黄金の組合せ(その5)
AGIの511とQUADの405の組合せは、最終的にふたつの組合せで使われている。
ひとつは瀬川先生によるKEFの104aBで、もうひとつは井上先生によるキャバスのブリガンタンにおいてである。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」でつくられている組合せにおいて、
コントロールアンプとパワーアンプの組合せが同じだったのは、
この511と405の組合せ以外に、ラックスのCL32とマランツの510Mの組合せだけである。
LNP2も登場している「コンポーネントステレオの世界 ’77」だが、
LNP2と組み合わせられたパワーアンプは、
SAEのMark2500だったり、スチューダーのA68、ヤマハのBIとすべて異る。
瀬川先生の104aBの組合せは、
メインは4343の組合せであり、4343の組合せが予算的にきついのであれば……、ということでつくられている。
ここでオブザーバーの黒田先生の発言に注目したい。
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ぼく自身の正直な感想を申し上げると、さっきもちょっといったように、JBL4343で聴きたいですね。ただアンプのほうは、マーク・レビンソンの組よりも、AGI+QUAD組にしたときの音のほうが気に入りました。この組合せの音は、たいへんすばらしいと思います。
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1976年におけるLNP2の価格は1080000円、SAE・Mark2500は650000円。合計1730000円。
AGI・511は230000円、QUAD・405は156000円。合計386000円。
このふたつのセパレートアンプの合計金額の差は大きい。
にも関わらず511と405の組合せのもつ魅力は、
場合によっては、人によっては、より高い組合せよりも魅力的である──、
と当時「コンポーネントステレオの世界 ’77」を読んでそう感じていた。