Archive for 3月, 2018

Date: 3月 11th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その6)

こういうアヤシイ感じのするアクセサリーは、けっこう気になる。
とはいえ気軽に買って試してみよう、という価格ではなかった。

BYBEEが気になっている人はけっこういたようで、
しばらくしたら、ある掲示板にBYBEEのX線写真が公開された。

そこには無誘導巻線がなされた何かが写っていた。
どうみても無誘導巻線である。
けれど、それ以上のことはわからなかった。

それから数年が経ち、昨年秋、
そういえばと思い出して、BYBEEで検索してみた。

今回はBYBEEをバラしている写真が見つかった。
中に入っていたのは、無誘導巻線抵抗だった。

DALEのそれではなく、アメリカの別のメーカーの無誘導巻線抵抗を、
何かで幾重にも包んであるつくりである。

量子ノイズが、いったいどういうものなのかも、
私にはよくわからないし、量子ノイズについて、
BYBEEを通すことでどれだけ取り除けるのかという実測データも、
いまのところ公開されていないようである。

BYBEEの中身が無誘導巻線抵抗だからといって、それだけがBYBEEの正体というわけでないだろう。
なんらかのノウハウがあるのだろう、と思いつつ、
BYBEEの中核となるのは無誘導巻線抵抗だ、という捉え方もできないわけではない。

そう思ってしまうのは、セメント抵抗からDALEの抵抗にかえた時の音の違いを知っているからである。
たしかになんらかのノイズが取り除かれている印象のする音の変化である。

なんらかのノイズが、BYBEEがいうところの量子ノイズなのかどうかはわからないが、
なんらかのノイズが減ることによって、
それはあたかも東京の水道水からカルキ臭が取り除かれたのと同じように、
微妙なニュアンスをしっかりと再現してくれる──、
そんな仮説(のようなもの)を考えるようになった。

Date: 3月 11th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その5)

エミッター抵抗をセメント抵抗からDALEの無誘導巻線抵抗にかえた音は、
料理における水の違いにも似ている。

いまでこそ東京の水道水はまともになっているが、
以前はかなりカルキ臭い水だった。

昔の東京の水道水のようなカルキ臭い水を料理に使うと、
水をそのまま飲んだ時よりも、水の味の違いははっきりと出ることがある。

同じ素材を使っても、同じに作っても、
水が不味ければ(カルキ臭い水であれば)、
どんなに丁寧につくったとしても、味の微妙さは、水の不味さによってマスキングされてしまう。

セメント抵抗は、私にとって、まさにカルキ臭い、昔の東京の水道水そのものである。
微妙なニュアンスが、すべて(といって少し大袈裟であるのはわかっているが)損われる。
そう聴こえる。
繊細な味わいはなくなってしまう。

DALEの無誘導巻線抵抗だと、そうは感じない。
だからといって、DALEの無誘導巻線抵抗が理想の抵抗とまでは思っていない。
もっと優れた抵抗が世の中にはあるかもしれないし、将来登場してくるかもしれないが、
少なくとも入手に特別な苦労を必要とせずに、良質な抵抗となると、
いまのところDALEの無誘導巻線抵抗は、私にこれにまさるものは、いまのところない。

そのDALEの無誘導巻線抵抗について、最近ひとつの仮説のようなことを考えている。
十年にならないとはずだが、八年くらい前にBYBEEというアクセサリーが、
アメリカに話題になっていた。

芋虫上の黒い物体を、信号ライン、電源ラインに直列に挿入することで、
量子ノイズを取り除いてくれる、というシロモノだった。

Date: 3月 11th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その4)

二ヵ月ちょっと鳴らしていたGFA535と、
鳴らしていなかったGFA535(改)とでは、
いくらエミッター抵抗をDALEに交換したとはいえ、
接続をかえた直後の音は、冴えない。

いわゆるスカスカの音である。
それも当然である。
長期間、まったく鳴らされていなかった(電源を入れられてなかった)のだから。

それでも、私の耳には、いくつかの変化が感じられた。
まず太い音が出てくるようになった、
それから、いじっていないGFA535では気づかなかった細部の音が聴きとれる。

このふたつの変化で、今回の抵抗の交換はうまくいったと感じていた。
それは、私が何度か交換の経験があって、その変化を聴いているからであって、
その経験がない人からすれば、二台のGFA535を聴いて、
どちらがいいかとなると、それまで鳴らしていた、いじっていない方となろう。

私だって、エミッター抵抗の交換の経験がなければ、
それにまったく何も知らされずに、二台のGFA535を聴かされて、
どちらを選ぶかときかれれば、いじっていない方を選ぶであろう。

そのくらいGFA535(改)の最初の音はスカスカだった。
けれど電源を入れて30分ほど鳴らしていたら、あきらかに音が変った瞬間があった。
もうこれで大丈夫だ、と判断できた。

いま鳴っている音は、それほどではなくとも、
このまま鳴らしていれば、早ければ24時間後、
遅くとも数日後には、いじっていないGFA535の音よりも、はっきりと良くなるという確信があった。

事実、翌日の夜、昨日の音よりもとてもよくなった、という連絡があった。
歌や楽器の細かいニュアンスがはっきりと聴きとれる、ということだった。

Date: 3月 11th, 2018
Cate: きく

音を聴くということ(グルジェフの言葉・その3)

昭和30年代生れの私には、手塚治虫とともに、石森章太郎の存在もまた大きい。
石ノ森と書くべきなのはわかっているが、
仮面ライダー、キカイダー、サイボーグ009などを読んだ時は、まだ石森だった。
だから、ここでは石森章太郎としておく。

キカイダーの造形は、当時小学生だった私には、衝撃だった。
左右非対称、しかも内部が透けて見える正義のヒーローは、
異形のヒーローを描く石森章太郎の作品の中でも、ひときわ印象に残っている。

そんな小学生だった私は、キカイダーの似顔絵を何度も描いていた。
キカイダーは人造人間という設定で、
ピノキオの話から、キカイダーの物語は始まる。

キカイダーには良心回路(未完成で不完全)が組み込まれている。
物語の最後で、良心回路は完成するのかと思っていたら、
敵によって服従回路を埋めこまれてしまう。

良心回路と服従回路のふたつをもつことで、
人間と同じく善悪の心をもつことになる。

原作のマンガを読んでいた当時は、あまり深く考えなかったが、
良心回路の対極にあるのは悪心回路ではなく、服従回路である。

なぜ石森章太郎は悪心回路にしなかったのか。
その理由は、どこかで語られているのだろうか。

服従回路は、(その1)で書いているグルジェフの言葉を知った後では、
意味深長とでもいおうか、いまごろになって考えさせられる。

別項「続・再生音とは……(続その12に対して……)」で、
AIとは、artificial intelligenceだけではなく、
auto intelligenceなのかもしれない、と書いたのも、服従回路のことを思い出していたからだ。

Date: 3月 10th, 2018
Cate: audio wednesday

第86回audio wednesdayのこと

3月7日のaudio wednesdayのことを、
喫茶茶会記の福地さんが書かれている。

Pioneer PD-D9の天晴れ

Date: 3月 10th, 2018
Cate: 楽しみ方

聴き方の違い、楽しみ方の違い

3月7日のaudio wednesdayでも、終り近くに松田聖子の「ボン・ボヤージュ」を、
常連のKさんがかけた。

audio wednesdayで、これまで何度聴いたか。
少なくとも、私にとっては、これまでの中で、いちばんうまく鳴ってくれた、と感じた。

松田聖子が口先だけで歌っている印象ではなく、
歌っている松田聖子の表情が伝わってくるような感じでもあったし、
なによりも松田聖子の肉体が感じられるようになった。

それだけに松田聖子の歌の上手さが伝わってきた、とも感じていた。

でもKさんは、この鳴り方は、あまり評価しないだろうな、と思いつつも、
「どうでした?」ときいてみた。
反応は、予想した通りだった。

別項「EMT 930stのこと(ガラード301との比較)」の(その8)、(その9)で書いているが、
Kさんと私の聴き方は違う。

これまでに何度も「ボン・ボヤージュ」を聴いては、その反応をきいているわけだから、
今回の音に関しても、そうだった。

これでいい、と思う。
私もいまより20以上若かったら、
こんなふうに聴きましょうよ、と力説したことだろう。

でも、いまはそんなことをしようとは思わない。
聴き方が違うのだから、オーディオの楽しみ方も違う──、
そう思うし、はたまた逆なのか、
オーディオの楽しみ方が違うから、聴き方も違うのか。

どちらが先ということはないのかもしれない。

それでも同じ場所、同じ時間にいて、毎月第一水曜日に楽しんでいるということは、
それだけの深さと広さが、オーディオの楽しみ方にあるといえる。

Date: 3月 10th, 2018
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生んだもの(その4)

アルテックやJBLでなくとも、故障しないように使う(鳴らせば)、
いいじゃないのか、ということになろうが、
ジャズ喫茶においてのスピーカーの使われ方は、
一般家庭におけるそれとは、鳴らす時間だけでも、大きく違ってくる。

開店時間から閉店時間まで鳴らされる。
閉店時間後も鳴らされていることだってあろう。
開店時間前もそうであろう。

営業時間は店によって違うが、平均して八時間は鳴らされている、であろう。
それが店によっては毎日鳴らされるわけだ。

故障しないように鳴らしていても、それだけの長時間の使用においては、
スピーカーがヘタってくる。
それに音量の違いも加わってくる。

ヘタってきたら、新しいスピーカーに買い換える、という方針のジャズ喫茶ならば、
スピーカーの選択肢は広がるが、
心底気に入ったスピーカーをずっと鳴らしていきたい、という方針のジャズ喫茶もある。

私がタフなスピーカーというのは、そういう意味も含まれている。
故障しにくいだけでなく、ヘタりにくいスピーカーであること。
それからコンディションを、あるレベル以上で維持できるスピーカーであること。

ジャズ喫茶のスピーカーに求められる条件は、音だけではない。
ジャズ喫茶で、アルテック、JBLが選ばれてきたのは、
そういうことも含めてのことだったと、考えることもできる。

どれだけ音がよくても、信頼性に乏しいスピーカーを、
私はジャズ喫茶のスピーカーとしては選ばない。

その日その日、もっといえば数時間単位でコンディションが変化していくような道具は、
金を稼ぐ道具(商売道具)としては適さない。

Date: 3月 10th, 2018
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生んだもの(その3)

岩崎先生に
《スピーカーは15インチ=38センチでなければだめだという認識》を強く植えつけるほどに、
アルテックの音は強烈だったわけだ。

ジャズ喫茶の歴史に詳しいわけではないが、
私がオーディオに興味を持ち始めたころのジャズ喫茶は、
スピーカーといえばJBLかアルテックだった。

スタックスのコンデンサー型スピーカーで聴かせるジャズ喫茶もあったのは知っているが、
アルテックとJBLで、八割以上は占めていたのではないだろうか。

なぜアルテックとJBLなのか。
音だけが理由ではない、と思う。

自分でジャズ喫茶を始めようと考えてみたときに、
スピーカーは何を選ぶか、どういう基準で選ぶか。

音は第一にこよう。
次に来るのは、というと音と同じくらいに大きなウェイトを持ってくるのは、
タフなスピーカーであるということだ。

ジャズ喫茶にとって、スピーカーは商売道具である。
オーディオは音楽を聴くための道具であるけれど、
ジャズ喫茶にとっては、そういう意味での道具であるとともに、商売道具である。

音も大事であるし、タフであること、
つまり故障しにくいことも、大事なことである。

さらに故障しても、すぐに復旧できることも重要である。
先日のaudio wednesdayで、会の途中でドライバーのダイアフラムを交換した。
こういうことが、ジャズ喫茶のスピーカーでは起り得るし、
そういうときにすぐに対処できるという点は、大きなメリットである。

スタックスのコンデンサー型スピーカーで、ダイアフラムがダメになったとして、
同じように店内での交換がすぐさま可能だろうか。

スタックスでなくともいい。
ドーム型のトゥイーター、スコーカーを採用したスピーカーで、
ユニットをトバしてしまったとき、ユニットを交換することになる。
それはそれでいいのだが、そのユニットが単売されていたら、それは可能であっても、
補修パーツとして取り寄せるか、メーカーのサービスステーションに持っていくことになる。

アルテックやJBLはユニットそのものが単売されていて、
交換ダイアフラムも入手が容易であった。

Date: 3月 10th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その3)

今回エミッター抵抗を交換したアンプは、アドコムのGFA535である。
アドコムの製品の中でも、GFA535は普及クラスといえるモノ。

記憶違いでなければ日本では販売されていなかった。
1980年代半ばの製品で、中を見れば、当時の価格を知らなくとも安価なアンプだとわかる。

GFA535のエミッター抵抗の値は0.22Ω。
秋葉原の海神無線で、DALEの無誘導巻線抵抗の3Wのモノを揃える。

音のことでいえば、より容量の大きい5Wの抵抗がいいけれど、
3Wと5Wとではサイズに大きな違いがあって、GFA535に5WのDALEを取り付けるのは、
かなり無理があるし、3Wの抵抗でも少し大きいな、と感じて、
取付後の仕上がりは、お世辞にもスマートとはいえない。

GFA535の出力段は2パラレルだから、
エミッター抵抗は左右チャンネルで八本、購入額は六千円近い。
GFA535の価格を考えれば、それに見合った効果が得られるのか、と思われるかもしれない。

DALEの無誘導巻線抵抗に交換すれば、かなり良くなるという確信にちかいものが私にはあった。

GFA535は、そこに二台あった。
一台は、スピーカーに接がれて音を鳴らしていた。

GFA535のプリント基板には、1986とあった。
30年以上前に製造されたアンプで、二台のGFA535は長期間鳴らされていなかった。

一台は、メインのアンプが故障したため、今年に入ってから鳴らされている。
二ヵ月ちょっと鳴らされているわけだ。

今回交換したのは、もう一台のGFA535である。

Date: 3月 10th, 2018
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生んだもの(その2)

岩崎先生が書かれている。
     *
 ぼくの場合ですと、そのとき好きだった音楽によってスピーカーの変遷があり、その時その時でずいぶん変わっているのです。また、部屋の広さが変わることによって、またまたスピーカーへの期待というか、選び方がすっかり変わってきてしまった。
 そのへんのことをここで書いておきたいと思います。
 昔、洋間というより板の間と言うにふさわしいかなりちゃちな板の間で鳴らしていたわけです。そのときまで、いくつかの国産スピーカーを経て、戦前からある英国系のローラーとか、アメリカのマグナボックスなどを、戦後の国産スピーカー、たとえば、ミラグラフやダイナックスなどにまじって聴いていたのですが、どうも外国製のスピーカーのもっている良さというのが非常に強く印象づけられ、傾倒するきっかけになっていたわけです。その頃はまだラジオ雑誌でも、海外製品を取上げることはまずなくて、単に自分自身の聴いた感じとか、外観のすばらしさだけでもって選んでいました。
 たまたまその時期——学生時代からやっと社会に出たてのときなのですが、たいへんショックを受けたというか、オーディオに強く指向するきっかけになったことがあります。銀座の松屋の裏に「スイング」という喫茶店があり、デキシーランドとニューオルリンズジャズを鳴らしていた。当時はジャズ喫茶そのものがまったくなかったころで、店の客の半分は当時の占領軍の兵隊だったわけです。
 その店を知ったのは、たまたま通りがかりに非常に陽気な音楽が聴こえてきて、ついふらふらと中へ入っていったからです。店内で鳴っている音は当時のぼくにはとうていスピーカーから出ている音には聴こえなかった。奥にバンドがいて演奏しているのではないか、と思ったくらい、生き生きした大きなエネルギーで鳴っていました。紫煙の中に入っていくと、目の前にスピーカーがあった。それは今までに見たこともないスピーカーでした。それが実はあとでわかったのですが、アルテックの603Bというスピーカーで、いまの604Bのジュニア型として出ていたスピーカーです。
 この38センチの、マルチセラーホーンをつけたスピーカーに接したときに、スピーカーのもっている性格というか、再生装置の中においてスピーカーがいかに大事であるかということを、強烈に知らされたわけです。ぼくが大型スピーカーに執着するというのは、このときに植えつけられたもので、それ以来、スピーカーは15インチ=38センチでなければだめだという認識を強くもっています。
(「オーディオの醍醐味はスピーカーにあり」より)
     *
銀座・松屋の裏にあった「スイング」のことは、
オーディオ歴の根底をなす二十六年前のアルテックとの出会い」の冒頭にも書かれている。

そう、このころからすでにジャズ喫茶ではアルテックが鳴らされていた。
この時代のアルテックの603Bの価格を、私は知らないが、
そう簡単に買えるモノではなかったはずだ。

Date: 3月 10th, 2018
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生んだもの(その1)

JBL、アルテックのスピーカーの人気(評価)が、これほど高い国は日本だけ、
いまもいわれているし、昔もいわれていた。

ときどき「なぜですか」ときかれることもある。
理由はひとつではない。
いくつもあって、それらすべての理由によって、
使い手(聴き手)の高い評価になっているというより、
すべての理由のなかから、人によっていくつかが選択され組み合わされての現象なのだろう。

その理由のひとつとして、ここでとりあげたいのは、
日本独自の文化ともいえるジャズ喫茶の存在である。

このあいだSNSで、現在のニューヨークにはジャズ喫茶は一軒もない、という書き込みを見た。
そうだろう、と思う。
あるはずがない、ニューヨークにはジャズ喫茶という存在はもともとないはずなのだから。

少なくともジャズ喫茶、名曲喫茶という存在は、日本で生れてきたもののはずだ。
高度成長前の日本、
レコードの価格が、物価が上昇したにもかかわらず、いまの価格とそう変わらなかった時代があった。

貧しかった時代の日本で、ジャズ喫茶も名曲喫茶も生まれている。
レコードは、おいそれと買えるモノではなかった。
それを再生する装置となると、さらに高価だった時代があったから、
ジャズ喫茶、名曲喫茶という商売が成り立った、ともいえるのだろう。

同じ時代、日本だけでなく、アジア各国も、アメリカ、ヨーロッパからみれば貧しかったはずだ。
けれど韓国、中国といった国に、ジャズ喫茶、名曲喫茶があったとはきかない。

あったのかもしれないが、私にはあったとは思えない。

ジャズ喫茶が誕生した時代を体験しているわけではない。
その世代の人たちも少なくなってきている。

Date: 3月 9th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その2)

国産の、普及クラスのプリメインアンプ。
その終段のエミッター抵抗をDALEに交換させた。

DALEの購入に秋葉原まではつきあったけれど、
いちばん大変な交換作業は友人本人がやった。
パワーアンプの基板を取り出すのが大変だった、と語っていた。

ほんとうに大変な作業だったようだ。
でも、友人は喜んでいた。

こんなに変るのか、驚き喜んでいた。
その音を聴かせてもらった。
私にとっては二度目のDALEへ交換した音だったが、
それでもその変りようには、わかっていても驚いた。

このころからである、セメント抵抗アレルギーといえるものが、
私のなかで生れてきたのは。

世の中には、セメント抵抗も捨てたものじゃない、
使い方次第では、いい音になる、
そんなことをいう人もいるようだが、
私にしてみれば、なんとアホウなことをいっているのか、である。

DALEの巻線抵抗には、無誘導タイプとそうでないタイプとがある。
しつこいようだが、私がすすめるのは無誘導タイプの巻線抵抗である。

セメント抵抗も……、といっている人は、
DALEの無誘導巻線抵抗に交換した音を聴いたことがあるのか、と問いたい。

聴いているのかもしれない。
そのうえで、セメント抵抗も……、といっているのであれば、
よほどひどいシステムで聴いたのか、聴いた本人の耳が……。

実は先日も、あるパワーアンプのエミッター抵抗をDALEの無誘導巻線抵抗に交換してきた。

Date: 3月 9th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その1)

オーディオに興味を持ち始めたばかりのころ、
また電子回路のABCもほとんど知らないのに、
いつかはアンプの自作を、と考えていた中学生のころ。

無線と実験、ラジオ技術に載っている電子パーツ店の広告を眺めていた。
1970年代の後半は、オーディオ用パーツというものが、ぼちぼち登場してきた時期でもある。
パーツ店の広告を見ては、このパーツを使ってアンプを組んだら……、
と、電卓片手に計算したこともある。

そんなことをやっていて、セメント抵抗の値段の安さが気になった。
セメント抵抗は、パワーアンプの終段に使われる。
ほとんどすべてのパワーアンプの終段に使われている、ともいっていいくらいに使用率は高い。

国産のアンプだと、パワーアンプの出力段に使われる抵抗値は0.47Ω、
アメリカのアンプだと0.22Ωが一般的だが、
このくらい低い値の抵抗は、セメント抵抗くらいしか、当時は広告では目にすることがなかった。

セメント抵抗。
何も知らないといっていい、そのころの私は、この名称がなんとなくイヤだった。
それに見た目も、なんとなく雑なつくりだな、と感じていた。

こんな抵抗を使って、いいんだろうか、と疑問に思ったほどである。

この疑問は正しかった。
セメント抵抗は、音の面ではいい結果をもたらさない。
とはいえ、セメント抵抗の代りに何を持ってくるのか。

DALEの無誘導巻線抵抗が入手できるようになるまでは、代りはなかった、ともいえる。
DALEの無誘導巻線抵抗には、パワーアンプの終段に使える値が揃っている。

もう30年ほど前になるか。
あるパワーアンプのエミッター抵抗を、セメント抵抗からDALEの無誘導巻線抵抗にかえた。

ある程度の音の変化があるのは予想できたが、
実際に出てきた音の変化量は、予想を超えていた。

数年後、友人から手持ちのアンプの音をなんとかしたい、と相談された。
買い換えるほどの予算はない。けれど、もっといい音にしたい、という虫のいい話だ。

この時もDALEをすすめた。

Date: 3月 8th, 2018
Cate: 使いこなし

喫茶茶会記のスピーカーのこと(その13)

これでやっと喫茶茶会記のスピーカーのユニットが決った、といえる。
ウーファーはアルテックの416-8C、
ドライバーは806-8A、ホーンは811B、
このアルテックの2ウェイを基本として、スーパートゥイーター的使い方で、
JBLの075が上にのる。

ウーファーとドライバー間のネットワークはコイズミ無線製のモノで、
コイルは鉄芯入りのクロスオーバー周波数800Hzである。

ユニットがこうやって揃うと、これから先のことを考えるのが、
一層楽しくなっている。

ああしてみよう、こうしてみよう、と、以前以上に考えている。

毎月何かをやっていくとはかぎらないが、
これから先やっていこうと考えているのは、
まず811Bをバッフルに取り付けること。

エンクロージュアの横幅いっぱいのバッフルを用意して、
同時にドライバーの置き方も含めてホーン周りをきちんとしておきたい。

それから075の置き方である。
いまは806-8Aの横に置いている。
前後方向は、ある程度つめているが、左右方向はまだそれほど厳密に決めているわけではない。

それに806-8Aの横だと、どんなにエンクロージュアの端ぎりぎりまで寄せても、
075の音は811Bの端が邪魔している。

となると、なんらかの置き台を作って、806-8Aと075をインライン配置にしたい。
ただ見た目は、芳しくなさそう。

ネットワークも、直列型のバイワイヤリング化を試すとともに、
次のステップとして、ウーファー用にベッセル型のローパスフィルターをもってくることで、
ドライバーとウーファーの前後位置の補正にも試してみたいことのひとつだ。

スピーカーケーブルは、現在はカナレの4S6(スターカッド線)だが、
これにこだわっているわけではない。

喫茶茶会記では約8mのケーブルが、引き回し上必要となる。
ネットワークに変更があったとしても、
ユニットへの配線は、それぞれに用意することになるのは変わりないので、
8m×6で、48m必要となる。

三組のスピーカーケーブルを同じケーブルで揃えるか、
それとも帯域ごとに、メーカーも構造も変えていくのか。

考えていること、すべてを今年中にやれるかどうかはなんともいえないが、
12月までの音の変化は、興味深いものになるはずだ。

Date: 3月 8th, 2018
Cate: 使いこなし

喫茶茶会記のスピーカーのこと(その12)

喫茶茶会記のスピーカーのトゥイーターは、
今後JBLの075がつねに標準となる。

これまでは月一回、audio wednesdayでだけ鳴らしていたが、
これからは、鳴らされる時間はぐんと増えていく。

もちろん新品ではないし、馬蹄型の古いタイプの075だから、
けっこうな時間、鳴らされてきたはずだが、現役でずっと鳴らされていくと、
また音の変化は出てくるはずだ。

これでaudio wednesdayのたびに、バッグに入れて持ち運びしていたことから解放される。
075が正式に喫茶茶会記におさまったのは、
オーディオ的にもうれしいし、体力面からもうれしいことである。