音を聴くということ(グルジェフの言葉・その1)
ゲオルギー・グルジェフがいっていた。
人間は眠っている人形のようなものだ、と。
正確な引用ではないが、意味としてはこういうことだ。
人間の通常の意識の状態は睡眠のようなもので、
人間としてのほとんどの活動はすべて機械的なものである、と。
眠っている人形から、目覚めている人間になるには、
それこそ山のような意志力が必要になり用いなければならない、と。
グルジェフは作曲家でもある。
ECMからグルジェフ作曲のCDが出ている。
思想家でもある。舞踏作家でも、神秘主義者ととらえる人もいる。
グルジェフには賛否両論がある。
信じるも信じないも、その人の自由である。
1990年に「ベルゼバブの孫への話」の日本語訳が出た。
ほんとうに分厚い本だった。安くはなかった。
仕事をしていない時期だったから買うのを見合わせた。
買っても読破するのに、そうとうてこずりそうだった。
「ベルゼバブの孫への話」も読んでいない私も、
グルジェフがいうところの、眠っている人形のような存在かもしれない。
だからといっていいのか、音楽を、その意味で聴くことの難しさは感じている。
睡眠から目覚めるために聴いているのか、
目覚めた状態で聴いているのか、
それとも眠った状態で機械的に聴いているだけなのか。