮べるよりも、
この二つのコントロールアンプのことが浮んだ。

オーディオのケンウッド・ブランドを代表するといえるチューナーのL02Tでもなく、
チューナーの最高峰といわれていたセクエラのModel 1、
マランツの Model 10Bでもなく、
ヤマハのCIとテクニクスのSU-A2であり、どちらかといえばSU-A2的である。

ST990の機能のすべてを理解しているわけではない。
アマチュア無線機にまったくうとい私には、
なぜ、これだけのファンクションが必要なのかもわかっていない。

それでも、それらが飾りではないことは察しがつく。
TS990は堂々としている。

ケンウッド・ブランドは健在だと主張している。
L01A、L01T、L02A、L02Tにわくわくしていたころを思い出すだけでなく、
TS990をつくれる会社なのだから、という期待もわいてくる。

Date: 4月 8th, 2020
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(ケンウッド TS990・その2)

トリオというブランドは、オーディオに興味をもつ前から知っていた。
オーディオの前、アマチュア無線を趣味としようとしていた時期が、
ほんのいわずかだがあった。中学二年のころだった。

アマチュア無線の試験も受けるつもりで、問題集を買って勉強していた。
勉強しながら、
合格したら、どの無線機にしようか、と、
アマチュア無線関係の雑誌のページをめくりながら、あれこれ考えるのは楽しかった。

トリオの無線機は、そうやっていいなぁ、と思っていた候補機種のブランドの一つだった。

結局、アマチュア無線の試験を受ける前に、
五味オーディオ教室とであってしまった私は、オーディオに急速にのめり込んでいった。
アマチュア無線への興味は、そこですっぱりとなくなってしまった。

あのままだったら、どうなっていたのか。
オーディオを知らなければ、アマチュア無線の試験を受けて合格して、
トリオの無線機を買っていただろう。

あのころは、見知らぬ人と対話できることに未知の世界の魅力を感じてもいたが、
私の性格からして、長続きはしなかったようにも、いまは思う。

それでもアマチュア無線機は、カッコいいモノだ。
ケンウッドのTS990のウェブページを見つけて、驚いた。
こんなふうに進化していたのか、と。

TS990は、760,000円(税抜き)だ。
安くはない、というか、かなり高価だ。
それでもパネルフェイスを見て、もう少し高価かな、とも思ったくらいだから、
TS990の内容を知るにつれて、これだけのモノにしては、むしろ安いのではないか──、
そうも思えてきた。

TS990は、私のなかにあるケンウッド・ブランドのイメージそのものといえるモノだ。

Date: 4月 7th, 2020
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(ケンウッド TS990・その1)

オーディオ御三家、といっても、もう通用しないだろうが、
ずっと以前、サンスイ、パイオニア、トリオはそう呼ばれていた。

トリオはいまではケンウッドとなっている。
ケンウッドは、最初のころは、海外向けのブランドだった。
日本ではトリオ・ブランドだった。

そのケンウッド・ブランドを、高級機ブランドとして使い始めた。
プリメインアンプのL01Aが、国内向けケンウッド・ブランド最初のモデルだった。
チューナーのL01Tもあった。

続いてL02A、L02Tも登場した。
このころが、オーディオのケンウッド・ブランドのピークだった。

ケンウッド・ブランドのオーディオ機器はその後も続いたけれど、
L02A、L02Tのような製品ではなかった。
わくわくするような製品ではなくなってしまった。
わくわくが期待できるブランドはなくなってしまった。

いまもケンウッドはオーディオを続けているが、
根っからのオーディオマニアを満足させるようなモノではない。

もうこれからも期待できない──、
さっきまでそう思っていた。

三時間ほど、いろんなリンク先をクリックしていた。
そんなことをやって見つけたのが、ケンウッドのTS990だった。

TS990というオーディオ機器は存在しない。
TS990はアマチュア無線用のトランシーバーである。

Date: 4月 7th, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴ける松田聖子

松田聖子のディスクは、一枚も持っていないことは、
以前別項でも書いている。

私が高校生のころ、松田聖子はデビューしているから、
同級生に松田聖子のファンはいた。
ステレオサウンドからは松田聖子のSACDが出ていて、好評らしい。

それでも、松田聖子のディスクは一枚も持っていないだけでなく、
自分のシステムで、一度も松田聖子をかけたこともなかった。

松田聖子がソニー・ミュージックからユニバーサルミュージックに遺跡したことぐらいは知っていた。
そして「SEIKO JAZZ」が出た時は、ちょっと聴いてみたい、とも思った。
でもそのまま聴かずにいた。

つい先日、e-onkyoで「SWEET MEMORIES[甘い記憶]」が出た。

アルバムではなく、「SWEET MEMORIES[甘い記憶]」一曲だけである。
ユニバーサルミュージックからだから、MQAでも出ている。48kHz、24ビットである。

ちょっと聴いてみたい、と思った。
それに一曲(550円まで)、無料でダウンロードできるクーポンもあった。
となれば、ためらうことはない。

私にとって、はじめての松田聖子である。

松田聖子のMQAは、「SEIKO JAZZ」が96kHz、24ビット、
SEIKO JAZZ 2」が48kHz、24ビットで出ている。

「SEIKO JAZZ」も買ってみようかな、と、
MQAでの「SWEET MEMORIES[甘い記憶]」を聴いて思い始めている。