Date: 5月 19th, 2013
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これから(その4)

1985年ごろだったと記憶しているが、長島先生がこんなことを話してくれた。

たしか台湾のメーカーだといわれた。
彼らは海外の、自分たちよりも技術レベル高い会社のLSIやICをそっくりコピーしてしまう、と。
その方法は実際のLSIを極薄にスライスして内部がどういうつくりになっているのかを見た上で、
そっくりそのまま、どこも変えずに自分たちで作ってしまうのだとか。

たとえばあるメーカーが、そのメーカー独自のノウハウでやっていることも、
なぜ、そんなことをしているのかに関係なく、それに関しても同じに、とにかく作る。
そのコピーの技術は非常に高いし、いずれ彼らの技術力は高くなっていくだろう、と。

開発・設計の技術は未熟でも、
実物があればそれをバラして同じモノを作れる技術は持っている、というわけだ。
もちろん最初から本物そっくりにコピーできたわけではないのだろうが、
それすらも短期間で回路図・設計図がなくとも同じにコピーできる技術を高めていく。

いま自転車の世界でも同じことが行われている、ときく。
アメリカやヨーロッパのメーカーが研究開発費を投じて、
カーボンを使った新しいフレームやホイールを完成させる。

すると台湾や中国のメーカーはすぐさまそれら実物を手に入れて、
カーボンを固定しているエポキシ樹脂を溶かして、カーボンをどのように積層しているのか、バラしていき、
アメリカ、ヨーロッパのメーカーが苦労して開発したノウハウをそのままコピーしていく。
より安価な製品としてしまう、らしい。

そういうこともあってなのだろうか、
いまアメリカ、ヨーロッパのフレームメーカーでは、安価なカーボンフレームに関しては、
台湾、中国で製造していることが常識となっている。
開発設計を本国で行って、製造だけを台湾、中国で行うのならばまだしも、
中には台湾、中国の製造メーカーが開発したフレームで、
自社の製品としてふさわしいレベルのモノがあればそのまま買い取ってしまう、という話もある。

LSIをスライスしてそっくりコピーする技術を1980年代にもっていたのであれば、
自転車のカーボンフレームをそっくりコピーするくらい簡単なことなのだろう。

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