素材考(発電ゴムという素材・その1)
5月18日にリコーが発電ゴムを発表している。
いわゆる圧電素子のひとつとなる。
これまでの圧電素子といえば、リンク先にもあるようにセラミックと高分子樹脂があり、
それぞれに長所と短所がある。
今回の発電ゴムがリコーの発表通りのモノならば、それぞれの長所を併せ持つ圧電素子となる。
圧電といえば、昔のローコストのカーリトッジは圧電型があった。
セラミック型、クリスタル型と呼ばれていたカートリッジである。
MM型、MC型、MI型が速度比例型なのに対し、
圧電型カートリッジは振幅(変位)比例型であるため、
イコライザーアンプは原則として不要になる。
しかも出力電圧も大きいため、
ポータブル型のスピーカー内蔵のプレーヤーには、圧電型カートリッジが搭載され、
アンプは小出力のパワーアンプのみという簡単な構成になっていた。
そのせいか、これまで圧電型カートリッジはローコスト向きのように受けとめられてきたところがある。
けれど、一部のあいだでは、圧電型の可能性を評価する声もあった。
とはいえ圧電素子そのものが改良されることが必須であり、
リコーの発電ゴム以前にも、圧電素子はいくつも登場してきている。
それでもオーディオの世界で圧電素子が採用される事はなかったが、
今回の発電ゴムは可能性があるように思える。
当然カートリッジへの採用がまず考えられる。
しかもゴムだから、この圧電素子自体がダンパーを兼ねることになる。
コイルも磁気回路もいらない。
設計の自由度は高くなる。
これまでのカートリッジとは違う音を開いてくれる可能性もある。