丁寧な使いこなし(続「つもり」)
どうして、気をつけていた「つもり」になってしまったのか。
理由ははっきりしている。
歳をとったことを考慮していなかったからだ。
もう少し若かったら……、同じ状況でも体調を崩すことはなかった。
若かったら……、と書いているが、20、30代のことをいっているのではない。
そんなに若い必要はない。
たかだか五年ほど、つまり50をこえる前くらいだったら、
こんなことで、というくらいだった。
それがいまでは、簡単に体調を崩し、
気をつけていた「つもり」になってしまった。
わずか数年とはいえ、これははっきりと老化なんだ、と受け入れるしかない。
急に来た変化(老化)ではない、徐々に変化していったのに、気にかけなかった。
若い、とよくいわれる。
けれどここ数年、白髪は増えてきたし、なによりも体が硬くなってきているのは自覚している。
以前はなんともなかった左膝が、天候不順になると痛むことがあるのは、
28年前の骨折の後遺症なのだろう。
そんな身体の変化を感じていたのに、自分の身体を過信していたわけだ。
数年前なら、この程度、大丈夫だった、という記憶がなまじあるから、
それが気をつけていた「つもり」にしてしまった。
私の身体だけが変化していったわけではない。
すべてが、そうやって徐々に変化していっている。
そのことを無視していては、丁寧な使いこなしは、「つもり」で終ってしまう。