Noise Control/Noise Designという手法(仮説・その1)
オーディオに興味を持ち始めたばかりのころ、
また電子回路のABCもほとんど知らないのに、
いつかはアンプの自作を、と考えていた中学生のころ。
無線と実験、ラジオ技術に載っている電子パーツ店の広告を眺めていた。
1970年代の後半は、オーディオ用パーツというものが、ぼちぼち登場してきた時期でもある。
パーツ店の広告を見ては、このパーツを使ってアンプを組んだら……、
と、電卓片手に計算したこともある。
そんなことをやっていて、セメント抵抗の値段の安さが気になった。
セメント抵抗は、パワーアンプの終段に使われる。
ほとんどすべてのパワーアンプの終段に使われている、ともいっていいくらいに使用率は高い。
国産のアンプだと、パワーアンプの出力段に使われる抵抗値は0.47Ω、
アメリカのアンプだと0.22Ωが一般的だが、
このくらい低い値の抵抗は、セメント抵抗くらいしか、当時は広告では目にすることがなかった。
セメント抵抗。
何も知らないといっていい、そのころの私は、この名称がなんとなくイヤだった。
それに見た目も、なんとなく雑なつくりだな、と感じていた。
こんな抵抗を使って、いいんだろうか、と疑問に思ったほどである。
この疑問は正しかった。
セメント抵抗は、音の面ではいい結果をもたらさない。
とはいえ、セメント抵抗の代りに何を持ってくるのか。
DALEの無誘導巻線抵抗が入手できるようになるまでは、代りはなかった、ともいえる。
DALEの無誘導巻線抵抗には、パワーアンプの終段に使える値が揃っている。
もう30年ほど前になるか。
あるパワーアンプのエミッター抵抗を、セメント抵抗からDALEの無誘導巻線抵抗にかえた。
ある程度の音の変化があるのは予想できたが、
実際に出てきた音の変化量は、予想を超えていた。
数年後、友人から手持ちのアンプの音をなんとかしたい、と相談された。
買い換えるほどの予算はない。けれど、もっといい音にしたい、という虫のいい話だ。
この時もDALEをすすめた。