Archive for category テーマ

Date: 6月 7th, 2013
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(facebookにて・その3)

スイングジャーナルで、岩崎先生が亡くなった後の企画で、
岩崎先生の原稿が扉として使われていたことがあった。
どんなふうな原稿だったのかは、わずかな写真から推測するしかなかった。

一度でいいから、原稿そのものを見たい、と思っていた。
それが、いま、目の前にある!

これは、もう絶対お借りしてスキャンしたい。
そう思って片桐さんから掲載誌とともに岩崎先生の原稿をお借りしてきた。

それで翌日、さっそく岩崎先生の原稿をスキャンした。
伊東屋の400字詰め原稿用紙はA4サイズよりも大きい。
私が持っているスキャナーはA4まで、である。
A3対応のスキャナーが欲しかったのだが、価格よりもあの大きさは仕事用であり、
個人用の大きさではない。
それでも、こういうとき、やっぱりA対応にしておけばよかったかな、とおもわないでもないが、
手もとにあるのはA4までだから、400字詰め原稿用紙をスキャンするには二回にわけて、
あとは画像処理ソフトでくっつけるしかない。

めんどうな作業だな、とおもいつつ、すべの原稿(15枚)をスキャンして、
試しにと一枚目を、二枚の画像を重ねて一枚の画像にしてみた。
まぁ、うまくいったほうだと思い、これを使って……、と考えたわけだ。

いつもなら岩崎先生に関する写真はfacebookページ「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」で公開する。
岩崎先生の原稿を見たい、と思う人は、きっといるはず。
そういう人をfacebookグループ「audio sharing」に誘導するために、
リンク先とともに、告知した。

自分でも「ずるいかも」と思いながらも、
岩崎先生の原稿の画像とともに、読む人によっては辛口と思えることも書いたこともあって、
非公開の「audio sharing」を選んだわけである。

Date: 6月 7th, 2013
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(facebookにて・その2)

facebookページの「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」(以前は「オーディオ彷徨」という名称)は、
facebookのアカウントがなくても誰でも見れるようになっている。
だから「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」の更新情報はtwitterと連動するようにしている。

facebookグループの「audio sharing」はfacebookのアカウントが必要になるし、
さらにあえて非公開にしているから、グループへの参加希望をクリックしていただければ、
基本的にどなたでも承認している。

このふたつを始めたころはグループ「audio sharing」に参加してくれる人が、
「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」に「いいね!」をしてくれる人よりも多かった。
それが昨年末ぐらいに逆転してしまった。

どちらが上でもいいといえばいいのだけれど、
心情的には「audio sharing」に参加されている方が多い方が嬉しい。

非公開にしているから、興味を持っても……という方もおられるかもしれない。
人を増やしたいのであれば、非公開をやめることがてっとりばやい、と思う。
でも、これからも非公開のままでいくつもりである。

何も好き勝手をことを書くための非公開ではない。
自由に書きこんでもらうための非公開である。

非公開にしておきながら参加してくださる方を増やしていきたい。
そんなことも少しは考えて、昨日「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」に「audio sharing」へ、
いわば誘導するための書き込みをした。

一昨日、四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記にて行った「岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代」、
ここにゲストとして来てくださった片桐さんが、ある本を持ってこられていた。
それだけでなく、岩崎先生の原稿そのものもいっしょにだった。

Date: 6月 7th, 2013
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(facebookにて・その1)

まれにではあるけれど、「あれもそうなんですか」ときかれることがある。
なので、いま私がインターネットで公開しているものを挙げておく。

まず2000年8月に始めたのが、このブログやそのほかのことの母体となる「audio sharing」というウェブサイト。

2008年9月から、このブログ、audio identity (designing) を公開しはじめた。
2009年6月から、the Review (in the past) を公開している。

twitterを始めたのは2010年1月から、
facebookを始めたのは2011年2月から。

mixiをやっていたこともある。たしか2005年から約一年間ほどだった。
その他にもGoogle+、その他もアカウントはつくってはいるけども……、である。

twitterはfacebookに、facebookページとfacebookグループをつくったこともあって、
あまり書き込みはしなくなった。
かといってfacebookの自分のタイムラインも、ややほったらかしで、
facebookページの「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」と
facebookグループの「audio sharing」に力をいれている。

そんなところである。

Date: 6月 6th, 2013
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その6)

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」から六ヵ月後、
ステレオサウンド 43号のベストバイの記事の中で、瀬川先生はQUAD・405について
「発売後数階にわたって回路が変更されているようで、音のニュアンスもわずかに違うし、
プリノのイズを拡大する傾向のある製品もあるようなので、選択に注意したい。」
とことわりを書かれている。

これが1977年の夏のことである。
さらに約一年がすぎ、また別冊が出た。
「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」である。
ここで、AGI・511について、瀬川先生による試聴記は次の通りである。
     *
入力信号に対する反応の速さあるいは音の明瞭度(ディテール)の高さを当初から謳い文句にしていただけあって、いかにも現代のソリッドステートの最尖端の技術はかくあるべしというような、引締ったクールな音を聴かせる。ことにEMTのプレーヤーから入力をAUX(イコライザーアンプを通さずに)直接加えたときの、素晴らしく品位の高い、緻密でしかも音のひと粒ひと粒が生き生きと躍動するのがみえるような音質は、ちょっと類のないほど素晴らしかった。しかしフォノ・イコライザーからのトータルの音になると、ひと幕引いたようでどこか反応の遅い感じの、よく言えばおっとり型の音質で私にはおもしろくない。以前のサンプルよりもこの点がちょっぴり不満に感じた。
     *
QUAD・405だけでなく、AGI・511も初期のモデルからすると変更されていることがわかる。
そうなると、「コンポーネントステレオの世界 ’77」で511と405の組合せが聴かせていた魅力的な音は、
いくらか、それともずいぶんなのかもしれないが、変っていることになる。

511の音が変っていることは井上先生も指摘されている。
     *
 初期のソリッドでタイトな音にくらべると、かなり音の粒子が細やかで、表情がナチュラルで、洗練された滑らかな音を持つようになった。聴感上での周波数レンジは、かなりワイドレンジ型で、バランス的には中域がやや薄く、音色は明るく滑らかなタイプである。
 ステレオフォニックな音場感は、左右方向・前後方向のパースペクティブともに充分に広がり、スッキリとした広い空間の再現性がある。音像はかなり小さくまとまり、輪郭は細くシャープである。音像はスピーカー間のやや奥に定位をする。表情はナチュラルで活き活きとし、オーケストラのトゥッティでの音の分離は素晴らしい。
     *
フォノイコライザーの音に関しては、瀬川先生は以前の511のほうを高く評価されている。
井上先生は、この点正反対で以前の511も評価されているけれど、
今回の511の改良についても高い評価を与えられている。

私は、この時点では511の音も405の音も、まだ聴いていなかった。

Date: 6月 6th, 2013
Cate: audio wednesday, 岩崎千明, 瀬川冬樹

岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代(audio sharing例会・その1)

昨年の5月のaudio sharing例会のテーマは「岩崎千明を語る」だった。
このとき、一年後にゲストに来ていただいて、なにかやりたい、と考えていた。

それから約一年、春ごろ、昨年とまったく同じテーマでは能がないから、
今年は「岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代」というテーマにして、ゲストに来ていただこう。

誰に来ていただくか。
ステレオサウンドにいたころから、
そしてステレオサウンドをやめたあとも西川さん(サンスイ)との縁があった。
西川さんからは瀬川先生の話し、岩崎先生の話、それ以外にもいろいろとうかがっている。
西川さんに来ていただこう。
これは「岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代」をテーマに決めたと同時に決った。

西川さんに来ていただくとして、あとふたり、鼎談で語っていただこう、
とすると、誰がいいだろうか。

ステレオサウンドをはなれてもう20年以上経つし、
瀬川先生、岩崎先生と仕事をされていた方となると、実は面識がない。

西川さんから、以前「瀬川さんと岩崎さんのことなら、パイオニアの片桐さんがくわしいよ」と聞いていた。
私がfacebookで公開している岩崎先生のページ「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」に、
片桐さんが「いいね!」をしてくださっていることは、管理人であるからわかっていた。
それからビクターに勤務されていた西松さんも「いいね!」をしてくださっていた。

それでfacebookの機能を使い、片桐さんと西松さんに依頼のメッセージを出した。
まったく面識のない私からの依頼にも関わらず、快諾してくださった。

Date: 6月 5th, 2013
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その5)

AGIの511とQUADの405の組合せは、最終的にふたつの組合せで使われている。
ひとつは瀬川先生によるKEFの104aBで、もうひとつは井上先生によるキャバスのブリガンタンにおいてである。

「コンポーネントステレオの世界 ’77」でつくられている組合せにおいて、
コントロールアンプとパワーアンプの組合せが同じだったのは、
この511と405の組合せ以外に、ラックスのCL32とマランツの510Mの組合せだけである。

LNP2も登場している「コンポーネントステレオの世界 ’77」だが、
LNP2と組み合わせられたパワーアンプは、
SAEのMark2500だったり、スチューダーのA68、ヤマハのBIとすべて異る。

瀬川先生の104aBの組合せは、
メインは4343の組合せであり、4343の組合せが予算的にきついのであれば……、ということでつくられている。
ここでオブザーバーの黒田先生の発言に注目したい。
    *
ぼく自身の正直な感想を申し上げると、さっきもちょっといったように、JBL4343で聴きたいですね。ただアンプのほうは、マーク・レビンソンの組よりも、AGI+QUAD組にしたときの音のほうが気に入りました。この組合せの音は、たいへんすばらしいと思います。
     *
1976年におけるLNP2の価格は1080000円、SAE・Mark2500は650000円。合計1730000円。
AGI・511は230000円、QUAD・405は156000円。合計386000円。

このふたつのセパレートアンプの合計金額の差は大きい。
にも関わらず511と405の組合せのもつ魅力は、
場合によっては、人によっては、より高い組合せよりも魅力的である──、
と当時「コンポーネントステレオの世界 ’77」を読んでそう感じていた。

Date: 6月 5th, 2013
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その4)

私にとっての最初のステレオサウンド、
41号といっしょに買ったのが別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」だった。

「コンポーネントステレオの世界 ’77」は読者からの手紙に応じて、
各オーディオ評論家が組合せをつくっていくという内容で、
オブザーバーとして黒田先生が、すべての組合せに参加されている点でも、
この別冊のおもしろさがある。

「コンポーネントステレオの世界 ’77」は1976年12月の発売だから、
発売されて間もないQUADの405とAGIの511はよく登場している。

最終的に組合せに残っているし、アンプ選びの候補としても何度も登場している。
この「コンポーネントステレオの世界 ’77」を読めばわかることは、
AGIの511とQUADの405の組合せが何度か登場し、この組合せが評判のいいものであることが伝わってくる。

QUADとAGI──。
およそ共通するところのない会社のようにもみえる。

QUADのイギリスの老舗メーカー、AGIはアメリカの新進メーカー。
QUADの創立者であり、405の開発者であるピーター・ウォーカーは1916年生れ、
AGIの創立者であり技術者であるデヴィッド・スピーゲルがいつの生れなのかはわからないが、
511の開発・設計のとき23歳だった、と当時の輸入元RFエンタープライゼスの広告にある。

ピーター・ウォーカーとデヴィッド・スピーゲルには30以上(40近い)歳の差がある。

Date: 6月 4th, 2013
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その5)

JBLのふたつのスピーカーシステム、
Harknessと4343。
Harknessは1960年代の開発、4343は1970年代後半の開発。
Harknessはコンシューマー用として、4343はスタジオモニターとして開発されている。

Harknessと4343の違いはいくつもある。
けれど、ともにJBlを代表するかっこいいスピーカーシステムなのだが、
Harknessはサランネットをつけた状態で、4343はサランネットをはずした状態で、
それぞれかっこいいスピーカーシステムであるところが、
私にとっては両者のいちばん大きな違いである。

4343と後継機の4344はエンクロージュアのサイズは同一、
サランネットをつけた状態では型番が記されている銘板を見ないかぎり、
どちらが4343で4344なのかは区別がつかない。
背面をみれば、入力端子の取付け位置の違いで区別はつくものの、
正面からではサランネットを外さないと4343と4344は同じであるけれど、
サランネットを外してみれば、両者の違いは歴然としていて、
4344を一度もかっこいいと私は思ったことがない。

ミッドバスが2121から2122に変更になり、
振動板の形状もコンケーブからセンターキャップがドーム状の一般的なコーン型の形状となったとはいえ、
搭載されているユニットの外観は、ほとんど4343と4344は同じといえる。

けれどユニットの配置、バスレフポートの配置、レベルコントロールの配置、
フロントバッフルが二分割になっているどうかの違い、
これらによって4343と4344の印象はまるで違うものになっている。

それだけに4343は音を鳴らす時はサランネットを外して聴きたくなる。

Date: 6月 4th, 2013
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その3)

ステレオサウンド 52号に瀬川先生が、QUADの405のペアとなるコントロールアンプについて書かれている。
     *
QUADから♯405が発売されてからもうずいぶん経っている。最初の頃は405に組合わせるプリが出るものと期待したが、一向にその気配もない。ピーター・ウォーカー(QUADの創設者、現会長)に、そのことを質問すると、「♯33の音でどこか不満か?」逆に質問されて、ぐっとつまった話はもう以前にも書いたが、しかし♯44が発売されてみると、どうやら我々はP・ウォーカーにすっかりとぼけられていたらしい。実は昨年の秋のオーディオフェアの頃、来日したKEFのレイモンド・クックからは、QUADが新型のプリを作っている、という情報を聞いていた。ともかく、いかにもQUADらしいのんびりした製品開発だが、しかし鳴ってきた音は、なるほど、と唸らせるだけのことはあると思った。
     *
405とペアとなる44が登場したのは1979年。405の三年後である。
ほんとうに、QUADらしいのんびりした製品開発である。
それだけコントロールアンプとして優れたモノをつくることがむずかしい、ということでもある。

ピーター・ウォーカーは「♯33の音でどこか不満か?」といっていたとしても、
日本のオーディオマニアの感覚からしたら、不満はないといえばないけれど、
あるといえばある、となる。
33、303とはあきらかに世代の異るアンプであるからだ。

33、303は、QUADらしいセパレートアンプであって、
組み合わせて使うのが至極当然のように受けとめられていた。
他社製のアンプとの組合せ例もあっただろうが、純正組合せで使う例の方が多かったと思う。

405となると、単体で登場したことも影響しているだろうが、
QUAD同士の組合せだけでなく、単体のパワーアンプとして見ても優秀なアンプだった。
だからこそ他社製のコントロールアンプと組み合わせられていった。

AGIの511とQUADの405、
当時比較的多く試みられた組合せである。

Date: 6月 4th, 2013
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その2)

二日前の日曜日、以前の仕事の知合いから、ちょっとした手伝いを頼まれて、彼の自宅までいってきた。
趣味の話などはしたことはほとんどなかったけれど、
彼がAVにはけっこう興味を持っていたことは知っていた。

彼がいう。
「この中にあるもので、いるものあったら持って帰っていいよ」と。
大半がAV関係の機器だったけれど、その中にひとつだけシャーシーの色が黒ではなく、
しかもコンパクトなアンプが、すぐに目についた。

「あっ、405だ」とすぐにわかった。
国産のAV機器の中に、なぜかQUADの405があった。
廃棄する予定だというから、もらって帰ってきた。

こんなモノがもらえるとは思っていなかったから、持ち運ぶためのバッグもなにも用意しておらず、
さほど大きなアンプでもないから、そのまま抱えて電車に乗り持って帰ってきた。

405は1976年に登場した。
パワーアンプ単体の発表だった。
ペアとなるコントロールアンプはまだだった。

QUADには33というコントロールアンプがあったけれど、
この33は1967年に登場している。
小改良は行われていたときいているけれど、
トランジスターアンプにおける1967年と1976年の9年間の技術の進歩は大きい。

33はやはり303とペアとなるコントロールアンプだった。

Date: 6月 4th, 2013
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その1)

黄金の組合せ。
いまではあまり使われなくなった気もするが、
それでもインターネットを眺めていると、目にすることがある。
今日もtwitterで、あるスピーカーとアンプの組合せについて、
この「黄金の組合せ」という表現が使われていた。

私が「黄金の組合せ」という表現を知ったのも、やはり「五味オーディオ教室」であった。
     *
でも本当に、わが耳を疑うほどよい響きで鳴った。W氏にアンプは何かとたずねるとラックスのSQ38Fだという。「タンノイIIILZとラックス38Fは、オーディオ誌のヒアリング・テストでも折紙つきでした。〝黄金の組合わせ〟でしょう」と傍から誰かが言った。〝黄金の組合わせ〟とはうまいこと言うもので、こういうキャッチフレーズには眉唾モノが多く、めったに私は信じないことにしているが、この場合だけは別だ。なんとこころよい響きであろう。
     *
「五味オーディオ教室」は1976年に出た本だから、
タンノイのIIILZもラックスのSQ38Fもすでに製造中止になっていた。
代るものとして、タンノイはEatonになっていたし、ラックスはSQ38FD/IIになっていた。

EatonとSQ38FD/IIの組合せを聴いたことはないけれど、
これに関しては特に黄金の組合せというふうにはいわれなかった。

黄金の組合せは、なにもスピーカーとアンプとの関係に対してのみいわれるわけではなく、
オーディオはすべて組合せから成り立っているのだから、
カートリッジとトーンアーム、
MC型ならばカートリッジとその昇圧手段であるヘッドアンプ、トランス、
それからコントロールアンプとパワーアンプ、
これらにも黄金の組合せ、もしくはそこまでいかなくともベストマッチと呼ばれる関係はある。

Date: 6月 3rd, 2013
Cate: audio wednesday

岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代(第29回audio sharing例会のお知らせ)

今月のaudio sharing例会のテーマは「岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代」です。
5月1日のブログにも書いていますように、
当日は西川彰氏(サンスイ)、片桐陽氏(パイオニア)、西松朝男氏(ビクター)に来ていただきます。

私自身、どういう話がきけるのか、非常に楽しみにしています。

時間はこれまでと同じ、夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

喫茶茶会記は、先日玄光社から発売になった書籍「TOKYO音カフェ紀行」でも紹介されています。

Date: 6月 3rd, 2013
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(些細なことについて)

シェル一体型のカートリッジでなければ、なんらかのヘッドシェルに取り付けることになる。
単体のヘッドシェルの場合もあるし、
SMEの3009S/IIIやSeries Vのようにシェル部分がアームパイプと一体化されている場合もある。

どちらにしてもネジを使ってカートリッジをシェル部分に取り付けることになるわけだが、
シェル側に設けられているネジ穴にタップを切ってある場合は下からネジをいれる。
アームパイプとシェル部分が一体化されたものに多いのが、シェル側の穴にタップを切ってないものの場合、
つまりナットを用意して固定する場合には、
ネジを上からなのか、下からなのか、どちらでもいける。

私は、この場合、上からネジをさしてナットを下側にもってくる。
ずっとこれで固定してきたし、こういうシェルの時、下からネジをいれたことはなかった。

特に意識していたわけでもなかったけれど、ずっとそうやってきたし、
他の人もそうやるものだと勝手に思い込んでいたところもある。

インターネットが普及して、オーディオマニアの中には自分のシステムの写真を公開している人も少なくない。
それらの写真を見て気づいたのが、このネジに関することだった。

下からネジをいれてナットを上にしている人がいる──、
そのことに少し驚いた。

でも考えてみればヘッドシェルにタップが切ってある場合は下からネジなのだから、
ナットを使う場合も、それと同じで下から、そう考えれば納得できるといえばそうなる。

シェル側にタップを切ってない場合(ナットを使う場合)、ネジはどちらからなのか。
どちらでもいいといえばそれまでなのはわかっていても、
私の感覚としてはやはり上から、である。

それもマイナスネジの場合、ふたつのネジのスリットが延長線上にくるようにそろえる。
こんなところをきちんと揃えたからといって音に変化はない。

だからといってネジのスリットがあちこちを向いているのはいやだし、
併行になっているのも、しっくりこない。
やはり一直線になるようにしたいし、そうする。

もちろんネジの締付けは同じにしなければならないから、その分手間がかかるといえばかかる。
でも一度やっておけば、その後、そうそういじるところでもない。

いまの時代、アナログディスク再生をやるのであれば、
音に直接関係のない、こういう些細なところにこだわっていくのもいいのではないだろうか。

Date: 6月 2nd, 2013
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その4)

Harknessの存在を知ったのは、
何度か書いているようにステレオサウンド 45号に載っていた田中一光氏のリスニングルームの写真でだった。

JBLの4343もかっこいいスピーカーだと思っていた。
4343はステレオサウンド 41号の表紙の写真で、このスピーカーの存在を知り憧れた。

Harknessも憧れた。
でも4343への憧れとHarknessへの憧れは、共通するところもあったし、異った憧れの部分もあった。

41号での表紙での4343は、あくまでも4343単体での写真であった。
45号でのHarknessの写真は、
田中一光という、日本を代表するグラフィックデザイナーのリスニングルームにおさめられた写真である。

オーディオ機器(スピーカー)を、ここまで見事に置けるのか、と、
Harknessへの憧れととともに、その部屋の持主とそのセンスへの憧れでもあり、
さらに、これを実現できるだけの経済力にも憧れていたんだとおもう。

Harknessをかっこいいと思っていたのは、
Harknessそのものもかっこいいけれど、それだけでなく、使われ方もかっこよかったからだ。

Date: 6月 1st, 2013
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その3)

身銭を切って買うもの──、それがオーディオ機器であり、
手に入れるまでの苦労も、その人にとっての「音は人なり」となっていく──。

そうだとは思うし、そう思っている人も多いはず。
特に私よりも上の世代、
つまり五味先生の書かれたものを読んできた人にとっては。

五味先生は「オーディオマニアの五条件」のひとつとして、
金のない口惜しさを痛感していること、とあげられていて、
こう書かれている。
     *
貧しさを知らぬ人に、貧乏の口惜しさを味わっていない人にどうして、オーディオ愛好家の苦心して出す美などわかるものか。美しい音色が創り出せようか?
     *
ステレオサウンドから出ている「オーディオ巡礼」にも、これは載っているし、
私にとっての最初のオーディオの本「五味オーディオ教室」も載っている。
13の時に、だから読んでいた。

この五味先生の、金のない口惜しさを痛感していること、を表面的にだけ捉えている人からすれば、
今回の、私が「Harkness」を手に入れることは、
そんなんでいい音なんか出せっこない、ときっと言うに違いない。