Archive for category ブランド/オーディオ機器

Date: 1月 17th, 2022
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(2019年製と2021年製)

先日、メリディアンの218に手を加える機会があった。
私が使っているのは2019年製である。
今回、手を加えたのは2021年製である。

型番は218のままで、外観も変化ない。
内部も基本的には同じといっていい。

218の内部を見たことがある、という人でも、気がつかないかもしれない、
そのくらいの変更が2021年製にはあった。

これまで計六台の218に手を加えているから、
2019年製の218と見較べることなく、どこが変更されたのかはすぐに気づく。

2020年製の218にも手を加えているから、変更は2021年製からなのだろう。
変更箇所は二つ。

一つはその通りに変更できるが、もう一箇所はかなり難しい。
この変更箇所によって、どれだけ音が変化しているのか。

じっくり比較試聴してみようか、と思ったけれど、
2021年製が良かったりしたら、マネできない変更があるだけに、
止めとくことにした。

それに、これらの変更箇所がなくとも、
二年以上使っている218と新品の218とでは、本質的な音はかわりなくても、
音の違いはあるものだ。

Date: 11月 20th, 2021
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4320(その13)

JBLの4320が登場して五十年。
程度のよい4320の数も少なくなっている。

4320に搭載されているユニットは、すべてアルニコマグネット。
アルニコマグネットは衝撃に弱い。

井上先生がよくいわれていた。
アルニコマグネットのスピーカーを、一度ドスンとやってしまうと、
もう元には戻らない、と。

ドスンという衝撃を与えても、見かけはまったく変化なし、である。
けれどアルニコマグネットの性質上、磁気特性がダメになってしまう、とのことだった。

そういうこともあるから、4320の程度のよいモノを見つけ出すことは、
運が味方しないと難しい、と思っている。

それでも一度は自分の手で4320を鳴らしてみたい。
クラシックを4320で聴きたい、とは思っていない。
スカッとした音で、4320を思う存分鳴らしてみたい。

大袈裟な、大がかりなシステムではなく、
ほどほどの規模のシステムで鳴らしたい。

アンプは、GASが、いちばん思い浮ぶ。
AMPZiLLAではなく、その下のモデルのSon of AMPZiLLAでもなく、
Grandsonが合うんじゃないか。

となるとコントロールアンプもTHALIAに決る。
THALIAは、上二つのコントロールアンプの陰に埋もれがちなのだが、
あの時点で、もっとも現代的アンプといえたのは、THALIAである。

Date: 10月 19th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(10月19日)

コーネッタは、中学生の頃から鳴らしてみたいスピーカーであった。
それがたまたま、思わぬ価格で入手できそうだったから、
ヤフオク!で入札して、幸運にも落札できた。

タンノイの同軸型ユニットには、フロントショートホーンが不可欠、
というのは私の持論だ。

理論的根拠は、特にない。
私が聴いたタンノイの音で、
素晴らしいと感じたのがすべてフロントショートホーン付きだったから、でしかない。

一年前にコーネッタを手に入れて、2020年12月までは、
毎月第一水曜日のaudio wednesdayで鳴らした。

今年から、私の部屋で鳴らしているわけだが、
まだ鳴らしていないディスクがある。

ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーである。
デュ=プレのチェロを鳴らしたい──、そういう気持もあっての、
私にとってのコーネッタである。

いま出している音でも、ある程度の音で鳴ってくれるはず、である。
それでもまだ、という気持がある。

今日(10月19日)は、デュ=プレの命日。
一年後には、コーネッタで聴いているはずだ。

Date: 9月 1st, 2021
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(モニター希望の方は──)

メリディアンの218を自宅で聴いてみたい、という方は、
メール(送信先:info@hires-music.jp) で、
「218モニター希望」というタイトルをつけて問い合せてみてください。

オンキヨーがやっているわけではありません、念のため。

Date: 8月 11th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(黒バッフルのモデル・その3)

いまヤフオク!に、コーネッタが出ている。
一台はステレオサウンドのキットを組み立てたモノである。
さきほど落札されていた。
二十万円を超えていた。

これが高いのか安いのかは、写真と商品説明だけではなんともいえない。
組立ての技倆がどれだけなのかがまったく不明だからだ。

もとがキットのオーディオ機器の場合、
組み立てる人によって、結果となる音は大きく違ってくる。

エンクロージュアの場合、組立て具合がよくないからといって、
もうどうすることもできない。

もう一台のコーネッタは、いわゆるオリジナルではないが、
これがおもしろいことに私が手に入れたコーネッタにそっくりである。

板材もステレオサウンドのキットとは違う。
そういうところからして、そっくりなのだ。
これも私のコーネッタと同じで、少なくとも写真から伝わってくる雰囲気が同じなのだ。

私のところにあるコーネッタは、腕のいい人が自作したのかな、ぐらいに思っていた。
それにしてもよく出来た造りである。

そっくりのコーネッタの商品詳細を読んで納得した。
そのコーネッタは、ティアックがタンノイの承認を得て、
オートグラフを国内製造していたときの職人が、退職後にコーネッタを製造した、とある。

これが事実なら、おそらく私のコーネッタもそういうことになる。
その可能性は、造りをみていても、かなり高いように思っている。

Date: 7月 1st, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(2020年7月1日)

一年前の7月1日は水曜日だった。
audio wednesdayの日だった。
コーネッタを鳴らした日だった。

ひさしぶりにコーネッタの音を聴いた日だった。
初めて自分の手でコーネッタを鳴らした日だった。

コーネッタで聴いたカラヤンのパルジファルが忘れられないでいる。

Date: 7月 1st, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(黒バッフルのモデル・その2)

ステレオサウンドがキットとして販売していたコーネッタの底板には、
StereoSoundという焼き印が押されている。

私がヤフオク!で手に入れたコーネッタには、ない。
ヤフオク!に表示されていた写真をみた時から、たぶんオリジナルじゃないな、
そう感じていた。

手に入れて真っ先に確認したのは、焼き印の有無だった。
ないだろうと予想していたから、がっかりはしなかった。
問題は音と、その造りだからだ。

造りに関してはみた時から満足していた。
音は昨年書いているように、よく鳴ってくれている、と感じている。

キットだから、ステレオサウンドが販売したものを購入した人の中には、
自分でバッフルを黒く塗装した人がいたことだろう。

サランネットを外したときにバッフルが黒だと、
オートグラフのイメージに少し通じてくる、といえるからだ。

オーディオタケムラの黒バッフルも、そういうことなのかもしれない。
オーディオタケムラのモデルは、もう一つ違いがあって、
レベルコントロールが背面ではなく、フロントバッフルにあることだ。

何度か書いているが、コーネッタはキットだった。
完成した状態で、メーカーがその性能と音を保証しているモノではない、ということ。
そのことを忘れないことだ。

Date: 6月 30th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(黒バッフルのモデル・その1)

コーネッタに関して、黒いバッフルのモデルがあるけれど──、
という問い合せがあった。

検索してみると、黒いバッフルのコーネッタが、中古として販売されてきた(いる)。
この黒いバッフルのコーネッタのすべてがそうだとは断言できないが、
これはステレオサウンドがキットとして発売したモノではなく、
その当時、相模原市にあったオーディオタケムラが独自に生産していたモノだ。

この黒バッフルのコーネッタの音は、私は聴いたことがない。
ステレオサウンドのキットと同等の音が出るのか、
それとももっといいのか悪いのか、なんともいえないが、
この黒バッフルのコーネッタを、
ステレオサウンド製として売っているオーディオ店は信用しない方がいいだろう、
とはいえる。

Date: 4月 21st, 2021
Cate: Mark Levinson

ベーシストとしてのマーク・レヴィンソン(その2)

(その1)は、2009年3月に公開している。
マーク・レヴィンソンがベーシストとして参加しているポール・ブレイのアルバム、
「Ballads」について、簡単に紹介したぐらいで、
(その2)を書くつもりは、その時点ではまったくなかった。

さきほど、そういえば、と思って、TIDALで“Mark Levinson”で検索してみた。
同姓同名の歌手のアルバムが表示されるが、
ポール・ブレイ・トリオの「Bremen ’66」も出てくる。
それで(その2)を書いている。

「Bremen ’66」は、タイトルどおり、1966年のブレーメンでのライヴ録音である。
「Ballads」の一年前のレヴィンソンの演奏、それもライヴでの演奏が聴ける。

「Ballads」は買って聴いた。
「Bremen ’66」はCDで見つけたとしても買わなかっただろう。
それでもTIDALにあるから、一曲だけ聴いてみたところ。

もちろん「Ballads」もTIDALで聴ける。

Date: 3月 30th, 2021
Cate: 40万の法則, D130, JBL, 岩崎千明

40万の法則が導くスピーカーの在り方(D130と岩崎千明氏・その27)

スピーカーシステム、
この場合のスピーカーシステムとはマルチウェイのことである。

そのスピーカーシステムを、どういう構成とするのか。
さまざまな考え方があるのは、市場に登場したスピーカーシステムからもうかがえるし、
スピーカーを自作してみようと考えてみれば、
考え方の数の多さを楽しむこともできる。

40万の法則をベースにして考えるならば、
3ウェイの場合、100Hzから4kHzまで一本のユニットでカバーして、
100Hz以下、4kHz以上を、それぞれウーファー、トゥイーターで、という構成が考えられる。

つまりJBLのD130をスコーカーとして、ウーファーとトゥイーターを追加する3ウェイであり、
D130が15インチ口径で、しかも高能率ということを考えると、
そうとうに大型なシステムになる。

けれど、それは非現実的なシステムなのだろうか。
40万の法則に則った3ウェイのスピーカーシステムを、
池田 圭氏は構築されていた。

中心となる100Hzから4kHzを受け持つのは、
ウェスターン・エレクトリックの555Wドライバーに15Aホーンである。

555W+15Aのコンビは、D130以上の規模である。

15Aホーンの開口部は、56 3/6インチ×57インチである。
一辺が1.4mほどある巨大なホーンである。

折り曲げホーンとはいえ、奥行きは53 1/8インチで、
そうとうに広い空間でなければ、ステレオ用に二本設置することは、まず無理である。

これだけの大きさのモノに、池田 圭氏は100Hzから4kHzを受け持たせていた。
これと比較すれば、D130に、同じ帯域を受け持たせるのはかわいいものだし、
はるかに現実的でもある。

Date: 3月 28th, 2021
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(気になる二機種)

Cambridge AudioのDacMagic 200M
iFi AudioのNEO iDSD

どちらもメリディアンの218と同価格帯のD/Aコンバーターであり、
MQAに対応している。
しかも218が対応していないDSD再生も可能である。
さらにUSB端子も装備している。

私が218を導入したのは2019年。

デジタル機器の進歩の具合からすれば、これだけの差がつくのも予測できることだ。
それでも、ちょっとばかり心穏やかではない。

この二機種は、今年初めに発表になっている。
NEO iDSDはすでに輸入されているから、購入された方、音を聴いたという人もいよう。

DacMagic 200Mは、現在の日本の輸入元のウェブサイトをみても、載っていない。
検索してみても、まだ日本では販売されていないようである。
オーディオ関係のサイトでも取り上げられているのを見ていない。

輸入されるのだろうか。
現在の輸入元のサイトをみるかぎりでは、あまり熱心ではないようにうつる。
もしそうだとしたら輸入元がどこかにかわる可能性もあるんじゃないか、と思ってしまうし、
最悪の場合、輸入元がない状態になってしまうことだって、
いまの日本の状況だと十分考えられる。

DacMagic 200M、NEO iDSD、218は、普及価格帯のD/Aコンバーターである。
だからこそMQAに関心を持ち始めている人にとって、格好の入口となってくれる存在だ。

どれがいいのか、ということに興味はあるが、
それ以上にMQA対応機種、それもなかなかの実力器が増え活況を呈してほしいだけに、
DacMagic 200Mの早くの取り扱い、
218(というよりメリディアン)の取り扱いがきちんと行われるようになることを、
強く望んでいる。

Date: 1月 28th, 2021
Cate: TANNOY

タンノイはいぶし銀か(その12)

昨晩のブログを書き終って、
五味先生の「いい音いい音楽」の数本を読み返していた。

「むかしのカラヤンは素晴らしかった」の冒頭に、こう書いてある。
     *
 カラヤンは低俗だと前回評したら、抗議の投書がかなりきたので、なぜ低俗かを説明しておく。芝居を例にとると、舞台に登場する人物の科白およびその生きざまはすべて脚本に規制され、すぐれた劇は、舞台で役者の登場をまたずとも脚本を読んだだけで、いい芝居だとわかるものだし、ストーリーのどのあたりで芝居はドラマティックになり、劇が高揚するかも、脚本でわかる。ところが、下手な役者にかぎって、ストーリーの高揚したドラマティックな場面にくると大見得を切り、どうだとばかりに力演する。つまり低級な演技である。すぐれた役者は、そういう場面ではむしろ芝居をおさえ、さりげなく演じるから燻銀のように演技は光り、ドラマの感動も深い。
     *
ここに「燻銀」が出てくる。
演技についての「燻銀」ではあるのだが、
大見得を切らない表現で音楽を聴かせるということでは、
確かにタンノイ(同軸型ユニットを搭載したタンノイに限定)は、いぶし銀といえる。

けれど日本のオーディオマニアのあいだでの「タンノイはいぶし銀」は、
音色に関連してのことだけのように感じられ、
つい「タンノイはいぶし銀か」というテーマを書いているわけだ。

Date: 1月 7th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(伊藤喜多男氏のことば)

伊藤喜多男先生のことば──
《スピーカーを選ぶなどとは思い上りでした。良否は別として実はスピーカーの方が選ぶ人を試していたのです。》

ステレオサウンド 72号に載っている。
記事ではなく、上弦(かみげん、と読む。シーメンス音響機器調進所)の広告に載っている。

これがスピーカー選びの真理とすれば、
タンノイに試されるときが、私にようやく訪れた、ということなのだろう。

Date: 1月 3rd, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY, バスレフ(bass reflex)

TANNOY Cornetta(バスレフ型エンクロージュア・その4)

セレッションのSL6をKMA200で鳴らした時のことについては、
ずっと以前に別項に書いているので、詳細は省く。

この時の音は、私だけでなく山中先生も驚かれていた。
目の前で鳴っているスピーカーの大きさ、ウーファーの口径が信じられないほど、
素直に下までのびていた。

SL6は、小型・密閉型スピーカーである。
コーネッタとは大きさも型式も違う。

それでも低音ののびに関しては共通するものを感じていた。
そして、もうひとつ、QUADのESLのことも思い出していた。

ESLも、一般に思われている以上に下までのびている。
ただし、かなり良質のアンプで鳴らしての場合ではあるが、
その時の音は、SL6を聴いたときの同じように驚いたものだった。

SL6の上級機SL600を、鳴らしていた。
SUMOのTHe Goldで鳴らしていた。

SL600からESLに替えた。
アンプはそのままだった。

SL600の低音もよかった。
それでもESLがうまく鳴るようになってくると、さらに驚きがあった。
ESLはコンデンサー型スピーカーだし、エンクロージュアはない。

コーネッタ、SL6(SL600)、ESLと、
すべてスピーカーとしての型式、大きさ、形状はそうとうに違う。
それでも低音ののびということに関しては、共通するよさというか、
通底するなにかがあるようにも感じられる。

とにかくコーネッタの低音は、聴く前に想像していた以上にのびていた。

Date: 1月 3rd, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY, バスレフ(bass reflex)

TANNOY Cornetta(バスレフ型エンクロージュア・その3)

喫茶茶会記のスピーカーシステムは、38cm口径のウーファーである。
アルテックの416-8Cを、ウルトラバスレフ型エンクロージュアにおさめている。

日本では、オンケン型バスレフといったほうがとおりがいい形式のもので、
エンクロージュアの両端にバスレフのスリットが設けられている。

audio wednesdayで、このアルテックのシステムを鳴らしてきて、
ふとした時に思っていたのは、後少し低音が下までのびていれば、ということだった。

1オクターヴとはいわない、半オクターヴほどでいい、
下までのびていればいいのに、と思うのは、
昔、JBLの4343で聴いた印象が強いディスクをかけたときだった。

もちろん不満を感じないこともある。
それでも、ないものねだりなのはわかっていても、あと少し、とおもうことが何度かあった。

コーネッタを喫茶茶会記で鳴らして感じたのは、
このアルテックよりも下がのびている、ということだった。

コーネッタにおさめられているユニットは、HPD295Aで25cm口径である。
38cmと25cmではふとまわり違う。

それでもコーネッタのほうが、アルテックよりも下までのびている感じなのだ。
どちらが良質の低音なのかは、ここでは問わない。
どちらがより低い帯域まで再生できるかといえば、
私だけでなく、ほかの人の耳にも、はっきりとコーネッタだった。

だからコーネッタを聴いていて、思い出していたのは、
セレッションのSL6のことだった。
ステレオサウンドの試聴室で、新製品の試聴で、
クレルのKMA200で鳴らした時のSL6の音、それも低音ののびは、
いまも印象的なほどはっきりと憶えている。