598というスピーカーの存在(その30)
いまはどうなのかは知らないが、
昔は価格的にバランスのとれた組合せということは、次のようなものだった。
スピーカーシステムの価格が一本59800円だとする。
約60000円だとして、アンプ(ここではプリメインアンプ)にもほぼ同額、
アナログプレーヤーにもほぼ同額ということだった。
つまりスピーカーは二本必要だから、60000×4=240000円が、
価格的にバランスのとれたといえる、ひとつの基準であった。
これがセパレートアンプを使うようなスピーカーシステムのグレードになってくると、すこし違ってくる。
スピーカーシステムの価格が一本50万円であれば、
コントロールアンプに50万円、パワーアンプに50万円、
アナログプレーヤー(カートリッジも含めて)に50万円、
つまりトータルで250万円くらいまでは、価格的にバランスがとれているとみなされていた。
もちろんここでもアンプにかける費用をスピーカーシステムと同額、
つまりコントロールアンプ、パワーアンプの合計が50万円というのもあった。
実際にはあくまでも目安であり、
予算的にはつねに制限があるものだから、
スピーカーに比重がおかれたり、
アナログプレーヤーが少し犠牲になったり、
予算内でのやりくりはもちろんあるわけだが、
59800円のスピーカーシステムを鳴らすのに、ペアで数十万円のセパレートアンプをもってくるのは、
あきらかに価格的にアンバランスな組合せとなる。
スピーカーシステムよりもアンプ、アナログプレーヤーのクォリティが高ければ、
それだけスピーカーはよく鳴ってくれる。
それでも59800円のスピーカーに対しては、
59800円から10万円くらいまでのプリメインアンプが選択肢となる。
だが1980年代半ば以降ブームとなった598のスピーカーシステムは、
同価格帯のプリメインアンプでうまく鳴ったという記憶がない。