日本のオーディオ、これから(その6)
LS3/5Aに使われているスピーカーユニットは、ウーファー、トゥイーターともにKEF製で、
型番はB110とT27である。
KEFがいつごろ、これらのユニットの製造をやめたのかは知らない。
でも少なからぬ時間が経過している。
LS3/5Aの復刻にあたって、まっさきに問題となったのはスピーカーユニットをどうするかであったろう。
エンクロージュアやネットワークは、LS3/5AはBBCモニターであるから、厳密に規格が定められている。
これをクリアーするのも、意外に大変らしいのだが、
それでもスピーカーユニットの問題に比べれば、比較的小さなことである。
かなりの数のLS3/5Aをつくることになり、スペア分も含めて、
KEFにB110とT27の再生産を、仮に依頼したとしよう。
KEFが製造を引き受けてくれるかどうかもなんともいえないし、
仮に再生産してくれたとしても、当時のクォリティそのままで、ということになるのかどうかは、
正直なんともいえない。
設計図面は残っているはずだから、それを元に再生産されても、
製造中止になって少なからぬ時間があるわけで、
その間に工場も変化していても不思議ではない。
当時のユニットを生産していたラインがそのままあると限らないし、
そのころの製造スタッフも入れ替わっていることだろう。
これがドイツだったすると、再生産にも期待がもてるのだが、
イギリスとなると、そのへんなんともいえない。
再生産することで、以前のモノよりも質が悪くなることもあるし、良くなることもある。
良くなればそれはそれでいいことなのだが、
あくまでもLS3/5Aの復刻ということに関しては、良くなることを素直に歓迎できない面もある。