ジャズ喫茶が生んだもの(その3)
岩崎先生に
《スピーカーは15インチ=38センチでなければだめだという認識》を強く植えつけるほどに、
アルテックの音は強烈だったわけだ。
ジャズ喫茶の歴史に詳しいわけではないが、
私がオーディオに興味を持ち始めたころのジャズ喫茶は、
スピーカーといえばJBLかアルテックだった。
スタックスのコンデンサー型スピーカーで聴かせるジャズ喫茶もあったのは知っているが、
アルテックとJBLで、八割以上は占めていたのではないだろうか。
なぜアルテックとJBLなのか。
音だけが理由ではない、と思う。
自分でジャズ喫茶を始めようと考えてみたときに、
スピーカーは何を選ぶか、どういう基準で選ぶか。
音は第一にこよう。
次に来るのは、というと音と同じくらいに大きなウェイトを持ってくるのは、
タフなスピーカーであるということだ。
ジャズ喫茶にとって、スピーカーは商売道具である。
オーディオは音楽を聴くための道具であるけれど、
ジャズ喫茶にとっては、そういう意味での道具であるとともに、商売道具である。
音も大事であるし、タフであること、
つまり故障しにくいことも、大事なことである。
さらに故障しても、すぐに復旧できることも重要である。
先日のaudio wednesdayで、会の途中でドライバーのダイアフラムを交換した。
こういうことが、ジャズ喫茶のスピーカーでは起り得るし、
そういうときにすぐに対処できるという点は、大きなメリットである。
スタックスのコンデンサー型スピーカーで、ダイアフラムがダメになったとして、
同じように店内での交換がすぐさま可能だろうか。
スタックスでなくともいい。
ドーム型のトゥイーター、スコーカーを採用したスピーカーで、
ユニットをトバしてしまったとき、ユニットを交換することになる。
それはそれでいいのだが、そのユニットが単売されていたら、それは可能であっても、
補修パーツとして取り寄せるか、メーカーのサービスステーションに持っていくことになる。
アルテックやJBLはユニットそのものが単売されていて、
交換ダイアフラムも入手が容易であった。