五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その5)
三極管と五極管の電気特性の違いは、はっきりとある。
五極管を三極管接続にすることで、その電気特性の違いをまったくなくすことはできないにしても、
ある程度は近づけられる。
けれど三極管と五極管の違いは、電気特性だけではない。
三極管、五極管という言葉が表わしているように、真空管の内部構造の違いがある。
三極管よりも五極管の方がエレメント(電極)の数が少なく、構造もその分シンプルといえる。
このことは電気特性に関係するだけでなく、機械的共振の違いにも関係してくる。
真空管パワーアンプの初段管を指で弾くと、
入力信号はゼロであってもスピーカーから音は出る。
初段管のすぐ近くで、あっ、とか、わっ、といった大きな声を出せばそれを拾ってしまう。
真空管は構造上、この性質をなくすことはできない。
ならば内部構造がシンプル、つまりエレメントの数が少ない方が、
その影響は少なくなるという考え方もできる。
この機械的共振の影響は、三極管接続にしてもなくすことはできないし、
この機械的共振を含めて五極管の特質として捉えるのであれば、
五極管は三極管接続にせず、五極管接続、もしくはUL接続としたほうが、
わたしにとってはすっきりした使い方ということになる。
くり返すが三極管接続を否定はしない。
お好きな人はやればいい。
けれど、私は三極管接続は選ばないだけである。