電源に関する疑問(その20)
電源に関しては、インピーダンスをできるかぎり下げること、
レギュレーションをできるかぎりよくしていくことが、音を良くしてことだと言われていたし、
何の疑問ももたずに、それを信じていた。
実際の製品(とくにパワーアンプ)では、大容量の平滑用のコンデンサー、
厚みのある銅版による配線などが採用されている。
この方向からすると、電源回路に直列に1kΩの高抵抗を挿入するのは、理屈に合わないことになる。
けれど、あのウェストレックスが、あえて、こんなことをやっているのに、なんらかの意味があってのことだろう。
しかもA10はチョークインプットだから、電圧降下は大きい。さらに1kΩの抵抗で電圧を下げる。
電圧に関しては、かなりの無駄の出る回路でもある。
さらに不要と思われる抵抗を使うわけだから、その部品の選定も重要になるし、
発熱も大きいから、伊藤先生のアンプではホーロー抵抗が使われていた。
ワッテージの低い抵抗にくらべて、ホーロー抵抗の音のイメージは、あまりよくない。
できれば使いたくない、とも思っていた。
それでも、1kΩの抵抗は要らない、と短絡的な結論を出すでなく、まず、なぜなのか、を、いちど考えてみた。