オーディオ機器の調整のこと(その1)
オーディオ機器の中には、使い手に調整することを求めるモノがある。
たとえば真空管アンプで出力管のバイアス調整、それからトーンアームの調整などがある。
トーンアームのゼロバランスをまずとって、それから針圧を印加する。
ここまでは音を聴くためにどうしても必要なことであるから、誰しもがやること。
けれど、真空管アンプのバイアス調整は、メーカー出荷時に合せてあるというものの、
使っているうちにずれてくることもあるし、出力管が切れて新品と交換したならば調整する必要がある。
出力管の本数が多ければそれだけ手間となるし、
アンプの設計次第ではうまくバイアスを合せることが難しい場合もある。
オーディオマニアとしては、精神衛生上的にもできるだけぴたっとバイアス電流の値を合せておきたい。
少しでもずれていると、人にもよるけれど、一度気になると捕われてしまうことにもなる。
些細なことといえば些細なことでもある。
それがいったい音にどれだけ影響しているのか、を冷静に考えれば、吹っ切れそうな気もしなくはない……。
トーンアームの例でいえば、これと似たことにSMEのラテラルバランスがある。
Series V登場以降、SMEのトーンアームすべてがナイフエッジというわけではなくなったが、
SMEのトーンアームといえばナイフエッジであり、このナイフエッジゆえにラテラルバランスをとる必要がある。