ジャズ喫茶が生んだもの(その4)
アルテックやJBLでなくとも、故障しないように使う(鳴らせば)、
いいじゃないのか、ということになろうが、
ジャズ喫茶においてのスピーカーの使われ方は、
一般家庭におけるそれとは、鳴らす時間だけでも、大きく違ってくる。
開店時間から閉店時間まで鳴らされる。
閉店時間後も鳴らされていることだってあろう。
開店時間前もそうであろう。
営業時間は店によって違うが、平均して八時間は鳴らされている、であろう。
それが店によっては毎日鳴らされるわけだ。
故障しないように鳴らしていても、それだけの長時間の使用においては、
スピーカーがヘタってくる。
それに音量の違いも加わってくる。
ヘタってきたら、新しいスピーカーに買い換える、という方針のジャズ喫茶ならば、
スピーカーの選択肢は広がるが、
心底気に入ったスピーカーをずっと鳴らしていきたい、という方針のジャズ喫茶もある。
私がタフなスピーカーというのは、そういう意味も含まれている。
故障しにくいだけでなく、ヘタりにくいスピーカーであること。
それからコンディションを、あるレベル以上で維持できるスピーカーであること。
ジャズ喫茶のスピーカーに求められる条件は、音だけではない。
ジャズ喫茶で、アルテック、JBLが選ばれてきたのは、
そういうことも含めてのことだったと、考えることもできる。
どれだけ音がよくても、信頼性に乏しいスピーカーを、
私はジャズ喫茶のスピーカーとしては選ばない。
その日その日、もっといえば数時間単位でコンディションが変化していくような道具は、
金を稼ぐ道具(商売道具)としては適さない。