ジャズ喫茶が生んだもの(その1)
JBL、アルテックのスピーカーの人気(評価)が、これほど高い国は日本だけ、
いまもいわれているし、昔もいわれていた。
ときどき「なぜですか」ときかれることもある。
理由はひとつではない。
いくつもあって、それらすべての理由によって、
使い手(聴き手)の高い評価になっているというより、
すべての理由のなかから、人によっていくつかが選択され組み合わされての現象なのだろう。
その理由のひとつとして、ここでとりあげたいのは、
日本独自の文化ともいえるジャズ喫茶の存在である。
このあいだSNSで、現在のニューヨークにはジャズ喫茶は一軒もない、という書き込みを見た。
そうだろう、と思う。
あるはずがない、ニューヨークにはジャズ喫茶という存在はもともとないはずなのだから。
少なくともジャズ喫茶、名曲喫茶という存在は、日本で生れてきたもののはずだ。
高度成長前の日本、
レコードの価格が、物価が上昇したにもかかわらず、いまの価格とそう変わらなかった時代があった。
貧しかった時代の日本で、ジャズ喫茶も名曲喫茶も生まれている。
レコードは、おいそれと買えるモノではなかった。
それを再生する装置となると、さらに高価だった時代があったから、
ジャズ喫茶、名曲喫茶という商売が成り立った、ともいえるのだろう。
同じ時代、日本だけでなく、アジア各国も、アメリカ、ヨーロッパからみれば貧しかったはずだ。
けれど韓国、中国といった国に、ジャズ喫茶、名曲喫茶があったとはきかない。
あったのかもしれないが、私にはあったとは思えない。
ジャズ喫茶が誕生した時代を体験しているわけではない。
その世代の人たちも少なくなってきている。